カラダを「眠りの状態」にシフトさせる温冷メソッド| 夜の自律神経メンテ術⑦
自律神経の働きを支える良質な睡眠、その鍵を握るのは「交感神経→副交感神経」の切り替えだ。幸い、交感神経から副交感神経優位な状態へと移行する方法は多々ある。【夜の自律神経メンテ術】は仕事後〜就寝の間にできるメソッドを紹介。今回は5つの「温冷メソッド」。
取材・文/石飛カノ イラストレーション/内山弘隆 取材協力/菅原洋平(作業療法士)
初出『Tarzan』No.821・2021年10月7日発売
① レッグウォーマーで足首を温める
就寝前に足首を触って冷えているという場合は、とにかく温めること。理由は足首周辺の動脈が冷えて収縮していると、カラダの深部の熱を外に逃がすことができないから。
速やかに入眠するには手足から放熱して深部体温を下げることがマスト。そこでレッグウォーマー、または足先を切った靴下などを履いて足首を温めてみよう。
ただし、靴下を履く場合はそのまま寝ると足裏から放熱しにくいので、しっかり温めた後、脱いでから就寝を。
② ホットタオルで首を温める
寝る前に目や口が乾いていたり呼吸が浅いと感じたときの対処法。唾液腺、涙腺、呼吸器などの調節を行う副交感神経の塊は後頭部と首の間にある。この部分を温めて神経活動を促すと、目や口が潤ったり呼吸が楽になる。
ハンドタオルなどを濡らしてレンジで温める、またはタオルをお湯につけて絞ったホットタオルを作って首の後ろに当ててみてほしい。就寝15〜30分前に行うと効果的。
③ ホットパックで仙骨を温める
気温が下がる秋口から冬、腎臓を担当する交感神経の活動が高まり、夜中に尿を作り過ぎてしまうことがある。すると夜中に頻繁にトイレに通うハメに。これを防ぐためには眠る前、ホットパックや湯たんぽで仙骨を温めるのが良策。
腰とお尻の中間、骨盤の中央に位置するゴツゴツした骨が仙骨だ。ここは腎臓を拮抗支配する副交感神経の神経節がある場所。温めて神経活動を促せば交感神経が鎮まる。
④ 保冷剤で耳から上を冷やす
仕事や人間関係など、心配事が頭の中でぐるぐるしているときは脳の温度を下げて考え事を強制停止。枕の上半分にタオルを巻いた保冷剤を敷き、耳から上を乗せる。冷凍したタオルを額に乗せるという方法でもOK。
習慣にすると、眠る前に脳の温度が下がるというリズムづくりに役立つ。ただし、冷やすのはあくまで耳から上。首に近い部分を冷やしてしまうと副交感神経の働きが鈍るので要注意。
⑤ ホットタオルで足の裏を拭く
足の裏が火照って眠れないというときにおすすめ。濡らしたタオルをレンチンしてホットタオルを作り、足の裏や指の間を拭く。ホットタオルの蒸気による気化熱で足の熱が奪われることで深部体温を放熱しやすくなる。
脇の下や膝の裏など血管が集中している部分を拭くとなおスッキリ。ちなみに火照っているからといって冷たい水で冷やすのは逆効果。冷やすことで血管が収縮し、深部体温が逃げにくくなる。