夏直前。今からできる「胸・肩・背中」自宅トレ
“脱げるカラダ”を目指す上で、真っ先に鍛えたいのが上半身だ。そのなかでも見た目の印象を変える重要な3部位、「胸・肩・背中」をトレーニングする方法を解説する。自宅トレーニングでしっかりとパーツを磨こう!
脱げるカラダとは?
2015年から雑誌『ターザン』が特集している夏の恒例企画。本当に脱ぐかどうかはさておき、自分自身が満足できるカラダ=「脱げるカラダ」と称して、ボディメイクのメソッドを紹介している。
変化を意識しやすい上半身重要3部位
今の自分が脱げるカラダかどうか。そのジャッジをするうえで、やはり見過ごせないのが上半身。
「カラダづくりに精を出して周囲から“なんか変わった?”と聞かれる時、その変化に気づいた人の大半が上半身のシルエットの違いから言っているはずです。
上半身と一口に言ってもさまざまな筋肉がありますが、見た目において核となるのは背中、胸、肩。割れた腹も惹かれますが、その前にこの3つを鍛えておけば、着衣姿でも筋肉美を想起させるカラダになれます」
と語るのは、ボディコンテストのフィジーク部門での優勝歴を誇り、普段は老若男女問わず幅広い層のクライアントにカラダづくりを指導している有馬康泰トレーナーだ。
「男性のお客さまには厚い胸板に対する憧れが強い人が少なくないですが、胸板といっても胸筋だけでなく背筋が伴ってこそ、というのが僕の考えです。肩の三角筋も抜かりなく鍛えることで上半身が目立つバランスのいい形になります」
文句なしの脱げるカラダになるには当然ながら知恵がいる。有馬さんから徹底的にコツを学ぼう。
まずはギアと運動前後のストレッチを確認
「今回ご紹介する種目を正しく実践すれば、自宅トレでも十分です。上半身の印象が変わりますよ!」と有馬康泰トレーナー。
上半身トレを始める前に用意してほしいのが、ゴム製のトレーニングチューブだ。
「伸縮性を生かして使いますが、チューブを伸ばす長さや握る手幅により負荷を調節できます。筋力や種目の得手不得手に応じて最適な負荷で安全に鍛えられるので、自宅トレの必需品だと思います。種類も豊富ですが、輪っか状のバンドタイプやひも状のチューブタイプを選べばさまざまなエクササイズに使えます」
さっそく!と前のめりになる気持ちはわかるが、その前に準備も必要だ。それが動的ストレッチ。
「運動前後のストレッチがケガの予防につながるのは知っての通りですが、事前に関節まわりをほぐして筋肉のこわばりを解くことで、血流が増えて筋肉や関節の動きが改善され、反応も格段に良くなります。せっかく頑張るなら、効率よく!」
動的ストレッチ3種目
背中のトレーニング
全ての土台となる大筋群を鍛えることが筋トレの基本。それは「脱げるカラダアンケート」に答えたトレーナー陣の総意だ。よって上半身で最も大きい背筋は重要なパーツ。
「広背筋の強化は必須で、大円筋などの周辺の筋肉も一緒に鍛えれば広さと厚みの両方が手に入ります」(有馬トレーナー)
また鍛えているのに映えない場合、背筋が不十分である可能性が。
「猫背や巻き肩は背面の筋肉=背筋が弱くて肩甲骨が開いているのが原因の一つ。背筋を鍛えると肩甲骨の位置が正され、胸をしっかり開いた堂々たる姿勢も手に入ります」
背中トレの回数と頻度
- 週3回
- 各種目15回×2〜3セット
背中トレ① ベントオーバーロウ
カラダをサイドから見た時の上背部の厚みをつくる。上体を一直線に保つうえで意識すべきは股関節の正しいポジションを保つこと。座り仕事が多い人ほど動作中に骨盤が後傾する。腹部に力を入れて骨盤の位置をキープしよう。
- 腰幅程度に開いた足でチューブを踏む。
- チューブの両端を膝下付近で握り、膝は軽く曲げておく。
- 両肘を後ろに引いて肩甲骨を寄せる。
背中トレ② ワンアームラットプルダウン
背中の広がりをつくる。チューブを折り畳んで短くしてから両端を握り、スタートの姿勢の時からピンと張った状態で開始。一連の動作をカラダの前側でなく頭より後ろ側で行うことで、肩甲骨を寄せやすくなる。
- チューブの両端を握り、肘を軽く曲げた状態で頭上に上げる。
- 肘を曲げたまま、片方の手を弧を描くように引き下ろす。逆側も同様に。
胸のトレーニング
読者の多くがコンプレックスとする胸。一方で、絶対的な脱げるカラダの象徴でもあることは確かだ。「脱げるカラダアンケート」のトレーナーの回答においても、脱いでいない時も“鍛えている”感が分かる部位として胸を挙げる声が多数。
「胸筋があれば水着はもちろんのこと、スーツからTシャツまで、どんな服を着ても見栄えします。前提として、大胸筋の上部、中部、下部を鍛え分けることでスクエアなフォルムに仕上がることを念頭に」
各部位に特化した種目を有馬さんが厳選。一つずつ攻略すべし!
胸トレの回数と頻度
- 週3回
- 各種目15回×2〜3セット
胸トレ① スタンディングインクラインプレス
鎖骨下に位置する大胸筋上部を盛って胸の存在感を高める。胸を張り斜め上に向けてからチューブをかけた手を押し上げていく。動作中、両肘の直角をキープするイメージで押し上げていくと、上部にピンポイントで効かせられる。
- チューブを輪っか状にして、腰幅よりやや広めに開いた足で踏む。
- 両手の親指と人差し指の間にチューブを引っ掛けて鎖骨付近にセット。
- 両手の間隔を保ったまま、両手を天井に向けて上げる。
胸トレ② オルタネイトプッシュアップ
大胸筋中部を鍛えて、胸のピークを高い位置に引き上げる。そのためには両胸の乳頭を結んだ同一直線上に両手をついて行うこと。また、中央のポジションを起点に左右交互に片肘ずつ曲げる際、肘から下が垂直になるように意識。
- 両脚を揃えて後方に伸ばし、
- 両手を乳頭の位置の延長線上に広めにつく。
- 片腕の肘を直角になるまで曲げたら、
- 元の位置に戻り逆側も同様に。
胸トレ③ チェアプッシュアップ
大胸筋下部を強化してカットを入れて、輪郭がくっきりと際立った胸筋に仕上げる。動作中も頭から足までの一直線を維持するべく、顎を軽く引いて常に腹部を力ませておくよう意識。肘が直角になるまで上体を下ろすこと。
- 椅子を2脚用意して、カラダの両脇に配置。
- 両脚を揃えて後方に伸ばし、両手を座面にセット。
- 両肘が座面に対して直角になるまで曲げる。
肩のトレーニング
上半身の隠れた重要パーツ、肩。骨格そのものを変えるのは無謀だが、肩の筋肉は努力次第で盛り放題。
「全身を正面から見た時に最も外側に位置するのが肩です。肩関節を覆う三角筋を鍛えれば、上半身のアウトラインは確実に変わります」(有馬トレーナー)
形よく仕上げるには前面、中間部、後面に分けて鍛えるのが原則。
「見た目の雰囲気を変えるには中間部の強化に注力すれば正面から見た時の肩幅の広さを強調できます。また座り仕事などで前面が過緊張状態にある人が多く、その場合は普段使えていない後面を強化しましょう」
肩トレの回数と頻度
- 週3回
- 各種目15回×2〜3セット
肩トレ① サイドレイズ
アウトラインを印象付ける肩の中間部を集中的に強化。肩関節しか動かさない種目ゆえに追い込みやすい。両肘を軽く曲げて脇を開きつつ小指側から引き上げる。チューブを握る手でなく肘を上げる意識を持つことが正しく行う秘訣。
- 腰幅程度に開いた足でチューブを踏む。
- チューブを交差させてから両端を握り、腰付近にセット。
- 両肘から引き上げる意識で、両手を肩の高さまで上げる。
肩トレ② ベントオーバークロスリアレイズ
猫背などの悪姿勢により弱化しがちな三角筋の後部を重点的に鍛える。チューブを持つ長さは、肩の真下に腕を下ろして握った時にやや張りを感じる程度が理想。これより緩むと負荷が逃げるので、動作中もチューブの張りを確認。
- 腰幅程度に開いた足でチューブを踏む。
- チューブを交差させてから両端を脛あたりで握る。
- 肩甲骨を軽く寄せて両手を小指側から真横に引き上げる。
肩トレ③ ヘッドタッチプッシュアップ
中間部を鍛えつつ前面にも刺激を入れてバランスを調整。スタートポジションをつくってから1セット完遂するまで、臀部は常に高い位置にキープ。足幅を狭く、または膝を揃えて行うことで三角筋への負荷が上がる。
- 両手を肩幅よりやや広めにつき、両脚は揃えて爪先立ちに。
- お尻をなるべく高く突き上げて、顎を軽く引いておく。
- おでこを床につけるイメージで両肘を曲げていく。
「背中、胸、肩を鍛えれば外見も傍目に映る風貌も確実に変わる。夏に向けて追い込みましょう!」(有馬トレーナー)