岩場に行く前の事前準備|入門・外岩ボルダリング②
ジムでの練習の次は岩場のボルダリング準備。グッズを揃えたり用語を覚えたり。登る前のウォーミングアップメソッドも押さえておこう。
取材・文/黒田創 撮影/石原敦志
初出『Tarzan』No.814・2021年7月8日発売
前回の記事はこちら!:ジムで基本の動きを習得!|入門・外岩ボルダリング①
教えてくれた人
① 必要なものを揃える。
ボルダリングで必要な荷物はそこまで多くない。まずは最低限、これだけは用意しよう。
シューズ
ジムだとレンタルがあるが、岩場に行くなら自前の一足を用意したい。初心者は靴底が平坦なタイプ、上級者なら爪先が曲がったタイプを。後者は小さなホールドや岩の凸部に爪先を乗せやすい利点があるが、かなり窮屈。まずは初心者向けを選ぼう。
チョーク
ジムでも使う手の滑り止め用チョーク。粉末タイプ(写真左)はバッグに入れて使う。飛散しないようボール状の生地に入ったソックタイプ(写真中央)や、乾いた後に粉が舞わず服や手が汚れにくい液体タイプ(写真右)も。液体チョークを下地にし、粉末をつけるのも効果的だ。
他にもこれだけは揃えたい!
② クライマー用語を知っておく。
初めて耳にする「クライマー用語」はまさに、見知らぬ地域の方言が如く。そこで基本用語と使い方を学ぶべく、クライマー&初心者2人の会話例を作ってみた。せっかく外岩に登るなら、形から入って気持ちを盛り上げよう。
用語解説
- パキる/手の指を激しく痛めること。関節を痛めるという意味もある。
- ハイボール/高さが5mを超えるような岩を指す。決してお酒ではない。
- アレ/フランス語で「頑張れ」を意味する。すんなり言えると通っぽいぞ。
- タンデュー/親指を外し指を伸ばしてホールドを持つ方法。指の腱の負荷が高い。
- ルーフ/天井のように160~180度程度の傾斜がある壁や岩場を指す。
ユータ いやー前回の外岩はハードで参ったよ。初めて1本指で①パキっちゃったもん(笑)。
カオリ パ、パキ? ユータさん、高い岩に挑んでましたよね。私怖くて絶対無理です。
ユータ ああ、②ハイボールね。でもみんなが「③アレ! アレ!」って声掛けしてくれたから頑張れたよ。あれを聞くと本場フランスのクライマーになった気がするよね。
カオリ (ハイボール…お酒? アレって何よ!)…。高い岩に登れる人を見ていると、やっぱり指の強さが違うなあって。
ユータ 俺なんてまだまだだけど、本当に凄い人は④タンデューのままずっとキープできるからね。あれは相当指を鍛えていないと無理だよ。
カオリ (たんぢゅ、なんて?)…。私、こないだジムで初めて斜めのコースに挑戦したらすぐ落ちちゃいました。
ユータ ああ、ジムの⑤ルーフはホールドがたくさんあるから、練習すればすぐ登れると思うよ。何事も挑戦する姿勢が大事さ!
③ 準備運動を学んでおく。
岩場に挑むなら、いつも以上に入念なウォーミングアップをしておきたい。なので当日に特にマストでやってほしい2種目の準備運動を紹介。ボルダリング特有の「指」の運動も忘れずに!
指回し(各10秒)
最も酷使する手の指。登る前には左右の親指から小指まで、逆の手で1本ずつ持ち、10秒程度グルグルと丁寧に回そう。回されている指は脱力させておくのがポイント。登った後や普段からやっておくとより効果的。
肩まわりと股関節のウォーミングアップ(左右各5回)
- 右足を前に出し、右肘がくるぶしに当たるくらい上体を前傾し股関節まわりを伸ばす。
- 次に右腕を真上に上げ、上体の回旋動作で肩まわりと背中をストレッチ。
- 最後は腕を戻し右膝を伸ばし、ハムストリングスを伸ばそう。
- 反対側も同様に。
- 各ポジションで1~2秒静止すること。
道具も揃え、当日の準備運動も頭に入れたら、いよいよ次回は“外岩”。初挑戦の林ゆめさんと、指導してくれる平山ユージさんが、ボルダーの聖地である山梨県北杜市の瑞牆山(みずがきやま)へ!
【岩場に行くための準備ができたら…】