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朝、やる気を出すには? 脳の働きが良くなる朝の行動【前編】

朝、やる気を出すには? 脳の働きが良くなる朝の行動【前編】

毎朝やる気が出ないのはそういう体質だと諦めていないか? 食事や起きる時間など、朝の行動次第でその日の脳の働きが変わることも。脳の仕組みを知れば、これまで以上に快適な一日が過ごせそうだ。今回は朝の脳の状態や機能を高める方法などを解説。

教えてくれた人

篠原菊紀先生(しのはら・きくのり)/公立諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科教授。専門は脳神経科学、応用健康科学。脳についての研究結果を広く紹介する。『クイズ!脳ベルSHOW』(BSフジ)の監修担当。

Q. 朝、やる気を出すには?

脳科学者 篠原菊紀先生 脳の働きが良くなる朝の行動 朝、やる気を出すには?

A. 朝はやる気の出る脳内物質が増すのが普通です

「私たちがモチベーションを高めるには、神経伝達物質であるドーパミンが大きく関係しています。ドーパミンは起床時から徐々に分泌量が増えるのが普通で、人間の脳の構造上、特に意識せずとも朝はやる気が出るものと考えられます」(篠原菊紀先生)

もし、朝からどうしてもやる気が出なかったら、まずは睡眠不足前夜の飲みすぎを疑うべき。

「また脳の線条体には側坐核という神経核があるのですが、ここが行動と快感を結びつける役割を担っていて、こんな行動をしたらいいことがある、という経験を基に学習と予測を絶えず行っています。線条体はドーパミン神経系の支配を受けているため、その相乗効果もあって、朝、起きたらいいことがありそうと思うだけで脳は活性化する仕組みになっています」

たとえば寝る前に“今日はこんないいことがあった”“明日は楽しいに違いない”と自らに言い聞かせるだけでも、朝からやる気が出る可能性が高くなるという。つまり脳をうまく騙してあげることが大事なのだ。

疑わず、素直な気持ちで心がけてみよう。

Q. 脳が朝型/夜型に切り替わるのはいつ?

脳科学者 篠原菊紀先生 脳の働きが良くなる朝の行動 脳が朝型/夜型に切り替わるのはいつ?

A. 睡眠中央時刻によって変わります

「日中に分泌されたセロトニンは起床後14〜16時間経つとメラトニンに変わる。この時刻が脳の朝、夜の切り替えタイミングです」

もうひとつ、朝型と夜型を分ける基準も知っておこう。

眠りにつく時刻と目覚める時刻の中間を睡眠中央時刻と呼びますが、午前3時以前だと朝型、それ以降だと夜型と簡易的に分類できます。毎日11時に寝て6時に起きる場合は2時半。即ち朝型です」

多くの場合、平日と休日とで睡眠中央時刻は多少変わってくるはず。1週間の平均を出せば、自分が朝型か夜型かが見えてくる。

Q. 脳にとって、“朝”であることは影響はある?

A. 一般的にはあります

夜勤が中心、昼夜逆転の生活で起床が基本夜というケースでも、起きた時の脳は朝起きた場合と同様の働きをするのだろうか。

「私たちのカラダの睡眠リズムや自律神経、ホルモン分泌などは1日周期の中で調節されています。これを概日リズムと呼びますが、基本的には朝目覚めて光を浴びることを前提にサイクルが回っていて、その意味では朝ならではの脳の働きは存在します

これはたまに昼夜逆転生活になる程度では崩れませんが、毎日夜勤が続いた場合、概日リズムが乱れて睡眠障害などを生じる可能性もあります」

Q. 週末でも同じ時間に起きるべき? それとも寝溜めした方がいい?

脳科学者 篠原菊紀先生 脳の働きが良くなる朝の行動 週末でも同じ時間に起きるべき? それとも寝溜めした方がいい?

A. 一定にする必要があります

平日は6時間睡眠だけど、土日は10時間睡眠でたっぷり寝溜め。そんなパターンの人も多いはず。

「休日に寝溜めする気持ちはわかりますが、習慣化すると体内時計を調節する自律神経に大きな負荷がかかり、毎週休日明けはボーッとするなど時差ボケのような感覚になってしまう。これは社会的ジェットラグと呼ばれ、常に睡眠負債を負っている状態です」

平日6時間、土日10時間睡眠の人の場合、土日のプラス8時間分を平日に分散して毎日の睡眠時間を一定にすることが必要。仕事からの帰宅後、疲れた~とダラダラする暇があったらさっさと布団に入るよう心がけたい。

Q. 朝と夜、脳がよく働くのはどっち?

A. 一般的には朝になります

「マウスの実験では、夜(人でいう朝)に記憶が関係する物質の分泌が増します。しかし人の場合、朝と夜、両者混在型の比率が4:3:3。朝の方が脳がよく働く結果が出ており、実感としても朝の方が調子いいと感じる人の割合が多いでしょう。ただし実際のところは世代や個人差が大きいです」

世代別の認知機能テストでは、高齢者は午前中、若い世代は午後~夕方にかけての時間帯に脳のパフォーマンスが向上する結果が出ている。児童期から思春期にかけては体内の生体リズムが最も夜型化するとされており、脳の働きもそれに付随すると推測される。

「また人間は生まれつきの睡眠パターンによって朝型と夜型がある程度決まっていて、この時間的特性をクロノタイプと呼びます。クロノタイプは少なからず遺伝子の影響を受けると考えられていて、生まれつき夜型の人が無理に朝型の生活リズムにしようとしても脳がうまく働かないことがある。結局のところ、自分の生体リズムに合わせて生活するのが一番です」

Q. 朝、脳の働きを良くするためには前夜にどんなことを心がけるべき?

脳科学者 篠原菊紀先生 脳の働きが良くなる朝の行動 朝、脳の働きを良くするためには前夜にどんなことを心がけるべき?

A. 時計遺伝子を整えることです

「前日、昼間にカラダを動かし、陽の光を浴び、三食ちゃんと食べ、早めの時間に寝る。翌朝、脳をしっかり働かせるためにはこれらの行動が大前提となります。私たちのカラダには体内のリズムを一定に保つ体内時計という仕組みがありますが、これを司るのが全身にある“時計遺伝子”。規則正しい生活をすることで脳の時計遺伝子も整うというわけです」

もっと細かいことを言えば、風呂には就寝2時間前までに入る、寝る直前にスマホのブルーライトを浴びないようにする、酒量を減らすなどの行動も大切。

また、睡眠中は脳に記憶が定着するので、寝る前のタイミングで頭に入れておきたい内容を整理しておくと、より定着しやすくなり記憶力が上がるのもポイント。忙しい人はその内容をぼんやり思い浮かべる程度でも効果がある。

取材・文/黒田創 イラストレーション/イマイヤスフミ(vision track)

初出『Tarzan』No.854・2023年4月6日発売

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