【糖質オフのキーワード②】食べる順番は「ミートファースト」が有効です
糖質を「オン」にするならどんな糖質を選ぶべき? どんな栄養素をどういうバランスでどんな順番で食べるのが効果的?
取材・文/石飛カノ イラストレーション/浦上和久 取材協力/亀川寛大(亀川ひかるクリニック院長) 参考資料/『糖質制限の外食ガイド』(亀川寛大著、マキノ出版刊)
初出『Tarzan』No.783・2020年3月12日
糖質OFFの食事ルール「2本の大きな柱」。
糖質OFFの食事のルールには2本の大きな柱がある。ひとつは糖質の摂取量をこれまでより減らすこと。もうひとつはインスリンの量を低く抑えること。「低糖質」と「低インスリン」、これが2大対策だ。
前者は主食の量を減らし、甘いものをカットすれば実現できる。後者はさらに食べる順番を工夫することがマストとなる。
余った糖質を中性脂肪に合成するのは、膵臓のβ細胞から分泌されるホルモン・インスリン。糖質が過剰なことでもインスリンは一気に大量に分泌されるが、空きっ腹状態で糖質をいきなり摂取することでもインスリンは過剰分泌される。なので、糖質の前に別の栄養素を摂取することが重要だ。
パッと思い当たるのはベジファースト? という人は多いが、今回はタンパク質ファーストを推奨する。実際に外食による自らの血糖値の変動を計測した亀川寛大先生(亀川ひかるクリニック院長)曰く、「ミートファースト」が有効だという。
インスリン分泌の準備運動。
さて食事の際、いの一番にタンパク質をお食べなさいという理由。それはやはり、インスリン分泌をできるだけマイルドなものにしたいから。
亀川先生によると、インスリン分泌刺激の大部分は実はあまり分かっていないのだという。
「炭水化物の総重量が増えるとインスリン濃度は上がります。これに対して脂質はインスリン分泌を刺激しにくいことも分かっています。精製された油ではインスリンはほとんど分泌されません。ところが、タンパク質の中にはインスリンを多く分泌するもの、少ししか分泌しないものがあるのです」
下のグラフをご覧いただこう。血糖値の上昇レベルを示す指数をグリセミックインデックスというが、インスリン分泌に関わる指数をインスリンインデックスという。ある調査によれば、卵、チーズ、牛肉、魚などのタンパク質のインスリンインデックスはそこそこ高い。
ただし、タンパク質は糖質に比べて体内への吸収が遅い。なので、ミートファーストを実践すれば血糖値がじわじわと上がっていき、急激なインスリン分泌を防げる可能性があるというわけ。
タンパク質を先に食べるメリットはもうひとつある。タンパク質を構成するアミノ酸に小腸の特定の細胞が反応すると、PYYという消化管ホルモンが分泌される。このPYYに食欲を抑制する働きがあるのだ。
まず最初に肉をムシャムシャ食べる→適量のインスリンがジワジワ出る→糖質を摂取しても血糖値の上昇が抑えられる→適量の食事量で満足できるという図式。