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“スリップインするだけ™”じゃない!《スケッチャーズ スリップ・インズ》快適学。
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普段は気に留めることのない臓器の数々。けれど我々のカラダでは、こうした“マイナー”な存在の臓器たちが地下アイドルのごとく地道な活動を続け、日々の健康を支えてくれている。そこで、今回は精液の一部をプロデュースする「前立腺」にフォーカスし、その驚くべき機能や働きをフィーチャー。
山本健人さん(やまもと・たけひと)/京都大学医学部卒業。外科専門医、消化器病専門医、感染症専門医、がん治療認定医など。Twitter「外科医けいゆう」で情報発信。16万部ベストセラー『すばらしい人体』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。
若さと元気があれば、普段は気に留めることのない臓器の数々。けれど我々のカラダでは、こうした“マイナー”な存在の臓器たちが地下アイドルのごとく地道な活動を続け、日々の健康を支えてくれている。
そこで今回は、精液の生成に関わる「前立腺」のキャラにフォーカスし、その驚くべき機能や働きをフィーチャー。加齢や病気にも負けないアイドルでいるため、気をつけたいポイントにも迫る。
前立腺は、男性のみに存在する臓器だ。精巣(睾丸)で作られた精子と混ざり合って、精液の一部となる前立腺液をリリースする役割を担う。
前立腺液は精子を保護したり、精子に栄養を与えたりするとともに、その運動機能を助けるのに欠かせない存在。しかし前立腺は若さがウリのアイドルだけに、加齢にはめっぽう弱い。トイレが近くなってきたら、要注意だ。
アイドルとしては太りやすい体質が悩みの前立腺。特に50歳以上になると前立腺肥大症の発生頻度はぐんと高くなる。これは炎症ではなく前立腺の組織自体が増殖したもので、テニスボール大にまで成長することもあるというから驚きだ。
加齢とともに前立腺が肥大すると尿道を徐々に圧迫して尿の流れを妨げ(=尿路狭窄)、キレが悪くなったり、残尿感を感じたりする。
膀胱が完全に空にならないと尿が膀胱内に長くとどまり、細菌が増殖して尿路感染症になることも。さらに長引けば膀胱を弱らせ、最終的に腎臓に損傷を与えることもある。
推測される原因はホルモンバランスの乱れのほか、肥満や生活習慣病もリスク因子とされる。長くアイドル活動を続けるなら、やはり生活習慣の見直しは多少なりとも必要のようだ。
近年、日本では前立腺がんの患者数が急増中。2020年代は年平均で10万人超えと、男性のがんで最も多い罹患数になるとの予測もある。
増加の原因としては、肉食を中心とした脂肪の摂り過ぎによる食生活の欧米化のほか、前立腺がんを早期発見するPSA検査の普及、また高齢化によって相対的に患者数が増えたことも考えられる。
症状としては前立腺肥大と共通し、むやみな治療には業界的にも賛否あるが、年齢やステージによってはやはり命にもかかわる。中年期以降は注視しておきたい。
取材・文/オカモトノブコ イラストレーション/室木おすし
初出『Tarzan』No.847・2022年12月15日発売