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2020年のラン事始め|脂肪燃焼LSDを成功させる4大ポイント

脂肪燃焼を期待してランを始めるなら、LSD(ロング・スロー・ディスタンス)で始めてみよう。走って痩せるメカニズムを解説した記事に続き、LSDでダイエットを成功させる4つのポイントを紹介します。

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1. 距離ではなく、時間を目安にする。細切れでもOK

長く走るほど体脂肪は燃えてくれるが、忙しい身の上だからいつまでも走っているわけにはいかない。目安を決めよう。

基準は距離ではなく時間。距離にこだわると早く終えたくなり、いつしか笑顔で会話が続かないスピードにアップし、体脂肪が燃えにくくなる恐れがある。初心者がLSDを始めるなら1セッション1時間が妥当。どんなペースだろうが、1時間走ると決めると、ペースアップが避けられてニコニコペースを守りやすい。

いまだに20分しないと体脂肪は燃えないと頑なに信じ込んでいる人もいるようだが、ニコニコペースならハナから体脂肪は燃えている。ゆえに1時間まとめて走るのが嫌なら、30分×2回、20分×3回、15分×4回などと分割してもOK。しかもトータルの走行時間が同じなら、むしろ細切れにした方が痩せやすい。

「その鍵を握るのは、運動後に酸素消費量が増えるEPOCという現象です」(鍋倉先生)。運動後は消耗したカラダを安静状態にリセットするためにEPOCで酸素が多く消費されており、その際体脂肪が燃えている。走る回数が増えるほどEPOCが続くチャンスが増えるから、細切れの方が痩せやすくなるというワケ。

2. ランエコの高いフォームを守る。着地は足裏全体で

燃費の良いクルマの方が長くドライブできるように、ゆっくり長く走り続けるには「走りの経済性(ランニングエコノミー)」の良い効率的なランが求められる。同じ距離を走ったとき、酸素消費量がより少ないほどランエコは高くなる。

ランエコを左右するのはフォーム。重心の真下に着地し、着地衝撃を推進力に変える走りがベストだ。そのために腹圧を高めて背すじを伸ばし、骨盤をやや前傾させてヘソから前へ前へと進む意識を持つ。そして振り出した足を重心の真下に落とそう。

気をつけたいのは着地。「初心者のうちからミッドフット着地を心掛けた方がいいでしょう」。ミッドフット着地とは足裏全体で着地する方法。2017年のテレビドラマ『陸王』でも話題になったが、ミッドフット着地だと着地衝撃をロスなく推進力に変えやすく、上下動が少なくランエコが高くなり、疲れずに長い距離が踏める。

踵から着地するヒールストライクだと1歩ごとにブレーキになりやすく、前足で着地するフォアフット走法だとふくらはぎやアキレス腱への負荷が大きくなる。さらにゆっくり走るなら歩幅を広げるストライド走法より、歩幅を抑えて回転数を上げるピッチ走法の方が相応しい。

3. 腹ペコランなら、効率的な脂肪の炎上が狙える

痩せるために走るなら、満腹ではなく空腹でLSDを行うべき。「空腹のときは体内にグリコーゲンとして貯蔵されている糖質が減っています。糖質が減ると脂質代謝を高めるスイッチが入り、同じ運動をしても脂質の利用率が上がるので、それだけ痩せやすいのです」。

すでに触れたように、筋肉の2大栄養源は糖質と脂質。グリコーゲンが減って使える糖質のストックが目減りすると、カラダは糖質を節約するために脂質を積極的に利用しようとする。だからいつもより体脂肪がエネルギー源として燃えやすいのだ。

早朝ランがダイエットに最適な理由
早朝ランがダイエットに最適な理由
男性長距離ランナー5名を対象とした実験。90分のトレッドミル走を絶食後の早朝と摂食後の夕方それぞれ行い、エネルギー源として使われた脂質の割合(脂質酸化率)を比較した。早朝ランの方が脂質が多く燃えている。

初心者は空腹で走るのに一抹の不安を感じるかもしれないが、カラダへのダメージが少ないLSDなら空腹で走っても何も問題はない。

最適なのは朝食前に腹ペコで走る朝ラン。夕飯から12時間ほど経ち、グリコーゲンが十分に減っているので脂質が優先的に燃えやすい。ただし、寝ている間にコップ1杯ほどの水分を失って軽く脱水しているから、走る前はコップ1〜2杯の水分を補っておくべき。

脂質代謝を促すなら、糖質がたっぷり入った甘いスポーツドリンクではなく、無糖のミネラルウォーターを選びたい。早起きが苦手なタイプなら夕方〜夜、夕飯前に水分補給をしてから腹ペコで走ろう。

4. 事前にガチな刺激を入れると脂肪が減りやすい

LSDの減量効果を最大限に引き上げたい。そんな欲張りな人にお薦めしたいのが、ゆるいLSDの前に頑張ってちょっぴりガチな刺激を入れておくこと。考案者の鍋倉先生が「ガチゆる」と名付けたトレーニング法である。

ガチな刺激=高強度の運動をすると糖質が代謝されて乳酸が溜まり、それが刺激となってアドレナリンや成長ホルモンといったホルモンが分泌される。これらのホルモンには体脂肪を分解する働きがあり、血中に放出された脂質がその後のLSDで使われやすい体内環境が整う。

短時間の刺激でランニングの脂質代謝が高まる
短時間の刺激でランニングの脂質代謝が高まる
1kmのウォームアップ後、3種の走り方で脂質の利用率を比較。15㎞走った群(基準)より、1.5kmのガチ走後に13.5km走った群、200mのインターバル走×5本のガチ走後に14km走った群は脂質燃焼率が高かった。

加えて高強度の運動では糖質がメインに使われて、筋肉に貯蔵されているグリコーゲンが減る。すでに触れたように、糖質の貯蔵量が減ると筋肉は脂質を優先的に使おうとする性質があるため、LSDでより一層体脂肪が消費されやすくなるのだ。

ガチな刺激とは、5分ほどの短時間に行うほぼ全力での運動。息が切れるような猛スピードで走ったり、上り坂道や上り階段を4〜5本駆け上がったり、腕立て伏せやスクワットなどの筋トレを休まずに行ったりするのだ。ジムで走るなら固定式バイクを全力で漕ぐのもいいだろう。

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取材・文/井上健二 撮影/山城健朗 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/村田真弓 監修/鍋倉賢治(筑波大学体育系教授)

(初出『Tarzan』No.735・2018年2月8日発売)

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