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トレーニングをしていると耳にする「コンディショニング」という言葉を、詳しく紐解いていく「コンディショニングのひみつ」連載。第14回は病院、治療院、整体院の違いについて。
重いものを持ち上げた瞬間、ピキッ。しまった腰がやられた、まさかぎっくり腰? さてここからが問題。明らかに腰に痛みがある、でも歩けないほどじゃない。こうなったときはどこへ行けばいいのだろう。病院? 治療院? それとも整体?
原因がわからず痛みが発症したときは、まずは病院で痛みの原因を診断してもらうのが正解。
日本整形外科学会によれば、整形外科は
「カラダの芯になる骨・関節などの骨格系とそれを取り囲む筋肉やそれらを支配する神経系からなる“運動器”の機能的改善を重要視して治療する外科。背骨と骨盤というカラダの土台骨と、四肢が主な治療対象となる」
とのこと。というわけで、原因がわからない腰の痛みが発症した場合は、まず整形外科へ。骨折や脱臼、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症といった骨や神経の異常がある場合はそのまま病院で治療を続けること。
骨や神経に異常がなく、筋力不足や不良姿勢による硬直など「筋」に異常があった場合は治療院での施術を受ける。
ここでいう治療院とは、国家資格を持った鍼灸師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師のいる場所を指す。「鍼灸院」「接骨院」「整骨院」がこれにあたる。それぞれの施術の特徴を詳しく見ていこう。
柔道から派生した日本の伝統療法。骨、関節、筋、腱、靱帯などに外的な衝撃が加わることで発生する、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などの損傷に対し、手術をしない「非観血的療法」で整復・固定などを行う。接骨院、整骨院での治療は保険適用となる。
東洋医学の一分野として中国に起源を持つ伝統的医学。疾患や症状に適した経穴(ツボ)に金属の細い針を刺入したり、艾(もぐさ)を置いて燃焼させたりなど、生体に刺激を加えることで本来ヒトのカラダに備わっている自然治癒力を高める治療法。
鍼灸には血行循環の改善や免疫細胞の活性化のほかに、内臓の働きを調節する自律神経を整える効果もある。肩こり、腰痛、神経痛、関節痛などに有効。保険適用外。
中国より日本に伝わった治療法。「あん摩」は、押す、揉む、さする、撫でる、叩くといった技法で、心身を整える手技療法。心臓から遠ざかるように、施術していくのが特徴。
あん摩が東洋医学の考え方に基づいているのに対し、「マッサージ」は西洋から入ってきたもの。あん摩とひとくくりにされることが多いが、実は心臓に向かって施術を行う、真逆の手法。あん摩は服の上から、マッサージは直接肌に触れて刺激する。血液循環を促し、消化器系の不調などの改善にも効果がある。
そして「指圧術」は、あん摩術の圧迫法から派生したものという説がある。親指や手のひらを使い、主に垂直に圧をかけるという特徴がある。
“マッサージ”というとセルフケアや揉みほぐしの印象が強いが、人に施術をする場合は本来国家資格が必要。温泉施設の癒やし処などで受けられるのは“マッサージ”ではなくあくまで“リラクセーション”。
発症した痛みが軽減し、日常生活で時々違和感を感じる程度になったら日々のケアとして通う場所だと認識しておこう。骨の歪みを整える「整体院」や「カイロプラクティック」も同様だ。原因が骨なのか、筋なのかによってアプローチを決めよう。
答え:接骨院
取材・文/黒澤祐美 漫画/コルシカ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)
初出『Tarzan』No.821・2021年10月21日発売