「マイルールは絶対。納得しないと行動しない」自信満マンが痩せるための4のヒント
ダイエットがなかなか成功しない人に共通するのが、働き世代で家族も増える40代特有の環境や性格。つまり、自分の食傾向を知り、それに合わせた対策を立てるのが成功の道。今回は「確率されたマイルールに絶対の自信。裏付けと納得感がないと行動に移さない」、そんな自信満マンが体脂肪を落とすための4のヒントを紹介しよう。
取材・文/井上健二 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 イラストレーション/わたなべろみ 取材協力・監修/吉原 潔(医師)、神戸貴宏(パーソナルトレーナー)、河村玲子(管理栄養士)
初出『Tarzan』No.859・2023年6月22日発売
教えてくれた人:吉原潔さん
よしはら・きよし 医師。整形外科医で4000例を超える脊椎内視鏡スペシャリストでありながら、筋トレや体重管理に精通したNESTA認定パーソナルフィットネストレーナー、食生活アドバイザーのトリプルライセンスを有する。自らもボディコンテストに出場を重ね、受賞歴多数。医学博士。
教えてくれた人:神戸貴宏さん
かんべ・たかひろ パーソナルトレーナー。Body Design Studio ASK代表。流行に惑わされない普遍的なダイエット指導を得意とするパーソナルトレーナー。本誌でも、多くの人気アイドルの肉体改造を、トレーニングと食事両面からの丁寧な指導で見事成功へと導いている。NSCA認定パーソナルトレーナー。
教えてくれた人:河村玲子さん
かわむら・れいこ 管理栄養士。大学卒業後、大手フィットネスクラブを経て独立。カナダで管理栄養士トレーナーとして活動後、ニューヨークでピラティスを学ぶなど、栄養にも運動にも通じている稀有な存在。40代のダイエット指導経験も豊富。NESTA認定パーソナルフィットネストレーナー。
自信満マンってこんな人
無自覚のうちに、不惑のワナにどっぷりハマっているタイプ。マイルールを優先するのはいいけれど、それが原因で太っている可能性も捨て切れないとしたら、いくら自信があっても絶対視するのは愚かしい。自分だけのちっぽけなルールに拘泥するのは、大人の振る舞いではない。合理的&科学的な視点で自らの食生活を振り返ろう。
① 食べてもすぐお腹が空くと思っているなら…
確立されたマイルールに絶対の自信。裏付けと納得感がないと行動に移さない。
ついつい過食する人の申し開きでよく耳にするのが、「食べてもすぐお腹が空く」というもの。間食がやめられなかったり、空腹すぎて次の食事で爆食したりする自分を正当化しようとしているのだろう。
そんな自信満マンが、お腹が空かないようにもっと食べようとすると、永遠に痩せない。見直すべきなのは、食事のボリュームではなく、その中身。どこよりも目を向けたいのは、主食となる糖質の量と質である。
「糖質が豊富で消化吸収も早い白飯や食パンを食べすぎると、血糖値が急に上がります。その反動で血糖値が下がりすぎると、空腹を感じる。血糖値を上げやすい白っぽい糖質の食べすぎを控えましょう。空腹に悩まされずに量を食べたいときは、食物繊維が多くて血糖値を比較的上げにくい茶色っぽい糖質、玄米や全粒粉パンなどに替えてみてください」(河村さん)
量と質を再考しても、おにぎり+緑茶、パン+コーヒーといった糖質メインの食卓では、どうしても血糖値は乱高下するし、栄養も偏ってしまう。
食欲をコントロールするために毎食しっかり摂りたいのは、タンパク質。肉類や魚介類、大豆食品などからタンパク質を摂ると、消化管からGLP-1やペプチドYYといった食欲を抑えるホルモンが出るため、空腹に悩まされる恐れもなくなる。
② 魚は食べなくてもいいと思っているなら…
四方を海に囲まれている日本列島は、海の幸に恵まれている。
ゆえに日本人は昔から魚をたくさん食べてきたのに、現在は魚離れが進行。魚類の摂取量は肉類の摂取量を下回っている。
魚類に興味が乏しく、魚離れにリスクを感じない自信満マンにひと言。魚類の摂取を増やせば、痩せるというデータがある。
なかでも食べたいのは、イワシやサバやアジといった青魚。
そもそも魚には、良質のタンパク質が豊富。筋肉の減少を防いで代謝を保ち、減量しやすい体内環境を整えてくれる。
加えて青魚には、EPAやDHAといった脂肪酸が含まれる。EPAとDHAは、体内で必要量を作り出せないため、食べ物から摂るべき必須脂肪酸に準じる評価を得ている。
EPAとDHAには、血液をサラサラにするといった健康効果が報告されてきたけれど、近年優れたダイエット作用を持つこともわかった。体内で体脂肪を燃焼して熱を作ってくれる「ベージュ細胞」を増やして、体脂肪の減少を大いにサポートしてくれるというのだ。
青魚は缶詰でも摂れるが、毎回缶詰だと飽きるというタイプに裏技を紹介しよう。
「タンパク質とEPA、DHAを摂るなら、魚にこだわらなくていい。サラダチキンでタンパク質を補い、EPA、DHAはサプリでどうぞ」(河村さん)
③ 外食で野菜料理を頼まなくても罪悪感はないと思っているなら…
野菜不足が叫ばれて久しいのに、日本人の野菜不足は依然変わらず。
厚生労働省は1日に350g以上の野菜摂取を推奨する。それに対して日本人が摂っている野菜量は1日平均280g前後。
野菜には、エネルギー代謝を保ち、痩せやすい体内環境を保つために欠かせないビタミンやミネラルが含まれる。加えて、食物繊維もリッチ。タマネギやゴボウなどに含まれる発酵性食物繊維は、腸内で腸内細菌に代謝されると短鎖脂肪酸が生じる。短鎖脂肪酸には、食欲を抑えて、代謝を上げる作用がある。
足りない分を補うのに求められるのは、1日1皿だけ野菜料理を増やす小さな努力。加熱した野菜料理は小皿1枚で70g程度。280+70=350gだから、小皿1枚分をプラスすれば目標値はクリアできる。
ところが、外食だと野菜を補うのが難しい場面も多い。
「男性には、せっかくの外食だからと肉類などのメインばかり頼み、“レストランで高いお金を払い、好きでもない野菜を食べなくてもいい!”などと豪語するタイプもいます。レストランでは野菜料理も割高ですが、40代は健康ファースト。健康のためなら、お金に糸目をつけないのが鉄則。多少値が張っても、野菜料理を最低1皿プラスしてください」(河村さん)
野菜オンリーだと物足りないなら、エビやチキン、アボカドなどをトッピングしたメイン級のグルメサラダを注文したい。
④ 食べすぎてないのに太ると思っているなら…
時代がどう移り変わろうが、ダイエットの大原則は変わらない。
太るか痩せるかを決めるのは、食事からの摂取カロリーと、運動などによる消費カロリーのバランス。消費カロリーが変わらないとしたら、太る理由は消去法でただ一つ。食べすぎて摂取カロリーが増えていること以外に考えられない。「食べすぎてないのに太る」ことは、理論的にあり得ないのだ。
それなのに「食べすぎてないのに太る」と言い張る人の大半は、自らの食事量が正確に把握できていない。ながら喰いがクセになり無意識に食べすぎていたり、間食や夜食のカロリーを見過ごしたりしている。
こういう自信満マンへの特効薬は、口にする食べ物&飲み物を残らず記録する食事日記。書くのが面倒なら、スマホで写真を撮るだけでOK。それをSNSにアップして仲間とシェアすれば、「食べすぎてないのに太る」という言い訳は通らない。
残らず記録しても食べすぎていないなら、話は逆。食べていないから、太っているのかも。
「摂取カロリーを大幅に減らしすぎると、エネルギー代謝のバランスを取ろうとして基礎代謝がダウンします。代謝を上げる甲状腺ホルモンなどが減るためです」(神戸さん)
過激なカロリー制限は長続きしないし、太りすぎる恐れもある。背伸びせず、消費カロリーより少しだけ摂取カロリーを減らすようにコントロールしよう。