舞台は19世紀フランス。真夜中の晩餐会で究極の“没入体験”!

舞台鑑賞ではなく、物語の中へ。〈イマーシブ・フォート東京〉では、19世紀フランス貴族として晩餐会に参加。リアルすぎる舞台と展開に、気づけば感情も全力で参加。これぞ、究極の“没入体験”。

取材・文/今井 恵 画像提供/イマーシブ・フォート東京

初出『Tarzan』No.905・2025年6月19日発売

真夜中の晩餐会

最新のマインドフルネス!? 自我を捨てて物語に没入!

最近あちこちで聞く“イマーシブ”という言葉。いわゆる“没入する”という意味である。〈イマーシブ・フォート東京〉のライブエンターテインメントは、ただ眺める舞台ではなく、リアルなエンタメの世界に自らの身を置き、圧倒的な非日常の世界を味わえるのが魅力である。

ライター・イマイは編集部イチの現実主義者・ホンマを伴い、いざ19世紀フランス貴族の世界へ。まず手渡されたのは一通の手紙。それはジルベール邸で開かれる真夜中の晩餐会への招待状であった。そこで自分の名前がマリオン、ホンマはエステルと知る。

どうやら私たちもフランスの貴族。さらに晩餐会はジルベール邸のひとり娘、ソフィの婚約を祝う会だと知る。そこからは一気に物語の登場人物のひとりになっていく。

真夜中の晩餐会

「踊っていただけますか?」と誘われてダンスも!

セットもかなりリアルだ。中庭、礼拝堂、ジルベール邸の中には登場人物たちの私室もあり、晩餐会の準備が整うまでと部屋で待機させられる。部屋にも次々と登場人物が現れ、「マリオン様」と呼びかけられて驚く。

さらに肩を叩かれ、ここへ行ってと指示されたりと、否が応でもストーリーに参加している自分。別ルートで屋敷に向かったホンマ、いやエステルはいったいどこにいるのだろうか。

メイドから晩餐会が始まると促され、案内された席につくと、目の前には神妙な顔でエステル・ホンマが座っていた。美味しい料理に舌鼓を打ちながら、ダンスするソフィと婚約者の姿を眺める我々。しかしそこから物語は急展開に……。

気づくとソフィの行く末を心配しながら前のめりで見守る自分がいた。ネタバレになるのでエンディングは書けないが、感動して終わった後はなんだか気分すっきり。

帰る道すがら、記憶を辿りつつ物語のあれこれで盛り上がるエステルとマリオン。これがイマーシブのなせる業、魅力かと感心する。まるでひと舞台を終えた役者の気分である。

ちなみに会場にはすでに2度、3度リピートしたという女性や、もちろん男性の姿も。約120分、日常を忘れ、別世界の自分に没入できる体験は、疲れた現代人にとって究極のマインドフルネスなのかもしれない。

真夜中の晩餐会

晩餐会では本格フレンチやワイン(ノンアルあり)がサーブされる。

真夜中の晩餐会

キャストとともに物語の登場人物に。

真夜中の晩餐会〜Secret of Gilbert’s Castle〜

19世紀のフランス貴族の屋敷で開かれる晩餐会に招待され、登場人物のひとりとして物語に参加するライブ・エンターテインメント。チケット:24,800円(飲食代含む)、体験時間:約120分、年齢制限:18歳以上。WEBサイト