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“スリップインするだけ™”じゃない!《スケッチャーズ スリップ・インズ》快適学。
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肥満体型になると、見た目もさることながら一番気になるのが病気のリスク。特に男性は、体脂肪の中でもカラダに悪影響を与える内臓脂肪を溜めやすい。また追い討ちをかけるように、日本人は欧米人と比べ内臓脂肪やつきやすい民族らしい…。日本人男性の皆さん、内臓脂肪の危険性を再認識して、早急に対策を。
同じ太るにしても男性は内臓脂肪、女性は皮下脂肪として体脂肪を蓄積しやすい。
内臓脂肪で上腹部がぽっこり膨らむ男性の肥満はリンゴ型、皮下脂肪で下腹部から腰まわりが豊かになる女性の肥満は洋ナシ型と呼ばれる。
この違いは男女のホルモンの働きによるものと考えられている。
女性は女性ホルモンの働きで余った分のエネルギーを皮下脂肪へと誘導する。というのは、妊娠・出産というライフイベントがあるから。体脂肪の役割のひとつは外部の衝撃から身を守るためのクッション。子宮を保護するために下腹部周辺に体脂肪が集まるようプログラムされていると考えられる。
一方、男性には狩りをして妻子を養うという大事な役目がある。内臓脂肪は皮下脂肪と異なり、多くのホルモンを分泌する特性を持つ。適正量の内臓脂肪からは血管修復や脂肪燃焼を促すといったホルモンが分泌されているのだ。
その助けを借り、元気に動いて狩りをするため、男性は内臓脂肪を溜めやすいという考え方もできる。
体脂肪率の指標で肥満と判定されたとしよう。同じ肥満でも皮下脂肪型肥満で気になるのは見た目のみ。これに対して内臓脂肪型肥満は見た目プラス健康に害を及ぼすというのが厄介なところ。
適正量の内臓脂肪はカラダにいい作用を及ぼすホルモンを分泌する。だが適正レベルを超えると一転、メタボのリスクを高めるホルモンを出す。
たとえば高血圧を促すアンジオテンシノーゲン、インスリンの効き目を阻害するTNF-α、動脈硬化を促進するPAI-1などなど。これらの総称を悪玉のアディポサイトカインという。
で、今のところ内臓脂肪型肥満の指標のひとつがウェスト周径。男性なら85cm、女性なら90cm以上がその条件となっている。ただし、一律にウェストサイズだけで判断するのはちと早計。
とくに大柄の男性の場合、標準体型でもウェスト85cm以上という人は珍しくない。もう一つの指標、ウェスト/ヒップ比で再確認。お尻が小さくお腹が大きければまず間違いなく内臓脂肪型肥満だ。
ウェスト÷ヒップが男性0.9、女性0.7を超えると内臓脂肪型肥満。
日本人は欧米人に比べ、総じてスリム。椅子にハマって立ち上がれないほどの超肥満体型の人はあまり見かけない。その一方で、ちょっと太っただけで糖尿病などのメタボ系の病気になってしまう。
その理由は内臓脂肪が溜まりやすいせいといわれる。
ということで、実際、日本人男性と欧米の白人男性の脂肪量を比較したデータがある。それぞれウェストサイズ別の4グループに分け、皮下脂肪量と内臓脂肪量を比較したところ、いずれのグループでも白人男性の方が皮下脂肪量が多く、日本人男性の方が内臓脂肪量が多いという結果になった。
つまりこれ、同じような体型でも日本人の方が悪玉アディポサイトカインを出す内臓脂肪が多く、やっぱり病気のリスクが高いということ。
とくにウェストサイズが85cm以下で内臓脂肪が多い場合は、BMIでもウェスト/ヒップ比でも肥満と判定されない、いわゆる「隠れ肥満」タイプ。自覚なきままメタボに陥る可能性がある。毎年の血液検査の結果を注視のこと。
若い頃は食っちゃ寝の生活で一瞬太っても、すぐにリセットすることができたもの。でも30代40代になると食生活の乱れが即、体脂肪や体型に反映し、しかもなかなかリセットできなくなる。
男性の場合、その原因のひとつは男性ホルモンであるテストステロンの減少。テストステロンの働きは筋肉を合成し体脂肪を燃焼させること。20代をピークにその分泌が右肩下がりになるため、内臓脂肪が溜まりやすくなるのだ。
さらにストレスがかかると副腎からコルチゾールという抗ストレスホルモンが分泌される。このコルチゾールが常に血糖値を高い状態に保ち、しかもテストステロンを減少させる。二重の意味で内臓脂肪の蓄積に拍車をかけるのだ。
同じストレスがかかっても抑うつ状態で食欲が落ち、げっそり痩せる人も確かにいる。でも多くの場合、コルチゾールによる高血糖、高血糖を保つための無意識の過食で内臓脂肪が必要以上に溜まるというのが、中年男性の悲しいサガ。
取材・文/石飛カノ 撮影/中島慶子 イラストレーション/Hi there 監修・取材協力/土田隆(よこはま土田メディカルクリニック院長)
初出『Tarzan』No.835・2022年6月9日発売