“運動未満”でカロリー消費。身体活動を増やす「昼」の工夫
リモートワークやハイブリッドな働き方が定着し、買い物も食事もスマホ一つでまかなうことができる昨今は、身体活動レベル(普段の活動量)が低下しがち。そんな暮らしをしている人にとって、体脂肪を減らそうにも、いきなりフィットネスはハードルが高い…。
そこで、提案するのが「普段の身体活動」を増やすこと。今回は、昼間の時間に取り込める工夫を紹介。毎日の積み重ねで確実にカラダは良い方へ変化していくはず。毎日すべてクリアせよ、とは言わないので、できることからコツコツ試してみよう。
取材・文/石飛カノ 撮影/石原敦志 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/坂西透
初出『Tarzan』No.859・2023年6月22日発売
教えてくれた人
坂詰真二さん(さかづめ・しんじ)/パーソナルトレーナー。スポーツ&サイエンス代表。NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト。書籍、雑誌、テレビなど多数のメディアで健康情報を提供。
瀬戸郁保さん(せと・いくやす)/鍼灸師・国際中医師。源保堂鍼灸院院長。古典鍼灸の大家に師事したのち北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)中医中薬科・気功科卒。2004年開業、多くの利用者の信頼を得る。
目次
① 電車の中で片手を壁につける
電車に乗ったら車両の端っこ、または扉の横に立ち、片手で拳を握り、壁や扉につけて軽く体重をかける。
「これはサイドレイズという筋トレの動きで、三角筋のトレーニングになります。帰りの電車内では逆側の三角筋も鍛えましょう」(坂詰さん)
三角筋は意外と大きな筋肉なので代謝アップに貢献する。
② 何事を行うときも丹田を意識する
立つとき歩くとき座るときはヘソ奥の“丹田”を意識。よく“ヘソ下三寸”というが“ヘソ奥三寸”が正解。
「丹田はエネルギーの発露でロウソクのロウに当たる部分。意識して立ったり歩いたりすることで代謝が上がります。とくに朝の通勤時は一日の始まりなので、しっかり意識づけを」(瀬戸さん)
③ 椅子に浅く腰かけスクワット座りをする
デスクワーク中は基本的に椅子に浅く腰かけて両足を手前に引く。
「立位に近い姿勢なので腰への負担が減ります。ここから15度くらい上体を前傾させるとスクワットの姿勢になり大腿四頭筋が鍛えられます」(坂詰さん)
メール1本打つくらいの間に下半身を刺激することで、基礎代謝の底上げに。
④ ぐうたら座りでリラックスする
休憩するときは椅子の背に上体を預けて1分間反らせてみよう。
「首前と胸がストレッチされてストレートネックや巻き肩姿勢をリセットできます。上体を反らせてから頭と腕の重さを利用してストレッチを」(坂詰さん)
姿勢矯正で呼吸が深くなり血流も改善。周囲の目を気にせず、習慣化を。
⑤ ランチの前に強間のツボを押す
頭のてっぺんにある百会と首の付け根の真ん中にある瘂門のちょうど中間にあるのが、強間というツボ。
「満腹中枢を刺激して余分な食欲を減らす効果が期待できます。頭にあるツボなので強く押しすぎないこと。指で軽く包み込むようにして刺激しましょう」(瀬戸さん)
ランチ前やおやつの前に、押すべし。
⑥ ランチの後に上半身を動かす
ランチ後には椅子に座って上体を前後、左右に倒したり左右に捻る。目的は帯のように腹部を取り巻く帯脈という経絡(気の通り道)を刺激すること。
「帯脈はホルモンと関わりの深い経絡。血糖値を下げるインスリンの働きを促す役割もあります。食後に刺激すれば高血糖の急激な上昇も防げるはず」(瀬戸さん)
⑦ 立つときは左風市のツボを押す
体側で両腕を垂らしたときに中指の先が当たる部分が左風市というツボ。
「腕の長さなどが違うので人それぞれ場所は異なりますが、その位置がその人にとっての左風市です。痛気持ちいい程度に押すと脂質代謝がアップするので、日中に行うのがおすすめ」(瀬戸さん)
左風市というだけに左側のみを刺激。
⑧ 休憩時間には肩を大きく7回転させる
肩甲骨の間を動かす双転肩という気功を応用した肩回し。左右の指を鎖骨に当てて肘を大きく前から上に上げ、後ろに下げる。これを7回繰り返し。
「経絡的には肺を広げて呼吸を促しますが、肩甲骨まわりにある褐色脂肪細胞を活性化させて脂肪を分解し、燃焼させる作用も期待できます」(瀬戸さん)
⑨ 退勤する前に表情を緩める
アイウエオと1音ずつ発音して表情筋を動かし、表情を緩める。声は出しても出さなくてもよし。
「仕事中は心身ともに緊張状態。その緊張が長く続いてストレスが溜まることも代謝の妨げになります。顔の表面には交感神経に当たる経絡が多いので、その活性を抑えることが目的」(瀬戸さん)
⑩ 帰路につく前に靴ひもを結び直す
階段3段分くらいの段差に片足を乗せて靴ひもを結び直す。これ実はお尻とハムストリングスのストレッチ。
「デスクワークで長時間座っているとお尻の筋肉や、膝を曲げるときに働くハムが硬くなります。その結果、骨盤が後ろに引っ張られて後傾し、歩幅も小さくなりがち。一度ストレッチして颯爽と退勤しましょう」(坂詰さん)