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寝て起きたら視力回復? 進化を続ける眼科医療の最前線

寝て起きたら視力回復? 進化を続ける眼科医療の最前線

写真はイメージです

加齢に伴う目の病気や視力低下をゼロにすることは難しい。しかし、近年は医療の進歩で、これまで治療が難しかった病気の治療や、手術なしで視力回復が見込める治療が登場してきている。

寝るだけで視力回復?オルソケラトロジーとは

朝起きた時に、目が見えるようになっていれば…そんな願いを叶える、オルソケラトロジーという治療法。その秘密は、角膜の形状を矯正する、特殊なハードコンタクトレンズにある。

「毎晩装着することで目の屈折率を正しい状態に近づけ、視力を回復させます。通常のコンタクトレンズと違い、日中は裸眼で過ごせるため、格闘技やサッカーなどの当たりが激しいスポーツや、水泳をはじめとした水中スポーツをする人には理想的。手術も必要ありません」(井上眼科病院の玉置正一先生)

早ければ数日で効果が出始めるが、治療可能な人には条件も。まず、強度の近視には効果が見込めない。近視度数が−1.00〜−4.00D程度が適応範囲といわれ、強い乱視や、遠視、老眼も対象外

また、角膜の形状や疾患などによっては治療できないことも。最近では、子供の近視進行抑制としても活用が進んでいるそうで、今後技術レベルが向上していけば適応範囲も広がるかも。さらなる発展に期待したい。

オルソケラトロジーの仕組み
オルソケラトロジー 1

角膜に近視、乱視があり、光が網膜より手前で焦点を結んでしまう。

オルソケラトロジー 2

レンズを装用することにより、角膜の形が変化する。

オルソケラトロジー 3

レンズを外すと、近視が矯正されて網膜で焦点が合うように。

遺伝子やiPS細胞で失明は治る?

「最先端といえば、再生医療や遺伝子治療。結論から言えば、見えない目が見えるようになるのは先の話。ですが、治療法がない難病の進行を食い止めることは可能になりつつあります」

視細胞(視覚として最初に光を受容する細胞)が機能しなくなる網膜色素変性症に対し、視細胞を保護する遺伝子を注入したり、iPS細胞から作った視細胞を移植する研究がその一例。

こうした分野において、日本は世界をリードする存在。その恩恵を受けられる日は、そう遠くはないのかもしれない。

時代はレーシック? ICL?

ひと昔前まで、メガネやコンタクトレンズから解放されたいならレーシックが主流だった。しかし近年よく聞かれるようになったのが眼内コンタクトレンズ(ICL)だ。レーシックのようにレーザーで角膜を削るのではなく、虹彩(茶目)と水晶体の間にレンズを固定する。

術後の見え方に不満があったり、合併症を発症したりした際にはレンズを取り出し、ほぼ元通りに戻すことが可能。可逆性のないレーシックと比べると、気持ちの面でも安心感があることが、注目を集める理由のひとつだ。

レーシック
レーシック 1

まずは、点眼麻酔を行う。

レーシック 2

電動メスやレーザーでフラップ(ふた)を作る。

レーシック 13

視力を矯正するレーザーを照射。

レーシック 4

フラップを元に戻し自然に癒着するのを待つ。

ICL
ICL 1

点眼麻酔をし、角膜を約3mmほど切開。

ICL 2

切り口からレンズを目の中に挿入。

ICL 3

虹彩と水晶体の間に固定する。

「もともとICLは、何らかの理由でレーシックを受けられない時に選択する治療法という立ち位置。それから劇的に進化し、いまや立場は逆転しつつあります。

現在はEVO+と呼ばれる第5世代のレンズが使われていて、術後の合併症や、夜間に光がにじむハロー・グレア現象のリスクも軽減されています」

メリットの多いICLだが、信頼できる病院選びが大切なのはレーシックと変わらない。自分に合う医療機関を見つけよう。

「眼科ドック」に行っていますか?

スマホやパソコンの画面を見る時間が長く、万年疲れ目状態の現代人。それが単なる“疲れ”のうちはまだいいが、放っておくと目の周りの血行が悪くなり、肩こりや頭痛などの症状にも発展する。

40歳を過ぎると、白内障緑内障糖尿病網膜症などの発症率が高くなる傾向にある。怖いのが、重大な眼の病気には、自覚症状が表れにくいものが多いこと。

さらに片眼に疾患が生じても、もう片方の眼が補うため、症状があっても自覚しづらいとか。だからこそ、年に一度の“眼の健康診断”が重要だ。

「下の表は私たちのクリニックで行っている基本的な検査です。赤外線による断層撮影などを行い、通常の健康診断では判断できない、失明の3大原因(緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性)もしっかり調べます」

異常を感じて眼科に掛かるのでは手遅れになることも。定期検診で早期発見、早期治療を心掛け、健康な眼を保とう。

検査項目 検査内容

他覚的屈折検査

機器を用いて近視・遠視・乱視を測定します。

自覚的屈折検査

遠方と近方の見え方を検査します。眼科で行う一般的な視力検査です。

持参した眼鏡視力検査

普段使用している眼鏡の度数で、視力を測定します。

眼圧

眼の硬さ(眼の中の圧)を測定することで、特に緑内障の診断に重要な検査です。

眼位

左右の眼の向きのバランスを眼位といいます。

眼位がずれて起こる斜視や斜位がないかを調べます。

調節機能

近くのものを見るときの調節力から「老眼」等を調べる検査です。

両眼視

両眼を同時に使用してものが立体的に見えているかを調べる検査です。

視野検査(ハンフリー)

視野(眼を動かさずに見える範囲)の中心部を測定します。緑内障の診断に有用です。

眼底撮影

眼の奥の網膜を撮影することで、視神経や、黄斑部(網膜の中心)、網膜血管の評価をします。

三次元眼底解析検査(OCT)

赤外線で眼の中の断層撮影を行い、網膜の層の状態などを撮影します。黄斑疾患、緑内障の診断が可能です。

涙液検査

ドライアイの検査で、涙の量を調べます。

角膜内皮細胞検査

角膜の内皮細胞を撮影して、その数・大きさ・形を調べます。

細隙灯顕微鏡検査

角膜や結膜、水晶体などを検査し、眼の傷や涙の状態の検査や、白内障などの有無を調べます。

BUT検査 涙液層破砕時間

涙液が角膜表面から乾燥する時間を測定し涙液の安定性を評価します。

CLINIC DATA

お茶の水・井上眼科クリニック

  • 住所:東京都千代田区神田駿河台4-3 新お茶の水ビルディング18・19・20階
  • WEB:https://www.inouye-eye.or.jp/clinic/
  • 受付時間:9:00〜17:00、日曜・祝日休診

取材・文/石井良 イラストレーション/内山弘隆 取材協力/玉置正一(井上眼科病院)

初出『Tarzan』No.844・2022年10月20日発売

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