梅雨に気持ちが沈むのは胃腸の不調? 梅雨の養生3つのポイント(漢方薬剤師・鹿島絵里さん)
「漢方薬店kampo's(カンポーズ)」薬剤師・薬学博士の鹿島絵里さんが漢方医学視点からのカラダづくりを提案する連載「漢方でつくるヘルシーボディ」。今回は「梅雨時期の胃腸ケア」について。
梅雨に気持ちが沈む、活動的になれない理由
漢方医学的視点からカラダづくりを応援する、漢方薬店kampo’s(カンポーズ)薬剤師・薬学博士の鹿島絵里です。
ジメジメとした季節、普段からカラダに水分をたくさん含むカタツムリにはベストシーズンなのでしょうが、我々人間にはちょっとしんどいものです。梅雨に入るとどうも気持ちが沈むとか活動的になれないとか、そんなふうに感じることはありませんか? 実はこれ、漢方の考え方では充分に説明がつくことです。
ジメジメによる不快感や諸症状、それは湿邪(しつじゃ)という悪者が引き起こしていると見なします。適度な湿度は「潤い」とも呼べるのでしょうが、害をなすほどの湿度は「邪気」です。カタツムリにとっては潤いでも、人にとっては邪気というわけです。
胃腸の弱りと心身への影響
ここからが漢方の目線の面白いところです。
カラダの部位で湿邪の影響をもっとも受けやすいのが胃腸と言われています。梅雨から夏にかけてのジメジメした環境では、知らないうちに胃腸は弱ってしまうものなのです。
そしてなんと、胃腸が弱るとくよくよしたり、やる気がわかなくなったり、また、寝ても寝ても眠いなどの症状が現れると言われています。なんだか心当たりがありませんか? 梅雨に入ってから気持ちが沈んだり活動的になれない日が多くなったと感じたら、胃腸のレスキューをしてあげましょう!
胃腸のレスキューの3つのポイント
胃腸のレスキューには3つのポイント、温度、休息、相性があります。
ひとつめの温度。体温よりも低い温度のものは、胃腸の働きを妨げます。氷入りの飲み物は、カラダに湿邪を招き入れると覚えておきましょう。冷えがカラダ全体に及ぶと、湿邪の影響はむくみや頭痛としてもあらわれます。
ふたつめの休息とは、胃腸が休む時間。常時働かせっぱなしでは疲労はかさむばかりですから、消化活動を終えたら休む時間が必要です。お腹が空っぽになって充分に休息がとれると、ぐーぐー鳴ったりします。これはいいサインです。
気をつけたいのは、頭で空腹を感じるのと、実際にお腹が空っぽなのは違うということ。お腹がすいてちょっと気持ちが清々しいくらいだと、上手に湿邪を追い払えているでしょう。逆に空腹を感じてイライラしたり、精神的に落ち着かない時には、胃腸の休憩は不十分かもしれません。
みっつめは食材との相性です。今時期、胃腸を元気にする食材は香りの良い大葉、茗荷、パクチー、旬の枝豆、そら豆、そしてエネルギー源としてのお米、じゃがいもなどです。
そして元気のない胃腸におすすめしないのが、脂っこいものやお砂糖たっぷりの甘いものです。揚げ物やケーキが大好きという方でも、ジメジメ期で体調不良を感じる時はちょっとお休みしてあげると回復が早いですよ。
カラダが湿邪に侵されているサインは、むくむ、舌の縁にギザギザと歯の痕がつく、舌苔が厚くなるなど、気分の下降や眠気の他にもあります。
便がやわらかくなる、頭痛がする、吐き気を催すなども、湿邪が旺盛になっているときに見られるサインです。やっぱりまずは胃腸から建て直してみましょう!