【細切れでもOK】運動で効果的に体脂肪を減らすコツ
脂肪燃焼目的で運動するなら、カラダの仕組みにのっとって、より効果的なやり方で取り組みたい。よく言うのが「20分以上運動しないと脂肪は燃えない」という説。これってほんとなの?できる範囲の運動で、効率的に体脂肪を燃やす方法を伝授します。
取材・文/石飛カノ イラストレーション/Hi there 監修・取材協力/土田隆(よこはま土田メディカルクリニック院長)
初出『Tarzan』No.835・2022年6月9日発売
20分間運動しなくても体脂肪は燃える
20分の連続運動をしなければ体脂肪が燃えない。かつて常識とされていたこの話、半分ウソで半分本当。
外に出て歩き出すと、エネルギーとして使い勝手のいい糖質がまず動員される。同時に血中の脂肪酸も消費され、それが枯渇すると体脂肪が分解されてエネルギーとして使われる。その分解に至るまでの時間が大体20分と考えられている。
じゃあ10分の運動では体脂肪は燃えないかというとさにあらず。30分続けて運動しても10分の運動を細切れに3回行っても消費される脂肪の量に大差はない。同じ強度の運動ならば合計時間さえ帳尻を合わせれば脂肪の減少効率はほぼ同じ。
ならば、こまめに運動を取り入れる方が断然習慣化させやすい。
30分続けて歩くのは億劫でも朝の通勤時と昼休みに10分ずつのウォーキングと夕方に犬の散歩を10分行う。これなら負担にならず、しかも「時間がない」という言い訳も活用できないはず。
ランニングの前に筋トレする方が体脂肪は減る
ランニングは走っている最中に脂肪がエネルギーとして利用される。これに対して筋トレは筋肉を合成して基礎代謝の低下を防いでくれる。体脂肪を減らすためには両方取り入れるのが理想的だ。
で、もし一日のうちに両方行うとしたら、最初に取り組みたいのは筋トレ。筋トレの最中は交感神経が優位になり副腎からアドレナリンが、そして運動後には脳から成長ホルモンが分泌される。
どちらのホルモンも脂肪燃焼作用があるが、運動後、長く持続的に作用するのが成長ホルモン。この成長ホルモン作用を利用して直に体脂肪をエネルギーとして使うランニングをすれば、脂肪燃焼効果の底上げが期待できるのだ。
脂肪分解を促す成長ホルモン分泌のタイミング
ただしこれ、あくまで体脂肪減のためのメソッド。有酸素運動を行うと酵素反応でカラダがタンパク質の合成をストップして無駄なエネルギー消費を防ぐことが分かっている。筋トレ効果も同時に狙いたいなら筋トレ後、3時間程度の時間を空けてランニングを。
上半身を使って歩けば脂肪が燃焼できる
筋トレ→ランのメニューを実践できるのは、もともと相当の体力がある人。そうではないメタボ予備軍の人は、まずウォーキングから始めることをおすすめする。
体脂肪を確実に減らすために重要なのは正しいフォーム。よく「1万歩歩いています」と言う人がいるが、もしかすると脚だけで歩いている可能性がある。
脂肪がたっぷり蓄えられているのは主に股関節から上の部分。ならばそこを動かさずしてどうする?という話。
ウォーキングのポイント
- 視線はまっすぐ前に
- 背すじを伸ばす
- 腕を大きく振る
- 肘は直角に曲げる
- 大股で歩く
- 踵で着地
肘の角度を直角にキープして大きく振るのが最大のポイント。腕を振ることで背中の広背筋が稼働する。広背筋は上半身の中でかなり大きな筋肉だが、デスクワークでは伸展されるばかりで収縮しない。だからこそ、ウォーキングでダイナミックに動かして脂肪燃焼効率をアップさせるのだ。
上半身の筋肉を動かして初めて、脚で行うただの「移動」から「運動」になる。今日から励もう。