ヨガと気づき|vol.32

メルボルン出身・東京在住の人気イラストレーター、エイドリアン・ホーガンさんは、数年前にヨガを始めて以来、ライフスタイルが少しずつ変わってきたそう。ヨガが与えてくれるささやかな日々の気づきを、毎週コミックエッセイ形式で紹介します。

イラスト・文/エイドリアン・ホーガン

個人的には、ビートルズにとって1968年のインド旅行は、スピリチュアルの探求であると同時に、名声やプレッシャー、そして内面の混乱からの逃避でもあったように思います。それにしても、「瞑想」ですら時代を超える音楽に昇華してしまうのだから、彼らの創造力には本当に驚かされます。

先生のコメント

ビートルズが実践していた「TMメディテーション」はご存知ですか? これはトランセンデンタル・メディテーションの略で、日本語では「超越瞑想」と言います。

始まりは1950年代頃、創立者であるマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーが、師であるヒンドゥー教僧院の法主、スワミ・ブラフマナンダ・サラスワティの教えを取り入れてできた、マントラヨガの一種だといわれています。

マントラとは「文字」「言葉」を意味し、神聖な言葉や音、呪文、祈りを繰り返し唱えることで心を集中させていく手法を、マントラヨガと呼びます。

「TMメディテーション」は、自分だけの「マントラ」を師から頂き、そのマントラを心の中で繰り返し唱えて行う瞑想法です。

そうすることで、自己の物質面と精神面がともに完全に調和され、心から幸福を感じ、癒されることができるといわれています。1日2回マントラを唱え、瞑想を続けるだけで容易に覚醒(悟り)に至るともいわれ、当時一気に広まりました。

また、1960年代後半、ジョージ・ハリソンの要望でビートルズがインドのリシケーシュにあるマハリシ・アシュラムに数ヶ月滞在したことがきっかけで、より広く知られるようになったともいわれています。

他にもビーチボーイズやミックジャガー等、たくさんのミュージシャンがマハリシ・アシュラムを訪問していて、アメリカのサブカルチャーを中心にヨーロッパからアジア、日本にまで、大きな影響があったようです。

アシュラムに滞在中、ビートルズは数々の曲を生み出しました。関連した曲をエイドリアンとプレイリストにしたので、ヨガのプラクティス中に、ぜひ聴いてみてください!

エイドリアン作、プレイリストはこちら!