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お尻のトラブルは、筋膜と筋肉の膠着に由来するケースが多い。とくに坐りっ放しだと、筋膜も筋肉も固まり、歪みが固定化。その結果、お尻が幅広に見えたり、筋肉が下に引っ張られてお尻がたるんでしまう。まずやりたいのは、筋膜マッサージを行う場所の特定。中臀筋を中心とする筋肉マップを頭に入れ、ピンポイントでテニスボールを押し当て、膠着した筋膜と筋肉をズラして剝がそう。
宇田川賢一さん
うだがわ・けんいち/FIELD RIVER筋膜治療院院長。あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師。2003年、筋膜治療師の道へ進む。アスリートから高齢者まで、一人ひとりに合わせた治療とボディケアを実践する。
中臀筋前側と大腿筋膜張筋の筋膜に膠着があると、大転子が外側に出てお尻が幅広に見える。同時にお尻の形を決める大臀筋が下に引っ張られるので、垂れて見える。
お尻の筋膜の膠着をリセットする筋膜マッサージで骨盤の位置を正し、お尻の大臀筋も鍛えることで、ヒップアップを目指そう。
筋膜マッサージは、テニスボールを使い、ボールが静かに深く沈み込む感覚が得られるまで、その姿勢を2〜3分間保つと効果的。
左側の中臀筋前側と大腿筋膜張筋(②の位置:下記「ターゲットとなるお尻の筋肉の探し方」参照)にテニスボールを押し当て、床で横向きになる。
右脚の膝を曲げて立て、左脚はまっすぐ伸ばす。両手を組み、頭の前に置く。側頭部を床につける。左脚をゆっくり曲げたり、伸ばしたりしながらマッサージ。右側も同様に行う。
仰向けで両膝を腰幅に開いて立てたら、床からお尻を浮かせて膝から肩まで一直線にする。大臀筋を締めてこの姿勢をキープ。
この状態で、鼠蹊部(ビキニパンツのライン)にある硬い靭帯を避けながら腹部側の深くに両手の指を押し込み腸腰筋をマッサージ。10秒続けたら、一度お尻を床に下ろしてリラックス。これを左右各4セット行う。
腰幅でまっすぐ立ち、肋骨と骨盤の間の脇腹で、いちばん柔らかいところに両手の親指を押し当てる。そこから真下に親指を押し下げると、硬い部分にぶつかる。ここが骨盤の左右にせり出た「腸骨稜」という場所。
親指のポジションをキープしたまま、中指をまっすぐ下ろした周辺で硬さを感じるのが、太腿の大腿骨から左右にせり出た「大転子」。中指から親指に向かい、扇状に広がるのが、お尻の筋膜マッサージでポイントとなる「中臀筋」。
このエリア一帯には、お尻の筋肉のほとんどが集まり、筋膜の膠着を引き起こしやすい。
取材・文/井上健二 撮影/マルコ・ペルボニ スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/村田真弓 マッサージ監修/宇田川賢一(FIELD RIVER 筋膜治療院院長、筋膜治療師)
初出『Tarzan』No.845・2022年11月2日発売