Q1. マッサージガンって何?
→先端部の振動によって筋肉や筋膜をほぐすマッサージ器具
その名の通り銃のような見た目で、先端部のアタッチメントが振動する仕組み。筋膜や筋肉の深いところまでリリースできる。
トレーナーの友岡和彦さんによると、登場したのは2010年代後半。当初はマッサージ師やアスリートを中心に使われていたが、ここ数年コンディショニングやリカバリーの概念が一般にも広まり、多くのメーカーからさまざまな種類が出回るようになった。
Q2. ヘッドの使い分けは?
→フラット、ラウンドは汎用性高し。目的に応じてこまめに付け替えを
少なくとも2種類、多いもので8種類程度も付属するヘッド。
「オールマイティなのがフラットで、どんな部位にも優しくアプローチします。深い部分に入りやすいラウンドも汎用性は高く、横側を当てて部位を温めることも可能。ブレットはピンポイントでケアするのに向いています。フォークは背骨やアキレス腱などを挟んで周囲をケアするのに有効です」(友岡さん)
Q3. どんな効果があるの?
→全身を脱力した状態で、高いマッサージ効果が得られる
「ストレッチや他の筋膜リリース方法は、いずれも正しい姿勢を維持して行うなど決まり事があります。その点マッサージガンには決まったフォームなどはなく、全身の力を抜き、リラックスした状態で筋肉を刺激することが可能。そのため、凝り固まった筋肉もすぐに弾性を取り戻すことができるのです」(友岡さん)
副次効果として筋肉の温度上昇や血流促進効果も期待できる。
Q4. 使用上の注意点は?
→骨に当てるのはNG。長時間の使用も避けよう
便利なマッサージガンだがいくつか注意点も。
「振動が強いため、押し付けすぎたり長時間使い続けると痛みや揉み返しが生じたり、筋肉が緩みすぎる恐れも。1つの部位に10秒以上当てないようにしましょう。また、背骨や胸椎、鎖骨といった骨の上や脇の下、股間まわりなどデリケートな部位に使うのもできるだけ避けてください」(友岡さん)
Q5. マッサージガンの選び方は?
→選択肢は多い。まずは重さや振動速度などをチェック
ここ数年新機種が増え、価格もさまざま。大きいもので約1kg、小さいもので300~400g台。前者はヘッドの振り幅が大きく安定感あり。後者は外出先でも使いたい人に。スペックを参考に予算に応じて最適な一台を選んでほしい。
MYTREX《REBIVE MINI》
手のひらサイズで約370gと最軽量クラスながら、振動数は最大3000回転/分。ボディからフェイスケアまで使うことができ、バッテリーは最大4時間稼働。WEBサイト
- 重さ・サイズ:約370g/約137×85×48mm
- 振り幅:7mm
- アタッチメント:5種類
- 振動速度:約1600~3000回転/分
- 使用時間:約4時間(約2.5時間フル充電)
SIXPAD《Power Gun》
ペットボトル飲料より軽いにもかかわらず、5段階・最大3000回転/分とパワフルな振動性能。アタッチメントも4つ揃っているので、使い勝手もバッチリ。WEBサイト
- 重さ・サイズ:約425g/約135×85×50mm
- 振り幅:7mm
- アタッチメント:4種類
- 振動速度:約1800~3000回転/分
- 使用時間:約2時間(約3.5時間フル充電)
DOCTORAIR《リカバリーガンPRO》
最大3500回転/分の強力振動で筋肉をピンポイントに刺激。アーム部分は開閉式の2way仕様で、背中や腰にもしっかり手を伸ばせ、隅々までセルフケアできる。WEBサイト
- 重さ・サイズ:約1kg/約276×183×72mm
- 振り幅:12mm
- アタッチメント:5種類
- 振動速度:約1500~3500回転/分
- 使用時間:約2時間(約3時間フル充電)
Power Plate《PULSE MINI+》
約435gの軽量モデル。振動回数は最大3000回転/分と強い刺激を求める向きにも対応。バッテリー性能も良く、レベル1(1800回転/分)の場合最大5時間稼働。WEBサイト
- 重さ・サイズ:約435g/約153×93mm
- 振り幅:8mm
- アタッチメント:2種類
- 振動速度:約1800~3000回転/分
- 使用時間:約5時間(約3.5~4時間フル充電)
O’Yeet《O’Yeet NEX PRO》
約545gと手頃なサイズながら最大3500回転/分と超パワフルな振動性能。8種類のアタッチメントが付属し、目的や部位に応じて細かくケアできる優れもの。WEBサイト
- 重さ・サイズ:約545g/約165×91×48mm
- 振り幅:12mm
- アタッチメント:8種類
- 振動速度:約1800~3500回転/分
- 使用時間:約2時間(約2時間フル充電)
Hyperice《Hypervolt 2》
施術師やアスリートにも愛用者が多い草分け的メーカーの最新モデル。安定感のある持ち手と5種類のアタッチメントを持ち、専用アプリと繫げば自動スピード調整も。WEBサイト
- 重さ・サイズ:約870g/約240×160×60mm
- 振り幅:12mm
- アタッチメント:5種類
- 振動速度:約2000~2700回転/分
- 使用時間:約2時間(約2時間フル充電)
Therabody《THERAGUN Elite》
世界トップアスリートも愛用し、有数のトレーニング機関も導入。16mmの振り幅は筋肉深くへ振動と圧迫刺激を提供。50以上のプログラムアプリは全て日本語対応。WEBサイト
- 重さ・サイズ:約1kg/約240×170×74mm
- 振り幅:16mm
- アタッチメント:5種類
- 振動速度:約1750~2400回転/分
- 使用時間:約2時間(約70分フル充電)
Q6. マッサージガンを使った筋膜ケア方法
→カラダの不調に合わせて複数の筋肉にアプローチ
凝った筋肉をすぐにほぐせるギアだけに、カラダの不調も早期解決を目指せるのがポイント。
代表的な症状といえば肩こりと腰痛だが、前者は首まわりや胸まわり、腕まわり。後者は太腿まわりや背中など、周辺の部位をケアするのが一番の近道だ。
筋膜ケア① 肩こり
肋間筋・広背筋
デスクワークなどで前屈みの姿勢が続くと胸郭が硬くなり、巻き肩に。脇の下から胸の横に当てて肋間筋を緩めると胸郭が広がりやすくなり、背中側の広背筋もリリースされる。
僧帽筋上部
PC作業などで肩をすくめる姿勢が続くと硬くなる部位。首の後ろ側の付け根から肩にかけて、背骨を避けながら上下に直線的に動かしてリリースしよう。
小胸筋・大胸筋
大胸筋とその深部にある小胸筋が硬くなると、肩甲骨が引っ張られて巻き肩に繫がる。肩の前から胸骨にかけ、鎖骨に当たらないよう小さな円を描いてリリース。
斜角筋群
首の前の斜角筋群が硬いとストレートネックの原因に。耳の後ろから鎖骨の上にかけて上下方向にリリースしよう。繊細な筋肉なので強く押し当てないよう注意。
上腕二頭筋
上腕二頭筋は腕の付け根の表側、長頭部分が肩甲骨に付着するため、硬くなると巻き肩に。肩の前~上腕部の半分あたりまで上下させながらリリースしよう。
筋膜ケア② 腰痛
脊柱起立筋
長時間のデスクワークなどでここが張ると反り腰に。背骨を挟んで縦に2本走る細長い筋肉を、上下に動かしてリリースしよう。ヘッドはフォークがおすすめ。
臀筋群
尻の筋肉が張ると骨盤の後傾が促され、腰痛の原因に。座り姿勢で、尻の後ろ側(仙骨)から脚の付け根(股関節)にかけて横移動しながらリリースしよう。
筋膜ケア③ 脚の痛み
腸脛靱帯
走りすぎなどが原因で太腿の外側の腸脛靱帯が張ると、膝のお皿が引っ張られて膝痛の原因に。太腿の真横の少し上側を、小さな円を描きつつ前後に動かそう。
足裏
足裏の足底筋膜をリリースするとアーチが保たれ、下半身はもちろん全身のバランスUPに繫がる。踵から拇趾球または小趾球にかけてゆっくり動かそう。
ふくらはぎ
日常生活で張りがちな腓腹筋とヒラメ筋。両方リリースするには、まずふくらはぎの内側にガンを当て上部→下部のアキレス腱まで動かす。外側でも同様に行う。
大腿筋・膜張筋
脚の付け根の外側あたりにある。ここが張ると周辺の関節可動域が低下し、骨盤の前傾が促され、腰に負担がかかってしまう。円を描くようにリリースしよう。
大腿四頭筋
位置は太腿の前側。起始部が骨盤と連結し、硬くなると骨盤の前傾などを促して腰痛に繫がる。大きな筋肉ゆえ、円を描きながら全体をリリースするのがコツ。
筋膜ケア④ 手の凝り
手のひら
握る動作の多い手のひらは意外に凝り固まる部位。肩の力を抜き、円を描きながらリリースしよう。特に外側、小指の付け根付近は硬くなりがちなので重点的に。
前腕
長時間のPC作業などで前腕の筋肉が拘縮すると、腕が内巻きになり長期的には肩こりに繫がることも。前腕の外側、肘~手首に当ててリリースしよう。
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