
教えてくれた人
中村尚人(なかむら・なおと)/理学療法士として12年間医療・介護の業界に携わる。ヨガとピラティスの資格を取得後、予防医学の啓蒙、実現のため八王子に〈studio TAKT EIGHT〉を立ち上げる。
目次
まずは伝統ヨガの心得を知ろう。
伝統ヨガでは、2〜3分間ポーズをキープすることを推奨する。これは生理学的にも、分泌ホルモンの変化に必要な時間と一致。ここで一つ注意したい。ムリに前屈して冷や汗をかいていないだろうか?実はこれ、ヨガのよくある間違いだ。
「ヨガのポーズは“頑張る”ものではなく、安定と快適さの中で行うもの。呼吸が浅いと感じたら、ポーズを緩めましょう」。
ポーズが決まったら、目を閉じて、内側の感覚の変化に集中だ。
伝統ヨガの心得三か条。
- 自然な鼻呼吸。
- できる限り、ポーズ中は閉眼する。
- 2分間を目安にポーズをキープ。でも頑張りすぎない。
揺らぐことのない、安心感に気づくポーズ2選。
たとえマインドが不安定に傾いても、自分の中にある安定を自ら見つけ出せるようになれば、心もカラダもタフになる。
ウルドヴァハスターサナ|手を上に上げるポーズ
- 両足を揃えて立つ。
- 両手をバンザイし、手のひら同士を合わせる。
- 胸を開いて軽く後屈。つられて骨盤が前に出やすいので、下腹部はしっかりと締めておこう。上下に伸び続ける内側の感覚をキャッチ。
両手を上げた軽い後屈のポーズ。目を閉じたとたんにグラグラして驚くかもしれないが、その中で自分の軸を探し出そう。
ブリクシャーサナ|木のポーズ
- 力みのない状態でまっすぐに立つ。
- 重心を左足に移動させ、右足を持ち上げて、手でサポートをしながら、内腿に当てて押し合う。
- 両手を上げ、腰や背中を伸ばす。
- 反対側も行う。
片脚立ちのポーズ。緩んでいる紐の両端を引っ張るように、上向きの力と下向きの力を使ってカラダを伸ばすことで、ポーズが安定する。
挑戦する精神力を養うポーズ2選。
新たな挑戦に立ち向かうとき、自分のポテンシャルに気づかせてくれるポーズ。思い込みを打ち破り、自分を信じる力を手に入れる。
バカーサナ|鶴のポーズ
- 両手を肩幅にし、指をしっかりと開いてマットをグリップ。肘を後ろに向ける。
- お尻を引き上げ重心を前に移動。
- 体幹の力で、片脚ずつ、膝を脇のすぐ下に引き上げて置く。
ポーズの完成形を追い求めるのではなく、過程にフォーカスしよう。0か100ではなく、その中間を自在に選べるようになるのが目標だ。
バシシュターサナー|側板のポーズ
- プランクから右向きになり、右足を左足に重ねる。
- 骨盤と脇腹を引き上げ、バランスが安定したら、右足を上げ、右手でチョキを作り足の親指を摑む。
- 右膝を伸ばす。
- 反対側も行う。
全身のつながりと連動性を感じながら、じっくり取り組もう。カラダの前面をしっかり伸ばすことで、内側からエネルギーがみなぎってくる!
沸き立つ怒りをなだめる2選。
イライラする時は、背中を丸めたり、視点を変えるポーズが効果的。モノの見方をリセットして、気持ちもクールダウン。
パスチモッターナーサナ|背面を強く伸ばすポーズ
- 両脚を前に伸ばし、足首を曲げて座る。体重は左右均等に。
- 股関節からゆっくりと前屈をする。
- 手で踵の側面を持ち、深い伸びをサポート。
背面の伸張は副交感神経を優位にし、リラックスモードをONにする。このポーズで優先すべきは、背中の伸び感。額を脚につけることで、気持ちよくストレッチされる。
腿裏が硬い場合は、膝を曲げて額をつける。背中を丸めることを優先しよう。
トリコナーサナ|三角のポーズ
- 腕を肩の高さで開き、足は手首の幅に合わせて広げる。
- 右の爪先を90度外に向ける。
- 股関節から上体を右真横に倒し、右手で足首か脛を摑む。
- 胸を開き左手を上げる。
- 反対側も行う。
足、手、頭で三角形を作れば、いつもとは違う視点で世界が見えてくる。もしかすると、その怒りもただの思い込みかもしれない?
エネルギー不足の心に元気をチャージするポーズ2選。
ダルさを感じたら、ラジャスを上げてバランスを取ろう。背中を収縮させる動きで、交感神経を刺激してアクションモードをオン。
ウシュトラーサナ|ラクダのポーズ
- 脚を骨盤幅に開き、膝をつく。
- 右手を天井に伸ばし、左手で踵をキャッチ。
- 上に伸びながら、胸を大きく開き、右手も踵へ。
- 頭を後ろに倒して喉の前側をストレッチ。片側ずつ行っている場合は反対側も行う。
気分が落ち込むと、どうしても胸が閉じた姿勢になりがち。胸をグッと開きエネルギーをチャージ。
ウッカターサナ|椅子のポーズ
- 足を揃えて、爪先と膝を正面に向けて立つ。
- 手を骨盤に当て、股関節を引き込むようにしてスクワットの姿勢になる。
- 両手を上げ、肩甲骨や背中を伸ばす。
土台となる下半身の安定感と、上半身の軽やかな伸びを味わおう。股関節をしっかりと引き、下腹部を締めて腰を守り、安定を作る。
リラックスしながらも冴えた集中力を養うポーズ2選。
座るポーズは安定とリラックスを誘い、内側の感覚に集中しやすくなる。伸びやねじりを取り入れて、リフレッシュしよう。
ウッターナマンドゥカーサナ|伸ばしたカエルのポーズ
- 正座をして両手を上げる。
- 肘を曲げ、後頭部で反対側の肩を摑む。
- 後頭部で腕を押し、胸をぐっと開いてポーズを深める。
- 視線を軽く上に向ける。
大人の頭の重さは平均5㎏。スマホを前のめりで見る生活では、首や肩への負担が倍増。頭頂を引き上げて、正しい位置にセットすれば、姿勢改善にも効果あり。
首や肩まわりの緊張が強い場合は、指を組んだ手のひらに後頭部を預あ上を見上げる。
アルダマッツェンドラーサナ|半分の魚の王のポーズ
- 骨盤を立てて座り、右膝を倒して曲げ、足首を左のお尻の横に置く。
- 左膝を立て、足裏を床につける。
- 右手を上げて背中を伸ばし、息を吐きながら胸を左に向け、背骨をねじる。左手は腰の後ろ。
- 右肘をより前に押し出しながらねじりを深める。
- 反対側も行う。
背骨をしっかり伸ばしてツイストすれば、頭がクリアになる。
穏やかな睡眠を誘うポーズ2選。
力を入れるより、抜くほうが実は難しい。ここでは5分以上キープし、一日の疲れをリセット。ゆっくりと自分を解放しよう!
ヴィパリータカラーニムードラ|両足を上げるポーズ
- 仰向けに寝た状態から、足を頭の方へ運び腰を持ち上げる。
- 手で骨盤を支えたら、爪先を上に伸ばす。目を瞑り、首を動かさないよう注意しよう。
骨盤を手で支えるこの休息ポーズは、腹部と心臓の位置が逆転し、普段とは違う血流になる。また、内臓の位置を整え、足を重力から解放する絶好のリセットタイム。
シャヴァーサナ|屍のポーズ
- 仰向けになり、全身脱力。
- 目を閉じ、奥歯の嚙み締めを緩め、顔の力も抜く。
- カラダに残るわずかな張りに気づいたら、そのつどリリースする。
疲れを感じた時にオススメの回復ポーズ。「生命に対する執着」を手放す練習ともいわれるこのポーズでは、全身の力を手放し、大地と一体化する感覚を大事にしたい。