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タンパク質と、何が同じで、どう違う?ジェーン・スーと〈味の素(株)〉社員が語るアミノ酸のこと。
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野菜から食べるベジファーストなら絶対に太らない? サラダチキンは史上最強のダイエット食材? 霜降り肉は太りやすいが、熟成赤身肉なら太りにくい? …巷間にはさまざまなダイエットに関する定説があふれていますが、よくよく考えれば勘違いということもあるのです。
野菜から先に食べ、ご飯やパンなどの糖質を含む主食を後回しにするベジファーストはすっかり定着してきた。
その狙いは血糖値のコントロール。前述のように糖質を含む食事をすると血糖値が急に上がり、糖質を体脂肪に変えるインスリンがどっと追加分泌される。
血糖値が急に上がるような食事をしていると太りやすいが、ベジファーストでは野菜に含まれる食物繊維が消化吸収を緩やかにするため、その後に食べた糖質による血糖値の上昇が緩やかになり、インスリンの分泌がセーブされるから痩せやすいのだ。
「ただし血糖値の上昇を抑えるなら野菜を食べてから10〜15分は糖質を食べないことが条件。また野菜サラダにドレッシングをたっぷりかけるとカロリーの摂りすぎにつながります」
野菜には低カロリードレッシングを少量かけ、よく嚙んでゆっくり食べたら、その後に主菜を食べてから主食に移ろう。
巷で最強のダイエット食材ともてはやされているのが、鶏胸肉を蒸したサラダチキン。1食当たり約100キロカロリーしかないのにタンパク質を20g以上含み、糖質も脂質も含有量はごく少量。ダイエット中はタンパク質が減りがちで、それが筋肉の減少と代謝の低下を招きやすいが、サラダチキンはタンパク質の宝庫だから安心。まるでビルダーの必勝アイテムのようだが、決してレア食材ではなくコンビニやスーパーで手軽に手に入るのも嬉しい。どこにも死角はなさそうだが、そればかりに依存しすぎるダイエットはNG。
「いくら高タンパク低脂質でも、サラダチキンのみに頼るのは単品ダイエットにほかならない。ビタミンやミネラルといった栄養素が足りないと代謝がうまく回らず、痩せにくくなります」
ハーブやスパイスで味付けされたタイプもあるが、味の単調さは隠せないので食べ続けるのは難しい。一辺倒にならないで、ダイエット食材の一つとして捉えたい。
植物性食品の方が動物性食品よりもヘルシーなイメージがある。ダイエットのために動物性の牛乳ではなく植物性の豆乳を選ぶ人もいるが、牛乳と豆乳のカロリーには大差がなく1杯(200cc)で130キロカロリー前後。意識的に摂りたいタンパク質の量も1杯6〜7g程度でほぼ変わらない。カフェラテをソイラテにしてもダイエットにはならないのだ。
牛乳と豆乳にはそれぞれ栄養的な特徴がある。牛乳は日本人に不足しがちなカルシウムが豊富。食事量を減らすとカルシウムが欠乏しやすくなり、骨がスカスカになって骨折しやすくなる骨粗鬆症のリスクが上がる。豆乳で特筆したいのはイソフラボンとビタミンE。ともに有害な活性酸素に対する抗酸化作用がある。
しかしイソフラボンが女性ホルモンに似た働きがあり、豆乳を飲みすぎると女性の月経が乱れることもある。牛乳と豆乳は偏らず、両方1日1杯ずつを目安に飲もう。
サシが入った霜降り肉に代わり、数年前からブームなのが赤身肉。熟成すると旨味も高まるし、脂質が少なくて霜降り肉より低カロリーだから、主菜は赤身肉メインで減量する肉食ダイエットを試す人も増えてきた。
牛肉はタンパク質がリッチだし、ビタミンB群、鉄分や亜鉛も補える。脂質燃焼に欠かせないカルニチンも含まれる。
赤身肉を食卓に取り入れるのは間違いではないが、赤身肉=見かけが赤い肉ではない。正真正銘の赤身肉はヒレ肉(脂質15g、223キロカロリー。生可食部100g当たり。以下同)やランプ肉(脂質13.6g、211キロカロリー)。なかには肩ロース(脂質26.1g、316キロカロリー)やリブロース(脂質40g、436キロカロリー)のように、赤身でも脂質が多めでカロリーがやや高いものもある。
“見せかけの赤身肉”を食べすぎると当然太りやすい。赤身肉でも1食100〜120gが適量だ。
教えてくれた人
森拓郎さん(もり・たくろう)/パーソナルジム〈rinato〉のオーナー兼トレーナー。トレーナーながら運動至上主義から距離を置き、食事の重要性を強調。運動嫌いでも理想のカラダを最小限の努力で作るメソッドを提供する。
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取材・文/井上健二 取材協力/森 拓郎(ボディワーカー、トレーニングジムrinato代表)
(初出『Tarzan』No.736・2018年2月22日発売)