ヨガと気づき|vol.34

メルボルン出身・東京在住の人気イラストレーター、エイドリアン・ホーガンさんは、数年前にヨガを始めて以来、ライフスタイルが少しずつ変わってきたそう。ヨガが与えてくれるささやかな日々の気づきを、毎週コミックエッセイ形式で紹介します。

イラスト・文/エイドリアン・ホーガン

クラスに入った瞬間、いつもと何か違うなと感じることがあります。それはお香の香りだったり、音楽だったり。でも今回は、部屋の真ん中に置かれた一本のろうそくが、「今日は何か新しいことをやるんだな」と教えてくれました。

「ユキ先生! 何してるんですか? 」
「トラタカ瞑想だよ」
「…ろうそくを見つめるやつですか? 」

ユキ先生は微笑んで、「そう。でも、ただ見つめるだけじゃないんだよ」と答えてくれました。

先生のコメント

「Trataka」はサンスクリット語で「凝視する」という意味。トラタカ瞑想は一点を見つめ意識を集中させる瞑想法のことです。

必要な物は、好きなキャンドル、心地よい服装、背筋を真っ直ぐにして座れる場所(クッションや椅子)だけ。

部屋を暗くし、風や空調が強すぎない場所でキャンドルをつけ、その前に座ります。そして前にあるキャンドルを見続けます。

できるだけ瞬きをしないよう、炎の軸の部分を観察し続けて! 瞬きする場合はゆっくりと。それを約3〜5分続けます。慣れてきても、最大10分程度で十分です。

終わったら、目を閉じ休ませながら呼吸を整えて、静かに目をあけましょう。空間や環境とのつながりを取り戻していきます。

トラタカ瞑想は、目を閉じる瞑想に慣れていない人にもオススメです。
湯船に浸かってするのも良いですね!

目を開けたまま、対象物を凝視して目の動きを止めると、思考も止まっていきます。目と目のエネルギーが真ん中に流れ、眉間にある第3の目と言われるアジュナ・チャクラが活性化されると、ネガティブな感情や情報から解放され、視界がクリアになり、神経のバランスが整い、さらに記憶力や集中力が向上します。

炎の揺らぎは自然界に存在する、規則でも不規則でもないリズム。この揺らぎを見ているだけでも、心身が癒されていくのです。

*チャクラとは、人体の中に存在するエネルギーの中心点で、出入り口。