目指せ、20日で内臓脂肪1kg減! 健全な食習慣を取り戻す8のルール
正直、ちょっと食事を節制すれば水分が抜けて体重1kg程度はすぐ減らせる。でも、ここで目指すのは内臓脂肪を1kg分減らすこと。そのためには乱れた食生活を元のリズムに戻し、食べ方を少しだけ工夫する。カロリーに注目するのではなく、健全な食習慣を取り戻すことに専念しよう。
取材・文/石飛カノ、井上健二 撮影/大嶋千尋、山城健朗 スタイリスト/西森萌、ヤマウチショウゴ ヘア&メイク/天野誠吾 イラストレーション/松原光、沼田光太郎 栄養監修・調理/河村玲子 エクササイズ監修/神戸貴宏
初出『Tarzan』No.825・2022年1月4日発売
目次
8つのルールをできるものだけ
今回、内臓脂肪1kg減のために紹介する食事ルールは8つ。内臓脂肪を少しでも減らしたいという志がある人ならば、絶対無理!というルールはひとつもないはず。
この中からできるものだけ選んで、とりあえず毎日続けてみてほしい。もちろん途中でルールをプラスしていくのは大歓迎。20日間続けてみれば、以前より過度な空腹を覚えることが少なくなり、満腹になれば箸を置く自分がいるはずだ。最後の運動は気が向けば行うくらいの心持ちで取り組んでみよう。
一日の食事にメリハリがついてきたら内臓脂肪は確実に1kg減ったと考えていい。
① 食べ時間は12時間以内
地球上の生き物のカラダには地球の自転リズムに同調する体内時計が備わっている。毎日、朝シャキッと目が覚めて、夜まったり眠くなるのはこの体内時計が正しく作動しているからだ。
食事のタイミングとこの体内時計を関連づけたのが時間栄養学という学問。体内時計に従って食事をすれば、太りにくく、健康なカラダを保てるという考え方だ。
時間栄養学に関する論文の中には、朝食を食べてから7時間以内に一日の食事を終えるのが理想的という説もある。逆に朝食から夕食までの時間が長いと体内時計が乱れ、過食に繫がるという話。
普段、朝食べてから何時間後に夕食を終えたか振り返ってみてほしい。15時間? いや16時間かも? これ、体内時計は狂いまくり、食欲コントロールもままならない状態といえる。
7時間以内に3食を食べ終えよとは言わない。せめて12時間以内で3度の食事時間を設定しよう。
② 間食は200キロカロリー以内
えっ!?間食、食べていいんですか? もちろん食べてオッケーだ。一日のカロリーオーバーに繫がらない上限で、200キロカロリー以内というルールを守ったうえでなら。
食事は1日3回とし、200キロカロリーの間食は1日1回ときっちり仕分ける。これだけでも食事リズムが整い、無意識の過食は防げるはず。間食のタイミングはあなた次第。ひもじくなったら即、口にしてもよし、心のお守り代わりに夕食直前まで残しておいてもよし。
200kcal以内の間食の例
品目名 | 摂取量 | カロリー数 |
---|---|---|
カスタードプリン | 1個 | 189kcal |
大福 | 1個 | 165kcal |
カステラ | 1切れ | 160kcal |
サツマイモ | 1/2本 | 160kcal |
せんべい | 2枚 | 170kcal |
チョコレート | 1/2枚 | 200kcal |
③ カーボラストで食べる
少し前、盛んに推奨されていたのがベジファーストという食事の仕方。人々はキャベツやレタスをモリモリ食べた後、おもむろに主菜や主食に取りかかっていたものだ。その根拠は野菜を先に食べると食物繊維の働きで栄養がゆっくり吸収されるから。
でも、最近の肥満研究では、重要なのは野菜を先に摂ることではなく、主食の炭水化物を最後に食べることという見解に軍配が上がっている。
消化管に栄養素が送られてくると血糖値を下げるインスリン作用を促すホルモンが小腸から分泌される。結果的に、その後炭水化物を食べても血糖値が上がりにくい。内臓脂肪として蓄えられやすいのは、なんといっても糖質。食後に血糖値が上がりすぎなければ、そのリスクは低くなるというわけ。
食事を始めてから主食を口にするまでに最低でも20分空けることがポイント。ゆっくり食べてカーボラストが内臓脂肪減の秘訣だ。
④ 具が大きい、硬いものを食べる
ここでは食事のカロリーは一切気にしなくていい。その代わり食材の硬さや大きさに注目してほしい。
自立しないふわふわのパンよりハードなドイツパン、挽き肉を固めたハンバーグではなく塊肉のステーキ、間食はおまんじゅうではなくせんべいという具合に、食べるならより硬いもの大きいものをチョイスしてほしい。
理由はそれらの食材を口にすることで咀嚼回数が多くなるから。よく嚙むことで脳の咀嚼中枢が刺激され、ヒスタミンという物質が分泌される。このヒスタミンが満腹中枢を刺激して食べ過ぎを防ぐ。
さらに、大量のヒスタミンは交感神経を刺激して内臓脂肪の燃焼にひと役買うことも分かっているのだ。嚙めば嚙むほど効果は絶大。
⑤ 外食は和食縛り
自炊する際はステーキを豪快に焼いたり、具がゴロゴロのビーフシチューを作って食べてもノープロブレム。でも、外食の際は同じようなメニューを食すのは避けたいところ。
外食ではより美味しさを増すための工夫がこれでもかと凝らされている。ステーキのお供に肉汁まみれのガーリックライスがもれなくついてきたり、ビーフシチューの具材があらかじめたっぷりのバターで炒められていたり。
内臓脂肪として最も蓄えられやすいのは糖質だが、だからといって油脂をいくらでも摂っていいわけではない。余ったエネルギーはいずれ脂肪となってカラダに溜まる。油脂が過剰になりがちな外食は、敢えて和食であっさり決めよう。
⑥ 明朝セットを作る
体内時計のリズムを整えるために必要な条件はひとつに朝の光、ふたつに朝食。光刺激で脳の体内時計が目覚め、朝食によって末梢の体内時計がそれに同調する。朝食抜きでは午前中の代謝も上がらず、内臓脂肪はちっとも減らない。
というわけで、この記事を読み終わったら早速スーパーやコンビニに行き、夕食とともに翌朝の朝食セットを入手しよう。たとえばハード系パン、サラチキ、冷凍ブロッコリーにヨーグルト。おっと、念のため本日の夕食は就寝3時間前に切り上げることを忘れずに。
⑦ 眠りセットを摂る
今、眠りたくても眠れないカラダになっていないだろうか。その状態でダイエットにとりかかるのはかなり非効率的。睡眠不足もまた、内臓脂肪蓄積の要因だからだ。
こんな実験報告がある。1日10時間眠っていた人が4時間睡眠を2日続けると、食欲を抑えるレプチンというホルモンが減少し、逆に食欲を高めるグレリンというホルモンが増加する。しかも甘いものや炭水化物を欲する傾向があるという。
そこで、夜中の悩ましい食欲に覚えがある人は、朝食や夕食に睡眠を促す食材を取り入れてみてほしい。朝食には睡眠を誘うホルモン、メラトニンの材料となるトリプトファンを含む乳製品を。一杯の牛乳が今晩の眠りをサポートしてくれる。
夕食には交感神経の働きを抑制し、脳をリラックス状態に導くGABAが豊富な発芽玄米や納豆などがおすすめ。まずは眠りセットを常備し、睡眠を整えることから。
⑧ 冷蔵庫に目標を貼る
なんとなく口寂しくて冷蔵庫を開けたら、あっ、カマボコ見っけ、ハム見っけ、ついでにビール見っけ、飲んじゃおっと!という具合に。
そんなことにならないよう、冷蔵庫のドアに「○日までにマイナス1kg」と目標メモを貼っておく。メモを見るたび、無意識にドアに伸びる手にストップがかかるはず。古典的だが思った以上に効果はある。
気が向いたらゆるダイナミックストレッチ
内臓脂肪の減量には運動も欠かせないが、1kg減程度なら本格的な運動は不要。カラダを大きく動かすダイナミックストレッチで十分だ。
運動が苦手で嫌いな人でも取り組みやすいように、今回は椅子に坐ったままで気が向いたときに行える種目を紹介する。名付けて「ゆるダイナミックストレッチ」だ。
ゆるダイナミックストレッチのやり方
立って下半身を使うと、大きな筋肉が多数参加するため、心拍数が上がりすぎて辛くなり、長続きしない。その点、下半身を使わない「ゆるダイナミックストレッチ」は、心拍数が上がりすぎないから、バテないで楽に続けられる。
3種目とも20秒間にできるだけ大きな動きを、なるべく速く行うようにすると効果的。1〜2サイクルやってみよう。