好きな時に出せるのはすごいこと!コントロールの達人「膀胱」の活動

普段は気に留めることのない臓器の数々。けれど我々のカラダでは、こうした“マイナー”な存在の臓器たちが地下アイドルのごとく地道な活動を続け、日々の健康を支えてくれている。そこで、今回はコントロールの達人「膀胱」にフォーカスし、その驚くべき機能や働きをフィーチャー。

取材・文/オカモトノブコ イラストレーション/室木おすし

初出『Tarzan』No.847・2022年12月15日発売

膀胱
教えてくれた人

山本健人さん(やまもと・たけひと)/京都大学医学部卒業。外科専門医、消化器病専門医、感染症専門医、がん治療認定医など。Twitter「外科医けいゆう」で情報発信。16万部ベストセラー『すばらしい人体』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。

日々の健康を支えるマイナー臓器達

若さと元気があれば、普段は気に留めることのない臓器の数々。けれど我々のカラダでは、こうした“マイナー”な存在の臓器たちが地下アイドルのごとく地道な活動を続け、日々の健康を支えてくれている。

そこで今回は、排泄に関わる「膀胱」のキャラにフォーカスし、その驚くべき機能や働きをフィーチャー。加齢や病気にも負けないアイドルでいるため、気をつけたいポイントにも迫る。

勝手に尿が溜まって、好きな時に出せるコントロールの達人「膀胱」

膀胱

基本情報
  • 容量350~600mL(最大1Lの場合も) 
  • 下腹部中央に位置。左右の腎臓から尿管でつながる

活動エリア:日々の健康を支えるマイナー臓器の場所。膀胱は下腹部中央、前立腺の上に位置する。

膀胱

膀胱は、伸縮性のある筋肉でできた袋状の臓器アイドル。尿をストックし、その量に応じて徐々に膨張するという変幻自在な顔を持つ。

やがて容量がいっぱいになって膀胱壁が伸ばされると、その情報は神経を介して脳に送られ、出口にある外尿道括約筋が開く。

同時に膀胱壁は収縮し、また腹壁の筋肉を意図的に収縮する腹圧によって尿が押し出されるというわけだ。

尿漏れの原因は骨盤底筋の衰え

トイレに行きたいけど、いまはムリ…と何気なくガマンしている尿だが、実は排尿を自在にコントロールできるのはすごいこと。この指令は脳が行い、排尿ができない場合は膀胱壁を緩め、尿道括約筋は収縮させて尿をさらに溜められるのだ。

ところで加齢で尿漏れが増えるのは膀胱の老化が原因でなく、これを下から支える骨盤底筋の衰えによるものが大きい。

特に女性は男性に比べて尿道が短く、妊娠・出産の影響もあって周辺のダメージを受けやすい。膀胱炎などの尿路感染症が女性に多いのも、尿道の短さとともに、尿道口が肛門と近く、細菌に感染しやすいことが理由にある。

とはいえ、男性も油断は禁物だ。大きなリスクは、糖尿病の悪化による神経障害で残尿感や“キレ”の悪さを引き起こすこと。前立腺が原因の排尿トラブルも、男性にとっては悩みのタネだ。