日本屈指のスポット・瑞牆山の岩場へ!|入門・外岩ボルダリング③
本物の“外岩”を制覇してみたい。そんなチャレンジに挑んでくれるのは、モデル・タレントの林ゆめさん。ボルダリングジム練習の数日後、世界的クライマーの平山ユージさんと共にやってきたのは山梨県の瑞牆山。クライマーがこぞって訪れる聖地で外岩に挑戦!
取材・文/黒田創 撮影/吉松伸太郎 ボルダリング指導/平山ユージ(Base Camp)
初出『Tarzan』No.814・2021年7月8日発売
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世界はもとより国内のボルダリングスポットにも精通する平山ユージさんが、林ゆめさんの外岩チャレンジにおすすめしたのは山梨県の瑞牆山。クライマーなら知らない人はいない、実に160ものボルダー(独立した巨大な岩)と数多くのルートを有する日本屈指のスポットだ。
今回訪れたのは…
標高2,230m、山梨県北杜市にある日本百名山の一つ、瑞牆山(みずがきやま)。山中には3~5m大の岩が点在しており、1970年代からルートが開拓されてきた国内屈指のボルダリングの名所。都心から車で2時間程度とアクセスが良く、100台収容可能な駐車場やキャンプサイトもあるため、週末を中心に多くのクライマーが訪れる。
爽やかな晴天の朝、スタート地点のみずがき山自然公園に集まった2人。そこから見える瑞牆山の山頂は花崗岩の岩峰で形作られ、中国の墨絵の如き美しさ。林さんも思わずテンションUP。
「景色がきれい~! こんな素敵な場所で岩に登れるとは思いませんでした」と林さん。
「ここは本当にたくさん岩があって、いつ来ても新鮮な気持ちでボルダリングが楽しめる山。ぜひとも達成感を味わってくださいね!」そう言いながら外岩のボルダリングでは欠かせない大きなマットを背負う平山さん。
林さんもマットを背に後に続く。ここからハイキング気分で10~20分歩いただけで、お目当てのボルダーに到達できるのがこの山の魅力。
「実は、先日のジム練習でまだ腕がパンパンなんです(笑)」(林さん)
「岩場では指も下半身ももっと使います。ボルダリングが全身運動だと心底実感できますよ」(平山さん)
クライマーには欠かせないガイドブック「トポ」って何?
岩場でのクライミングに欠かせない、山ごとに岩場のルート図を収録したガイドブック。アクセス方法はもちろん、岩エリアのマップや岩の名前、ルート、グレードや注意点などが写真とともに詳しく記載。ローカルマナーもしっかり読み込もう。
登る前に行いたい3つのこと。
目的のボルダーに到着したら、すぐさま登るのではなく、まずは3つの準備を行うべし。
① ルートを確認
岩場に到着したらまずはルートの確認。瑞牆山の岩を知り尽くした平山さんだけに、的確にルートを提案する。初めての岩は経験者と一緒に登った方がいいだろう。
② ストレッチは必須
登る前には肩や背中、股関節まわりなど、しっかりストレッチをしておこう。ジムのように持ちやすいホールドのない岩場だけに、指回しは特に入念にやっておきたい。
③ マーキングする
初めて登るルートの場合、必要に応じて手足をかけやすそうな位置にチョークでマーキングしておくといい。もちろん登った後はブラシでチョーク跡をきれいにしておくこと。
最初に挑戦したのは「キノコ岩」。
キノコ岩
みずがき山自然公園の駐車場から徒歩10分、「植樹祭エリア」と呼ばれるゾーンにあるキノコ岩。その真横にある小岩は高さおよそ3m強。緩やかな傾斜があり、初心者にもとっつきやすいため、林さん最初のチャレンジに最適と平山さんがチョイス。
岩の右側、通称スラブと呼ばれるルートはグレード10級である。初めての外岩ボルダリング。果たしてうまくいくかな?
手の指と大きく上げた足を小さな窪みにかけ、それを支えにエイッとカラダを持ち上げる林さん。早くも額には汗、二の腕には筋肉が浮かぶ。
「これ、ジムとは勝手が違いますね(笑)」
途中先に進めず一旦ストップも、岩の左上に指をかけると突破口が。下半身の踏ん張りで一気に上体を起こし、スルスルと登っていき見事ファーストミッションクリア!
「やったあ! 苦しくても冷静にカラダの使い方を考えたらうまくいきました!」
続いて「童子岩」にチャレンジ。
童子岩
キノコ岩から約10分、「山形県エリア」にある童子岩は高さ4m超え。壁もほぼ垂直に近いが、初心者でも比較的取り付きやすい。メインの3ルートはグレード7~9級。初心者でも十分チャレンジできる。
「ダイナミックな岩壁をクリアできると最高ですよ!」と平山さん。林さんは「ナツメの花」と呼ばれるAのルートに挑戦!
指がかかりそうなところを慎重に探し、足の置けそうにないような小さな窪みや突起で必死にバランスを保つ林さん。
ジムで習ったインサイドエッジやアウトサイドエッジのテクニックがここで効いてくるのだ。続けてカラダを大きく引き上げようとするも、足から上半身へ力を上手に伝えられず落下。
「体重の乗せ方をよく考えないとダメですね。もう一回!」
林さんの目つきが変わった!
何度落ちてもチョークをつけ直し、果敢に岩に挑む林さん。指の感覚がなくなっても、二の腕がガチガチでも、髪が乱れても関係ない。目線の先にあるのはただ一点、岩の上。足先でわずかな窪みを捉え、全身に力をこめ、岩に張りつく姿は完全にアスリートのそれ。
最後の力を振り絞ってカラダを持ち上げると、軽やかに頂点へ…。見事、4mの巨岩をクリアした!
「すっごくいい景色! 最高に気持ちいいですね! 最後すごく気合入りました!」
登り切った人にしか見えない景色ってあるんです。と平山さんも嬉しそう。
「攻略法を考え、カラダをフルに使い登り詰める。頭も含めた真の全身運動。未経験でもどんどん挑戦してください!」
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