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何もしないと2週間で100g。体脂肪が増える4つの理由

何もしないと2週間で100g。体脂肪が増える4つの理由

在宅時間が増え、日増しに目立つお腹の贅肉。なぜ、体脂肪はみるみると増えてしまうのか。年を重ねるとともに変化するあなたのカラダは確実に脂肪を溜め込みやすい体質へと変化している。知っておきたい体脂肪が増える理由とメカニズムを徹底解剖。

理由① 加齢とともに筋肉量が減る

40代以降は下半身の大筋群を中心に筋肉が年1%の割合で減っていくといわれている。今現在の筋肉量が25kgあったとしよう。25kgの1%減で筋肉が年250g減る。

寝て過ごす 筋肉減少のグラフ

筋肉減少のグラフ/何もしなければ20代以降、下半身の筋肉は男女ともに右肩下がりに減っていく。谷本ら、老年医学2009

筋肉は黙っていても1kgにつき1日13キロカロリーのエネルギーを消費するので、この消費分が帳消しになれば体脂肪として蓄積される。換算すると、1年で約170g脂肪が増えることに。

だらだら寝て過ごした場合はもっとすごい。2週間寝たきり状態で過ごすと筋肉は約15%減るという実験報告がある。

寝て過ごすとどうなる? グラフ

寝て過ごすとどうなる?/寝たきり実験の筋肉の厚みの変化。上腕にはほとんど変化がないが下半身の厚みは激減。Abe et al. J Grav Physiol 1998

無重力状態で負荷がほとんどかからないからだ。筋肉量25kgとしたら、3.75kgの筋肉が減。これを体脂肪に換算すると2週間で約100gの体脂肪が増えることになる。

2週間寝たきり状態で過ごすと筋肉は約15%減るという実験報告

もちろんこれは、あくまで数字上の話

でもリモートワークで外出が減り、一日屋内で過ごしがちという人。2週間で100gとしたら1か月、半年、あるいは1年でどれだけ体脂肪が増える可能性があるか想像してみてほしい。実に恐ろしい話。

理由②  ヒトの基礎代謝のピークは17歳

下のグラフをご覧いただこう。ただじっとしているだけで消費される基礎代謝量の年齢別基準値だ。呼吸をしたり心臓を動かしたり密かに発汗したり体温を維持したりするだけで、これだけのエネルギーが消費されている。

男性の基礎代謝のピークは15~17歳で1日約1600kcal

男性の基礎代謝のピークは15~17歳で1日約1600kcal。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」より

基礎代謝の内訳は下のイラストの通り。

基礎代謝の内訳

最も多い割合を占めているのは肝臓、続いて脳、僅差のナンバー3は筋肉だ。そして加齢による影響を最も受けやすいのがこの筋肉

年齢を重ねるごとに新陳代謝は下がり、活動量も低下する。若い頃は一見無駄に思える行動に走ることもある。でも歳をとるごとに無駄なことはしなくなり、週末は家にこもりがちになる。すると活動によるエネルギー消費量が落ちるとともに筋肉と基礎代謝が減り、余ったエネルギーが体脂肪として蓄えられる

男性の場合、基礎代謝のピークは17歳。その頃の体重体型と今のそれ、どのくらいかけ離れてしまっただろうか? 過去の写真を眺めつつ改めてセルフチェックを。

理由③ BMI値だけでなく体脂肪率も見ないと太る

肥満を判断する指数のひとつにBMIがある。これは体重をメートル換算した身長の2乗で割った数値で、男女問わず25以上で肥満と判断される。日本肥満学会では最も健康的な適正体重をBMI22としている。

BMI 算出方法

ただし困ったことに筋肉が多い人、逆に筋肉が少なくて脂肪が多い人は必ずしもこのBMI基準に当てはまらない

同じ体積でも脂肪は軽く筋肉は重い。BMI25以上でも筋肉が多い場合は肥満とは言えないし、逆にBMIが22でも筋肉がほとんどなく脂肪が多い場合は立派な肥満なんてこともある。

というわけで、BMI的には問題ないけれど、ウェストにハミ肉が乗っかってベルトがキツくなったという人、いま一度体脂肪率をチェックしてみよう。体脂肪率と肥満度の関係は下に示した通り。男性なら20%未満、女性なら30%未満を目指すことが、ひとまずの目標となる。

体脂肪計を持っていない人は一度フィットネスクラブの体験入会、またはスーパー銭湯へ。

体脂肪率と肥満度の目安表
女性の体脂肪率 男性の体脂肪率 状態
15%以下 9%以下 極限まで絞ったカラダ(プロのアスリート)
16~22% 10~14% 引き締まったカラダ(ファッションモデルなど)
23~29% 15~19% 標準的なカラダ
30~34% 20~24% 軽度肥満(腹部が少し出ている)
35~39% 25~29% 中度肥満(腹部がけっこう目立つ)
40%以上 30%以上 重度肥満(明らかに肥満とわかる)

理由④ 脂肪細胞は死ぬまで増え続ける

数十年前、脂肪細胞の数は成長期まで増えるがそれ以降は一生増えもしなければ減りもしないといわれていた。太っている人と痩せている人の脂肪細胞の数は同じでも、前者は一つ一つのサイズが大きく、後者は小さいと長い間理解されていたのだ。

ところが現在では、脂肪細胞は他の細胞と同様、増殖するのが常識と捉えられている。脂肪細胞は血液中の脂肪を取り込んでどんどん膨らむ。そしてある程度サイズが大きくなったところで分裂・増殖するのだ。

脂肪細胞は死ぬまで増え続ける

細胞には寿命があり、日々減ると同時に増えている。この仕組みは太ってる人でも痩せている人でも同じ。ただ、太っている人は四六時中食べ物を口にすることで一つ一つの脂肪細胞のサイズが大きくなり、さらに細胞の分裂・増殖スピードが速いという可能性は十分にある

ソファに横になってゴロゴロ過ごしているだけでも体脂肪は増えるのだ。さらにその体勢でお菓子を食べると、さてどうなる?

取材・文/石飛カノ 撮影/中島慶子 イラストレーション/Hi there 監修・取材協力/土田隆(よこはま土田メディカルクリニック院長)

初出『Tarzan』No.835・2022年6月9日発売

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