肥満解消のために始める→世界大会で優勝。ガリットチュウ福島さんに聞く「ブラジリアン柔術」の魅力

2023年9月。米ラスベガスで開催された『ワールドマスター柔術選手権』の「青帯」のクラスで、世界チャンピオンに輝いたガリットチュウ・福島善成さんに直撃インタビュー。ブラジリアン柔術を始めたきっかけ、魅力について伺いました。

取材・文/中野慧 撮影/石原敦志

初出『Tarzan』No.869・2023年11月22日発売

ガリットチュウ福島さんに聞く「ブラジリアン柔術」の魅力

“何かやらなきゃ”と思って始めたブラジリアン柔術

ブラジリアン柔術世界大会 優勝 ガリットチュウ福島

福島さんは2023年9月、米ラスベガスで開催された『ワールドマスター柔術選手権』で世界チャンピオンに輝いた。ブラジリアン柔術は年齢、体重、競技歴などでカテゴリ分けがあり、5つあるうち最初から2番目の「青帯」のクラスでの優勝となった。

マーク・ザッカーバーグやイーロン・マスクといったアメリカの有名起業家、岡田准一や玉木宏などの一流俳優をはじめ、感度の高い人たちの間でブームとなりつつあるブラジリアン柔術。

福島さんが始めたきっかけは何だったのだろう。

「柔道が盛んな熊本・天草の出身なので、高校までは柔道をやっていました。だけど上京後どんどん太ってしまって、一番重いときで体重が108kg、体脂肪率は30%以上。そのせいで高血圧症になり、“何かやらなきゃ”と思って始めたのがブラジリアン柔術でした」

福島さんが始めたのは2020年初め。それから3年弱で体重は71kg、体脂肪率は9%にまで落ちたという。何か他のトレーニングも行ったのだろうか?

「ブラジリアン柔術だけです。大会まで週6、毎日1時間半練習したんですが、全身の筋肉がバランスよくつき、ロケで動き回っても全然疲れなくなって。めちゃめちゃ効率のいい競技だと思います」

柔術は脳とカラダに効く最高の運動

ブラジリアン柔術世界大会 優勝 ガリットチュウ福島

ブラジリアン柔術は有酸素運動や筋トレを兼ね、かつ全身の連動性も同時に鍛えられるスポーツだ。

「相手と組み合っているときは気を抜いた瞬間にやられるので、生存本能と向き合う時間。ザッカーバーグは“脳のデトックス”と言っていましたが、仕事や家族のことなど、人間に悩みは尽きない。それを考えないでいられる時間なんです。タップして合図を送れば相手が放してくれるので、ケガをしにくいのもいいですね」

今回福島さんが参加した大会は、来場者3万人のうち出場者がなんと1万人と、他のスポーツにはないスケールの催しだった。

「ラスベガスの会場はとにかく広かった! 全部で46面あって、自分の試合場に移動するのに徒歩30分ぐらいかかるんです(笑)。いまアメリカでは競技人口が300万人もいる。女性比率も日本ではまだ10%ぐらいですけど、アメリカやブラジルでは約30%とすごく多いんです」

これから福島さんはさらに上のランクに挑戦することになるが、ブラジリアン柔術の一番の魅力はどんなところにあるのか。

ブラジリアン柔術世界大会 優勝 ガリットチュウ福島

「対戦相手とは“敵”って感じじゃなくハイタッチやグータッチを交わしたり、コミュニケーションの要素があるのも楽しいです。でも一番は技がめちゃくちゃ多いところですね。世界中で毎日新しい技が開発されていて、自分なりの必殺技を作れる。ご高齢の方も多く、始めるのに遅いことはありません。

最初の1か月は筋肉痛ですが、その後はずっと楽しい。ジムも実はすごく多いので、まずは門を叩いてみてほしいですね」