目次
① 酢酸(脂肪燃焼)
サウナの熱波師の如く痩せ効果をもたらしてくれる
ビフィズス菌から作られる酢酸は短鎖脂肪酸のひとつ。日本人の腸内でも多く作られ、腸内を弱酸性に保ち、有害な菌の発育を抑制するのが主な働き。
それだけでなく一部は体内に吸収されて脂肪細胞に過剰なエネルギーが蓄えられないようにする。つまり、肥満を予防する作用も期待できる。痩せ効果をもたらすロウリュウの熱波師の如し。
② 酪酸(免疫強化)
バリア機能を強化し、さまざまな病気からカラダを守る
酢酸を材料に酪酸産生菌から作られる短鎖脂肪酸のひとつ。大腸は外界と体内のボーダーラインで免疫の最前線。酪酸は腸の上皮細胞の表面を覆う粘液を作り出すことで大腸バリアの強化を促す。
さらに病原体の排除などに働く抗体の産生にもひと役買っている。近年では酪酸が制御系T細胞という免疫細胞を増加させることも判明。
③ プロピオン酸(蠕動運動のエネルギー)
腸内環境を良好に保つエネルギーのデリバリーパーソン
プロピオン酸産生菌によって作られるやはり短鎖脂肪酸のひとつ。酸っぱいような刺激臭があるが、カラダにとっては有用な働きをしてくれる。主な作用としては大腸自体を動かすエネルギー源となり、蠕動運動を促すこと。
スムーズな排便は腸内環境を整えるために不可欠。そのためのエネルギーを供給するのがプロピオン酸の仕事。
④ GABA (ストレス緩和)
リラックスをもたらしてくれる癒やし系キャラクター
アミノ酸を材料にして乳酸菌やビフィズス菌から作られる。一般的にGABAは脳の中で作られている神経伝達物質の一種と捉えられているが、腸内でも作られているポストバイオティクスでもあるのだ。
心の安定やリラックスを促すGABAの作用が知られていることから、脳腸相関を説明するひとつのピースともいわれている。
⑤ HYA (抗肥満)
油が材料なのに太りにくいカラダ作りに役立つ
食用油に多く含まれるリノール酸を材料に乳酸菌から作られるポストバイオティクス。ただしこれは体外での反応。体内では複数の菌がこれを作る酵素を持っていることは分かっているが、どの菌がHYAを作っているのかは不明。
役割は消化管ホルモンのGLP-1の分泌を促したり、血糖値の上昇を抑制し肥満を改善すること。
⑥ EPS (免疫調整)
バランスのとれた免疫力を調整する女神様
Exopolysaccharide(エキソポリサッカライド)の略で日本語では「菌体外多糖」という。ヨーグルトに含まれる乳酸菌から分泌される多糖の総称で、ギリシャヨーグルトのとろみの正体とされている。
難消化性のため大腸まで届き、食物繊維同様の働きをする。また過不足のない均衡のとれた免疫力の活性化も促す。
⑦ αケトA (抗炎症)
若返りを可能にする? 人類の夢が詰まった代謝物
亜麻仁油やエゴマ油に豊富なオメガ3系脂肪酸・αリノレン酸を材料にして乳酸菌から作られるポストバイオティクス。
αリノレン酸が腸内細菌によって代謝されてαケトAが作られると、免疫細胞のマクロファージに作用し過剰な免疫反応による炎症が抑えられる。動物実験ではアレルギー性皮膚炎の症状が改善されることが分かっている。
⑧ ウロリチン(アンチエイジング)
アレルギーの炎を消す頼りになるファイヤーファイター
ナッツ類やイチゴやザクロなどのベリー類に豊富なエラグ酸というポリフェノールをある種の腸内細菌が代謝して作られる。メカニズムはまだ不明だが、細胞の活性を高めたり筋肉機能を改善するアンチエイジング作用が報告されている。
体内でウロリチンを作れる人と作れない人がいるので、サプリメントとしても販売され始めている。