• 初心者ランナーQ&A「走っているのに、あまり痩せません…」の解決策
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2020.11.25

初心者ランナーQ&A「走っているのに、あまり痩せません…」の解決策

ランで痩せない人のQ&A

いざ走り始めると体感する問題の数々…。でもそんな問題も、意外にちょっとした工夫でクリア可能なんです。今回は「走っているのになかなか痩せなくて困っている」という悩み。4つのQ&Aから解決策を見つけ出そう。

Q. サウナスーツで走ったら痩せる?

A. むしろ痩せにくくなる。

ダイエットは修行ではないのに、苦しい思いをしないと痩せないと思い込んでいる人もいる。そういうタイプがハマりがちなのが、サウナスーツでのラン。苦しい分だけ効果的だと誤解しがちだが、サウナスーツで走ると逆に減量しにくくなる。

スーツ内では大汗をかくから、効いている気がするのかもしれない。運動をすると体温が上昇し、上がりすぎた体温を下げるために発汗が起こる。かいた汗は蒸発する際に気化熱を奪って体温を下げるのだ。

ところが、通気性に乏しいスーツ内でかいた汗は蒸発しにくいから、汗をかいても体温は下がらない。それで苦しくなり、やがて足が止まるのだ。すると距離が延ばせないから、消費カロリーも大して稼げない。ヘタをすると、熱中症の恐れもある。

さらに、体温が上がったままだと、肝心の体脂肪も燃えにくくなる。

「体脂肪を分解するリパーゼという酵素の活性は、平熱より1度ほど高いくらいがベスト。それより体温が高くなるとリパーゼの働きが落ち、体脂肪が分解・燃焼されにくくなるのです」(フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さん)

肌寒い季節でも、走るときは吸汗速乾性の高いランニングウェア(詳しい選び方はこちらの記事のQ9を参照)を身に着けよう。

Q. 頑張っているのに痩せません。

A. 距離が短すぎるのかも。

ロジカルに考えるなら、走れば誰でも無条件に痩せるはず。なのに、フィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一さんのクライアントにも、「1日おきに走っているのに思ったほど痩せない」とこぼす人もいるとか。

「詳しく話を聞いてみると、1回2kmしか走っていませんでした。もう少し距離を延ばさないと、思ったように痩せない可能性があります」

消費カロリーは、体重×走行距離で概算できる。70kgの人が2km走って消費できるのは、140キロカロリーほど。油断して甘いスポーツドリンクやカフェラテなどを飲んでしまうと、あっという間にチャラになる。

走り始めて1か月目のランナーにとって、2kmというと時間にして12〜15分ほど。20分しないと体脂肪は燃えないというのは俗説だが、20分以降から血流が良くなって呼吸も安定し、体脂肪が燃えやすい体内環境が整うのは事実。

2kmで終えてはもったいない。1か月ほど走ったら、2km以上走れる走力は十分養われている。せっかく家を出て走り出したのだから、もっと距離を延ばそう。

Q. 食欲が湧いて、ご飯が美味しくて困る。

A. それは正常な反応。食事の中身を見直して。

一般的に運動直後は、食欲が抑えられる傾向がある。その鍵を握るのは、食欲をコントロールしている消化管ホルモン。胃から分泌されて食欲を高めるグレリンが減り、小腸から分泌されて食欲を抑えるGLP-1が増えるため、無駄な食欲は抑えられるのだ。

アスリートのように毎日走っていれば過食は抑えられそうだが、普通のランナーは走らない日の方が多い。運動でカラダを動かすとご飯が美味しくなり、オフ日に食べすぎるという悩みを持つ人もいる。

「ご飯が美味しくなったのは体調が良くなった証拠ですから、歓迎すべきこと。食欲に逆らってボリュームを抑えようとしないで、食事の中身を見直してみてください」

揚げ物の脂質、お菓子の砂糖といった過剰になりやすいものを減らす代わりに、大切な筋肉の原料となるタンパク質を増やす。体重1kg当たり1.2gが目安だ。肉類、魚介類、牛乳・乳製品、卵、大豆食品の5大タンパク源を1日で網羅しよう。

加えて野菜は毎食、果物と海藻類ときのこ類を最低1日1回食べる。これらは運動で消耗しやすいビタミンミネラルの供給源。食物繊維も摂れるから、腸内環境が改善して食欲が正常化することも期待できる。

Q. 筋トレもした方がいいの?

A. 代謝が落ちないように筋肉を鍛えて。

運動には大雑把に、同化(アナボリック)が優位なものと、異化(カタボリック)が優位なものがある。

同化とは、細胞や組織、つまり筋肉などを合成する働き。異化は、それと正反対で細胞や組織を分化する(分解する)働きだ。同化と異化を繰り返しながら、カラダは新陳代謝を続けている。

ランニングに限らず、有酸素運動は異化が優位な運動。やりすぎると、体脂肪ばかりではなく、筋肉まで分解されやすくなる。筋肉が落ちると基礎代謝がダウン。痩せにくくなる。

そこで求められるのが、筋トレだ。筋トレは有酸素と対照的に、同化が優位な運動。筋肉の合成を促して、基礎代謝を上げてくれる。走ると下半身には適度なインパクトが加わり、筋トレ効果もあるが、上半身に加わる刺激は少ない。

このため走るだけだと、胸や背中などの筋肉が減りやすい。腕立て伏せや懸垂などを週2〜3回行って、上半身を鍛えよう。これで全身の体型バランスも整う。

筋トレと有酸素運動の基礎代謝の変化
筋トレのみ、有酸素運動のみ、筋トレ+有酸素運動という3つのタイプで、基礎代謝の増減を調べた研究。有酸素のみだと基礎代謝は下がり、痩せにくくなる。筋トレを組み合わせると基礎代謝は上がり、痩せやすくなる。

ランと筋トレをセットで行うなら、筋トレ→ランの流れで。筋トレをすると成長ホルモンが分泌される。成長ホルモンには、体脂肪の分解を促す作用があるため、その後でランを行うと体脂肪が燃えやすくなる。

取材・文/井上健二 撮影/山城健朗 スタイリスト/ヤマウチショウゴ ヘア&メイク/村田真弓 
取材協力/中野ジェームズ修一(スポーツモチベーション)

初出『Tarzan』No.798・2020年10月22日発売

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