どのサプリがいいの? 超素朴なサプリの謎を解決【購入前の逡巡編】
ホントに効く? 何を飲む? この摂り方でいい? …もはや検索しようもないけれどスルーもできないサプリに抱く初歩的な疑問のあれこれを、プロが一から解説します!今回は、購入前の逡巡編。サプリが効果的なことはわかったけど、じゃあどれば選べばいいの? 有識者のアドバイスを参考に。
編集・取材・文/門上奈央 イラストレーション/死後くん 取材協力/後藤典子(一般社団法人日本サプリメント協会代表理事)、桑原弘樹(NESTA JAPANプログラム・ディベロップメント・アドバイザー)
初出『Tarzan』No.877・2024年4月4日発売
桑原弘樹さん
教えてくれた人
くわばら・ひろき/〈桑原塾〉主宰。トップアスリートからビジネスパーソンまで幅広くトレーニングを指導。また自身の知見を活かし、15年以上スポーツサプリメントの企画、商品開発などに携わる。
後藤典子さん
教えてくれた人
ごとう・のりこ/日本サプリメント協会代表理事。主に政治・経済評論を追うジャーナリストとしてのキャリアを経て、2011年に日本サプリメント協会を立ち上げ、代表理事を務める。著書は『サプリメント健康事典』。
目次
Q サプリ、種類が多すぎて何が何だか
栄養と機能。大きく分けてこの2つ
「まず考えるべきは、自分が今サプリに求めるのは栄養か機能か。栄養はアミノ酸や微量栄養素など。今の食生活を振り返り、足りているかどうかの確認が必要です。機能は“機能改善”“不調緩和”などを謳う効果効能が記載されたもの。その機能を必要とするかは自分の意思次第です。
もう一つ大事なのは、栄養という土台の上に機能を足していくという考え方。まずは栄養面を整えて、そのうえで欲しい機能をサプリで取り入れるのが、結果的に一番効率的だと思います!」(桑原さん)
Q 高いサプリほど効果を期待できる?
価格と効果の相関関係に根拠はない
「価格には原料費以外にもいろんな要素が関わります。製造費や広告宣伝費、人件費などの経費を差し引いても利益が出るように、各企業が価格を決めています。
価格に関しては医薬品でないので国が規制できない部分も大きい。よって高いからいい/安いのは悪いという話ではないんです。
いい原料を使いつつ価格を抑える努力をしているメーカーも少なくない。価格に諸経費が含まれていることを念頭に原料費を想定してコスパを計ってみるのも一案です」(後藤さん)
Q サプリのコスパを見極めるには?
類似商品と価格と成分量の比較を
「まずは類似商品と比較。価格がべらぼうに高い/安いのは何らかのワケがある。その理由が理に適うものならいいですが、そうでない場合は選択肢から外す理由にもなります。
あとは成分量。単純に粒数やグラム数でなく、摂りたい成分を1日にどれだけ摂れて、何日分入っているのか。そこまで計算すれば、1日分の摂取目安量が何円相当かも分かります。
メンドーかもしれませんが、ここまで算出することで初めて正しい比較ができると思います!」(桑原さん)
Q 海外のサプリを買う時の情報源は?
公式ページを隅々まで確認して
「購入前に一度は公式ページへ。非常に複雑ですけどね。誇大広告で売り付けようとしていないか。医師の写真付きでも、報酬を払って出てもらっているケースもあることを念頭に。私は研究データの有無や内容を注視します」(桑原さん)
Q 購入前に確認しておきたいことは?
個人が発信している情報は是々非々で
「例えば気になるユーチューバーがいれば僕は動画を何本も見て、考え方に極端な偏りがないか、その人のバランス感覚をチェックします。あとドーピングに抵触しうるサプリを是とする人の情報は、僕はビギナーにはあまりおすすめできませんねえ」(後藤さん)
Q パッケージで見るべきは?
裏面=情報の宝庫。原料と目安量は要確認
「裏面には法律で書かないといけないと定められている情報が全て記されています。まず見るべきは原料名。例えば全9種類ある必須アミノ酸のEAAも、ここを見れば8種類しか記載がないなんてこともザラにある。
あとは摂取の目安量。ここが結構大事で、よく見れば1日の摂取目安量が、厚労省が定める有効推奨量に程遠い場合も(当然、期待する効果は得にくいでしょう)。このような製品は決して違法ではない。裏面、購入前にぜひご確認を」(桑原さん)
Q 店頭に並ぶマルチビタミンミネラル、何を基準に選べば?
ビタミンB群の配合量を見てみよう
「マルチビタミンミネラルは基本的にビタミンB群を中心に設計されているはず。よってビタミンB1・B2・B6が1回でどれくらい摂れるかを見て、メーカーごとに比較して、その成分量が充実しているものを選ぶのがおすすめ」(桑原さん)
Q 魚不足。EPAとDHAを摂るか、フィッシュオイルを摂るか
目的によるが、僕の推しはEPA
「魚油以外の成分も配合したフィッシュオイルよりDHA・EPAの方がおすすめ。DHAやEPAを摂る目的が血液サラサラや中性脂肪低下のためなら、EPAをメインで配合したサプリを推します(DHAはEPAから変換可能ですし!)」(桑原さん)
Q 実際、睡眠系のサプリって効くの?
効きますが、成分との相性は個人差アリ
「睡眠系、効きますよ! 睡眠の分野は研究がかなり進んでいて、だからこそ裏付けの取れたテアニンやグリシンなどを含む機能性表示食品が充実しているんです。
ただ睡眠薬とは違い、睡眠系のサプリは配合されている素材によって自分のカラダとの相性も差が出やすかったりする。なので最初から大容量ボトルなどを買うのでなく、1週間程度試せるサイズ感のモノがあればそれから試してみて、改善を実感できなければ別のサプリに切り替えるのが得策」(桑原さん)
Q 相乗効果を期待できる飲み合わせは?
いろいろあります!
「ビタミンB1・B2・B6や葉酸、ビオチンなど8種類あるビタミンB群は互いに働きかけて効率よく作用するので、単体よりB群をひとまとめに摂るのがおすすめ。ミネラルで言えば、カルシウムやマグネシウムは、ビタミンDと一緒に摂ることで吸収率が上がる。
また、目に関わるサプリによく含まれるルテインは、DHAと一緒に摂ることでルテインの吸収を高めるといわれています。単一成分のサプリを摂る場合はこれらの組み合わせを意識してみて」(後藤さん)
Q 複数種類のサプリを摂ってもいい?
一部を除き、基本的には問題ナシ
「大根とナスとトマトを一緒に食べても弊害はないのと同じ。でもハーブ系のサプリは例外です。薬同士で相殺反応があるようにハーブ同士orハーブと栄養系のサプリでぶつかる場合もあるので素人判断で摂らないように」
Q 過剰摂取を特に気をつけたいサプリは?
ミネラル、ハーブ系、カフェインなど
「定番のカルシウムも摂りすぎると高カルシウム血症を発症し、命に危険が及ぶことも。鉄や亜鉛なども適量が原則です。薬の原料に使われることも多いハーブ系や神経系に作用するカフェインなども、過剰摂取は厳禁です」(後藤さん)