カラダを目覚めさせる「パーフェクトな朝食」とは?|朝の自律神経メンテ術④
ただベッドから起き上がれば、カラダが目覚めるわけじゃない。脳を起こし、臓器起こし…と、カラダの中で自律神経(交感神経と副交感神経)を切り替えるために何をすべきか。【朝の自律神経メンテ術】は起床後にできるメソッドを紹介。4つめは「朝食」について。
取材・文/石飛カノ 撮影/小川朋央 料理製作・スタイリング/河村玲子(管理栄養士)
初出『Tarzan』No.821・2021年10月7日発売
朝食で全身の時刻合わせをしよう!
朝一番に光を浴びることは体内時計のリセットおよび交感神経のリスタートには欠かせない。ただし、光さえ浴びれば一日を始める準備万端整ったというわけではない。光でリセットされるのはあくまで脳の中枢の時計。体内時計は全身の組織に個々に存在しているので、こちらはまだ寝起きのぼんやり状態。
このように、頭の時計とカラダの時計がズレた状態は、いわば時差ボケと同じようなこと。末端の時計をシャキッとさせるには別の刺激、そう朝食というリセット因子が必要になってくるのだ。
厳密に言うと、リセット因子は朝食に含まれる栄養素。まず筆頭に挙げられるのは糖質だ。糖質を摂取すると膵臓から血糖を下げるインスリンというホルモンが分泌される。このインスリンが肝臓をはじめとする末梢の体内時計を中枢時計に同調させる役割を果たすのだ。さらに魚に含まれる油もインスリン分泌の強化を促すという。
また、早稲田大学の柴田重信教授らの研究によれば、タンパク質摂取で分泌されるIGF−1(インスリン様成長因子)やグルカゴンといったホルモンも時刻合わせにひと役買うことが分かっている。
朝食はこれらの栄養素の恩恵を受ける絶好の機会。よって欠食はくれぐれもNG。食べる習慣がない人はステップを踏みながら理想形に近づこう。
ステップ① なにはなくとも糖質を摂る
朝食抜きで家を出た場合、脳の中枢以外のカラダは寝ぼけたまま。昼食にありつくまではいまいちスイッチが入らない状態だ。よって最低限、糖質を含む朝食を口にする習慣をつけるべし。コンビニのおにぎり1個、ロールパン1個でも構わない。インスリンの力を借りて全身の組織を覚醒させよう。
ちなみにスムージーはおすすめできない。果物に含まれている糖質は主に果糖。でんぷんに含まれているのはブドウ糖。同じ糖質でも果糖はブドウ糖に比べてインスリンを分泌させる働きが弱いからだ。
ステップ② 余裕があればタンパク質も
タンパク質にも体内時計リセットの作用があることが分かっている。タンパク質を構成するアミノ酸を摂取すると、インスリンと非常によく似た構造のIGF−1という物質が作られるからだ。
ならば、糖質だけでなくタンパク質も同時に摂ることで、末梢の体内時計が中枢と同期し、交感神経の働きによりはずみがつく。たとえばごはんには納豆、ベーグルにはカッテージチーズをオン。消化に手間がかかるタンパク質の代謝によって体温も高まるので、カラダは超アクティブになるはず。
ステップ③ パーフェクトなモーニングを作る
朝食を食べる習慣がついてきたら、最終ステップはパーフェクトモーニングへのトライ。狙いのおかずは肉より魚。というのも魚の油にはインスリンの分泌を強化する働きがあるから。魚油が豊富な青魚、鯖缶などが狙い目だ。
洋風朝食ならばスモークサーモン。こちらは魚油だけでなくアスタキサンチンという色素成分によって、脳の神経細胞の抗酸化効果も期待できる。
また、朝食では脂質の消化が速やかに行われるので、ビタミンAやE、トマトのリコピンなど脂溶性の栄養素を一緒にいただけばもう完璧。
例:エッグベネディクト
例:鯖缶ぶっかけそば