快便できないのは「筋力低下」のせい? チェック&快便メソッド

辛い便秘の原因は大きく分けてストレス・生活習慣の乱れ・筋力低下の3つ。自分のタイプをチェックして適したメソッドを行うことが大切だ。今回は疲労の蓄積や運動不足で腸の筋力が低下している人のための快便メソッド。

取材・文/石飛カノ 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 取材協力/伊藤和憲(明治国際医療大学鍼灸学部長・教授) 編集/阿部優子

初出『Tarzan』No.817・2021年8月26日発売

便がするりと出ないのは、腸の働きが何らかの原因で滞っているから。なので、まずは原因の洗い出しをすることが第一歩。代表的な便秘のタイプはストレス、生活習慣、筋力低下の3つだ。

この記事では「筋力低下タイプ」のチェック項目と快便メソッドを紹介する。

まずはチェック!あなたは筋力低下タイプ?

  • 駅の階段を上るだけで疲れてしまう。
  • 定期的な運動習慣がない。
  • 段差がないところでよく躓く。
  • 目を閉じて片脚で立つと、30秒ふらつかずにキープできない。
筋力低下チェック

やりやすい方を軸脚にして片脚立ちになる。軸脚の膝は曲げない。閉眼でふらつかずに30秒間キープできる?

→1つでも当てはまったら…疲労などによって腸の筋力が低下しているタイプ

筋力低下タイプの快便メソッド

の指令を受けずとも腸は独自の力で動き、便を少しずつ確実に肛門まで押し出していく。これがいわゆる“蠕動運動”と呼ばれるもの。ところが、加齢によって腸の筋力が低下すると、便を押し出す力も弱くなり、便秘が引き起こされることもしばしば。

加齢だって? いやまだそんな年齢じゃないし、というあなた、油断は禁物だ。上のチェックの片脚立ちでふらついたという人は、若くして全身の筋力および腸の筋力が衰えている可能性が高い。考えられる原因は疲労の蓄積、あるいは極端な運動不足などだ。

衰えた腸の活動をマッサージで手助けしつつ、腸まわりの筋肉を鍛える運動を。

①マッサージ

ご存じのように大腸は小腸のまわりをぐるりと取り囲むようにして走っている臓器。下腹部の右下から右上に走る上行結腸→右上から左上に向かって走る横行結腸→左上から左下に向かう下行結腸→カーブを描くS字結腸→直腸へと連なる、いわば一本の管だ。

管の各部が収縮と弛緩を繰り返して蠕動運動が成り立っているが、筋力低下でそれが叶わない場合は手で腸の形状に沿って(1)マッサージ、または指でぐっと押す(2)指圧を施してみよう。マッサージは仰向け姿勢で、指圧は立位や座位で。

(1)仰向けマッサージ
仰向けマッサージ

床に仰向けになって両膝を立てたら、片手をお腹に当てる。ゆっくりさすりながら円を描いてマッサージ。おヘソの右下から左下まで腸の形に沿って30回回転。

(2)指圧マッサージ
指圧マッサージ

おヘソの右斜め下から順番に、左右の人差し指から小指を重ねるようにして強めに押していこう。トイレの便座に座って行っても○。

(2)指圧マッサージの押し方
指圧マッサージ

腸の形に沿うようにして両手の指で刺激を入れる。

②腸筋を活性化する運動

腸の動きが悪いなら手の圧で強制的に便を押し出す。でもこれはあくまで緊急対処。並行して必ず行ってほしいのが運動だ。

まずは物理的に腸に刺激を入れるエアバイシクル運動。両脚をダイナミックに動かすことで腹圧がかかると同時に腸が直接刺激される。その刺激で排便が促される効果が。

そして、腸まわりの筋肉を鍛える腸運動。一見地味だが腸の筋力アップが期待できる。決して負荷が大きな運動ではないので、毎日行う習慣を。腸が自力で動くようになれば、便秘体質から卒業できる。

エアバイシクル初級
エアバイシクル初級
  1. 床に仰向けになり、両手を腰に当てる。
  2. 両脚を床から浮かせる。
  3. 自転車を漕ぐ要領で斜め上方向に交互に回転させる。
  4. できるだけ大きな動きで10回×3セット。
エアバイシクル上級
エアバイシクル上級

初級のやり方で物足りないという人はアドバンストバージョンを。

  1. 背中とお尻を床から引き上げた姿勢で両脚を交互に回転させる。
  2. 10回行ったら脚を下ろして休憩。3セット。
腸運動
腸運動
  1. 両手の親指と人差し指をくっつけてお腹の上に当てる。
  2. 息を吸いながらお腹を大きく膨らませる。
  3. 息を吐きながらお腹を背中につけるイメージで凹ませる。
  4. 50回繰り返し。