手の疲れ、痛み、冷え…。手の悩みに効くセルフマッサージ
普段はスルーしがちな「手」の不調。けれど微細な筋肉や腱などの組織が集まるパーツだけに、少し押してみるだけでも意外なほど凝りや疲れが蓄積しているのに気付くはずだ。しかもカラダの各部の不調が表れる「反射区」は手にも多数存在し、手もみをすれば一石二鳥の効果が得られる。今回は4つの悩みに効くマッサージを紹介。
取材・編集・文/オカモトノブコ 撮影/鈴木宏 スタイリスト/中野あずさ ヘア&メイク/大谷亮治 監修/市野さおり(リフレクソロジスト、看護師)
初出『Tarzan』No.845・2022年11月2日発売
市野さおりさん
教えてくれた人
いちの・さおり 英国ITEC認定リフレクソロジスト、看護師。整形外科、ICU勤務での臨床経験を活かし、代替療法を導入した統合医療ナースとして活動。『不調と美容のからだ地図』(日経BP)など著書多数。
悩み① 手の疲れを取りたい
ステップ1|手関節と腕の腱を8の字回しでほぐす
まずは手の付け根ほぐしからスタート。計4パターンの動きで神経を刺激し、腕の腱も気持ちよくストレッチできる。
指を組んで手を握り、「8の字」に5回、大きく回して逆方向も行う。さらに指を組み替えて回し、逆方向も同様に。
ステップ2|指の微細な筋肉と腱を反らしてストレッチ
日常では少ない「反らす」動きで、硬直した指の筋や腱をほぐす。
親指以外の4指を順に1本ずつ、5〜10秒反らす。続いて、人差し指から薬指までを3本まとめて握り、同様にストレッチを。反らす角度は90度を目標に反対の手も。
ステップ3|筋や腱を包む「鞘」を緩めてリンパを流す
指の皮下で筋や腱を包み、癒着しがちな「鞘(しょう)」を緩めて微細なリンパの流れもスムーズに。
親指から1本ずつ根元からふわっと包むように握って左右に2回ずつ優しくねじり、ピッと離す。5本の指で行ったら反対側も。
ステップ4|骨の間をギューッとほぐして癒着を取る
筋肉が硬くなって癒着した骨の間をほぐしてフィニッシュ。指の付け根の関節(親指はV字の付け根)の間を、反対の手の親指と人差し指で挟む。
骨同士を離すイメージで10〜30秒強く押し、4か所すべて行ったら反対側も。
悩み② 手を酷使した後の痛みを取りたい
→手首を圧迫しながらぐるっと大きく回す
重い荷物やウェイトを握りすぎて手や指がガクガクする、痛くて力が入らない…。そんなときは手首の腱を全方位的にほぐせば、心地いい解放感とともに手指が驚くほど楽に。
まず手首を強く握って圧迫し、手のひらと指はリラックス。握った部分にコップのフチがあるイメージで、ここをなぞるように大きく回す。各5回で反対回しも。
悩み③ 手が冷たくて辛い
→微細な血管の滞りを押す・緩める・流す
爪の根元にある微細な血管は、血流の悪化で消失しやすい。冷えの改善には、ポンプのように押す→緩めて流すメリハリある刺激で、こうしたゴースト血管の流れを促すと効果的。
爪の両側のキワをつまみ、ギュッギュッと5回ほど押す。次に、表面の皮をゆるゆる動かすように、爪の根元をやさしくさする。5本の指すべてを行い、反対側も。
悩み④ 指の動きをスムーズにしたい
→指を押し戻して回し、正しい位置に入れ込む
実は、指が付け根の関節に正しくはまっていない人が多いもの。そこで指を使う前には伸びて硬くなった腱を押し戻し、緩めてから正しい位置に入れ込むのが正解だ。突き指やバネ指の腫れを抑える効果もある。
指の真ん中より先をつまみ、根元に押し込んで左右に5回ずつ、小さく円を描くように回す。すべての指で行い、反対側も。