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断糖・高脂肪食で痩せる?|「噂のダイエット」の真偽をただす!

巷にあふれる夢のようなダイエット・メソッド。それ、本当に信頼に足るものだろうか? ここはひとつ信頼できるスペシャリスト、フィジカルトレーナーの坂詰真二さんと管理栄養士の貴堂明世さんに検証してもらうことにしよう。今回は、「断糖・高脂肪食で痩せる」の真偽をただす!

糖質制限はもう古いのか。でも高脂肪食ばかりで本当に大丈夫?

十数年前から一世を風靡した糖質制限ダイエット。『ターザン』でも何度となくメソッドを紹介したが、そこからさらに進んだ形で、糖質を断って脂質を摂る「断糖・高脂肪食」ダイエットが近年注目されている。

指南本を読むと、ドカ食いがOKだったり、本当に生クリームなどの脂質たっぷり食材を摂っても問題なかったり、(高脂肪食だから)糖質制限に失敗した人でも効果ありと書いてあったり…。そんな方法で痩せられるの? と思っていたら、食事の回数は少なめに、なんて少し引っかかる記述もある。でもこの方法で20kg、30kg痩せたと聞けば一度は試してみたくなる。お二人はどう思われましたか?


「◯㎏痩せた」には裏がある。

「メソッド本を読むとメタボ体型の方がこれで30kg痩せた!などと書いてありますが、それは何年にもわたりひどい食生活をしていた方が、食事制限をしたら普通の体型に戻ったという話。もともと健康体の皆さんが真似しても、そうそう劇的変化は起こりません。そもそも糖質はあらゆる生物に最も必要な栄養素です。まして雑食である人間が糖質を極端に減らし脂肪を過度に摂るのは決して健康的ではありません」(坂詰さん)

坂詰真二(さかづめ・しんじ)
坂詰真二(さかづめ・しんじ)/1966年生まれ。スポーツ&サイエンス代表。NSCA認定ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト、アスリート指導、指導者育成、メディアを通じた運動指導で活躍。

痩せる代わりに他のリスクも。

「もともと肥満体型の人が短期間実践する程度ならこの方法もおすすめできますが、長期間続けると脂質と食塩の摂取過剰になるリスクがあります。痩せる代わりに動脈硬化のリスクを高めては元も子もありませんよね。それでもこの食事法を長く続けたいなら、定期的にメディカルチェックを受けるべきです。また、糖質を抜くと必然的に食事の全体量が減るため、便秘になりやすいです。食物繊維もしっかり摂取し、水分も摂りましょう」(貴堂さん)

貴堂明世(きどう・あきよ)
貴堂明世(きどう・あきよ)/管理栄養士として食事と運動の視点から臨床栄養指導を中心に活動。生涯学習講座、メディア、WEBなどで栄養・健康情報やメニュー、コンサルティングサービスを提供する。

「長きにわたり医学的根拠を追求し、最新の運動理論を学んできたので、軽いノリで流行るダイエット法には警鐘を鳴らしたい思いが昔からあります。特に昨今、詐欺まがいの広告などから間違った情報がSNSで拡散するケースが多いので注意深くチェックします!」(坂詰さん)

「栄養学の基本をおろそかにした食べ方や“摂るだけダイエット”は長続きしないし、やり方次第では健康被害をもたらします」(貴堂さん)

痩せようとしてカラダを壊しちゃ元も子もない。飛びつく前に、一度は冷静になるのが正解。

取材・文/黒田創 イラストレーション/ホセ・フランキー

初出『Tarzan』No.795・2020年9月10日発売

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