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エロンゲーションって?「ピラティスの動き」基礎から解説

体幹 ピラティスの動き 解説

人気急上昇中のピラティス。「創始者のジョセフ・ピラティス氏は現代に急増した、姿勢の悪化による心身の不調を問題視。そこで考案したのが、背骨の柔軟性を取り戻し、体幹をしなやかに強化するメソッドです」と理学療法士の中村尚人さんは言う。今回は、体幹を安定させて機能的に動かすためのピラティスの原理原則を解説。意識して動くことでその効果をより実感でき、より確かな体幹の強化にもつながるはずだ。

中村尚人

中村尚人さん

監修してくれた人

理学療法士の臨床経験を通し、ヨガ・ピラティスインストラクターの資格を多数取得。東京・八王子にて〈TAKT EIGHT〉を主宰。医療従事者や一般向けの『いちばんよくわかるピラティス・レッスン』など著書多数。

堀内將平さん

堀内將平さん

実演してくれた人

モデル/〈Kバレエ カンパニー〉プリンシパル。数々の作品で主演を務め、抜群の身体能力とすぐれた表現力で高い評価を得ている。

エロンゲーション(背骨の伸長)

体幹 ピラティスの動き 解説

右は、エロンゲーションをともなった側屈。お腹の引き上げでインナーマッスルが働き、背骨そのものから側屈できる。左は反対に、骨盤を突き出して側屈した“つもり”の状態。脇腹のアウターマッスルが伸び縮みしているだけで、背骨は潰れて伸びはない。

ピラティスの動きで、最も重要かつ基本となるのが「エロンゲーション」と呼ばれる背骨の伸長だ。その狙いは、加齢や姿勢の悪化などによって潰れ、伸び感が失われた背骨本来の動きを取り戻すこと。

ひいては体幹がしなやかに安定して、重力に負けない、スムーズに動けて疲れにくいカラダを作ることにある。

意識すべきポイントは、「頭頂部と坐骨で引っ張り合う」ような感覚で背骨を引き伸ばすこと。同時に「お腹を引き上げる」意識を持つことが、チューブのように背骨を絞り上げて立たせ、エロンゲーションを促すコツとなる。

これは垂直方向に限らず、背骨を側屈させたり、屈曲させたりするときでも同じこと。どのエクササイズを行うときも“エロンゲーションなくしてピラティスは成立しない”ことを肝に銘じておこう。

胸式呼吸

腹式呼吸で行うことが多いヨガに対して、ピラティスで基本となるのは胸式呼吸。ピラティスではお腹を絞り上げてエロンゲーションさせる、というのは前述の通りだが、すると呼吸は必然的に胸式となるのが理由のひとつ。

もうひとつの理由に、呼吸で胸郭を広げることがある。

胸郭に空気が入って拡張する、それはつまり下向きの重力に打ち勝つということ。呼吸と動きの相乗効果で背骨のエロンゲーションがより促され、これをエクササイズの動きの中で意識することで、体幹を自在にコントロールできるようになるというわけだ。

また、体幹は息を吐くタイミングで最も安定しやすい。ピラティスの呼吸では基本的に、吐く息に合わせてカラダを動かし、いったん息を吸って、吐きながら戻ることが多いのもこれが理由となる。

アーティキュレーション(背骨の分節的な動き)

無理なくしなやかに動く体幹には、背骨の柔軟性が不可欠。そこで求められるのが、背骨を分節的に動かす「アーティキュレーション」の意識だ。背骨ひとつずつを満遍なく動かすことで、偏った使われ方による関節へのストレスを減らすことができる。

また、背骨をアーティキュレーションさせる動きによってエロンゲーションが生み出されるのは言わずもがな。背骨の屈曲と伸展には、常にアーティキュレーションをともなうことを覚えておきたい。

スタンディング・ロール・アップ/ダウン

体幹 ピラティスの動き 解説 アーティキュレーション(背骨の分節的な動き)

セッションの初めと終わりにアーティキュレーションを確認する基本エクササイズ。ここでは壁を使ってお尻が後ろに出るのを防ぎ、また下半身の柔軟性は問わないため、膝は曲がってもOK

足裏の重心をフラットに、腕はダランと下げてお腹を引き上げ、前にあるものを乗り越えるように背骨を上からひとつずつ丸めていく。股関節まで曲げたら、背骨を下から積み上げるように戻る

センタリング(中心軸への意識)

体幹 ピラティスの動き 解説

センタリング」とはその名の通り、カラダを中心に集める「軸」の意識のこと。もしカラダが逆方向にダランと広がると求心力が弱まって、例えばNG写真のガニ股のように、姿勢のアライメント(=配列)が崩れてしまう

センタリングを喩えて言うなら、頭頂の一点からハンカチをつまんで引っ張るように、重力のあるものを中心へと寄せて引き上げる感覚。そしてこの意識は、背骨のエロンゲーションと常に一心同体でもある。

立つ・座る・寝る、どんな姿勢でもセンタリングを用いて、体幹をしなやかに、より強くしていくのがピラティスのエクササイズなのだ。

ディスアソシエーション(四肢の分離した動き)

体幹から関節を分離させて動かすのがディスアソシエーション。目的は、骨盤帯と肩甲帯を含めた体幹を安定させたまま四肢を動かすことにある。

運動学的に見ると、四肢につられて体幹が動くのは、アウターの筋肉を無駄に使っているということ。だが体幹を強化するなら、土台(=体幹)を安定させながら、インナーの筋肉を働かせて四肢を自在に動かせる力が必要だ。

ピラティスのエクササイズは、腕や脚の自体重を負荷として利用し、これを実現させる。

ピラティスの運動学的キーワード

ここでは、ピラティスで多用されるパーツの動きを紹介。これらを意識したり、使い分けたりすることによって正確な体幹コントロールを実現させる。頭に入れておけば難易度を問わず、ほぼ全てのエクササイズに対応できるように。

足首【ポイント/フレックス】

体幹 ピラティスの動き 解説 足首【ポイント/フレックス】

脚を遠くへ伸ばすときは、脛の深部筋が働く「ポイント」に。一方の「フレックス」はふくらはぎや股関節の筋肉を使って安定化させ、膝の反りを防ぐ働きも。脚の動きに合わせて双方をスイッチする場合もある。

骨盤【後傾/ニュートラル】

体幹 ピラティスの動き 解説 骨盤【後傾/ニュートラル】

脊柱の自然なカーブが保たれ、床と腰との間にやや隙間がある状態が「ニュートラル」。逆に腰を床にぴったりつけると、骨盤は「後傾」になる。下腹部は後傾とともに薄く絞られ、インナーの腹横筋を利かせた状態に。

背中

体幹 ピラティスの動き 解説 背中【Cカーブ】

「Cカーブ」は背骨をアーティキュレーションさせながらカーブを描いた状態。この屈曲でも必ず、エロンゲーションをともなうことが必要となる。「インプリンティング」では、両脚を上げた自体重で腰が反るのを防ぐため、腰をプリントする感覚で床にぴったりつける。その結果として、骨盤は後傾した状態に。

脚【テーブルトップ】

体幹 ピラティスの動き 解説 脚【テーブルトップ】

脚上げのベーシックポジション。膝と股関節を90度に曲げ、足首はポイントに。太腿や膝の緊張は必要最低限にして、この形をキープしながら股関節をディスアソシエーションして脚を上げ下げする

編集・文/オカモトノブコ 撮影/三好宣弘 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/村田真弓

初出『Tarzan』No.857・2023年5月25日発売

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