”美尻”の持ち主に「お尻を鍛える秘訣」を聞いてみた。

後ろ姿の美しさはお尻が決め手。美しさだけではない。日常生活からスポーツシーンまで、その良し悪しを分けるのはズバリお尻の筋肉なのだ。まずは美尻の持ち主に秘訣を聞こう。

取材・文/松岡真子、宮田恵一郎 撮影/石原敦志 ヘア&メイク/福島利沙(柄本さん)

初出『Tarzan』No.896・2025年2月6日発売

お尻を鍛える

栗原嵩(元アメフト・ボブスレー日本代表)「海外選手との体格さを埋める」。

栗原嵩 元アメフト・ボブスレー日本代表

スイカのように大きいだけじゃない、大腿四頭筋や腸腰筋との連動性を極限まで高めた栗原嵩さんのお尻は、爆発的な出力と日本人離れしたスピードを生み出すすべての源。

「アメフトはいかに速く強く動くかの勝負なんです。海外選手との体格差を埋めるため行き着いたのが、腸腰筋との連動性を高めたお尻の強化でした。止まった状態から一気に出力を上げ、カラダを勢いよく押し出す推進力を養うために、あえて重心を前にかけ、翌日筋肉痛になるくらい負荷をかけてブルガリアンスクワットを行っています。この姿勢はアメフト特有の3ポイントスタンスに近く、とても実戦的。腸腰筋を使い腿を引き上げ、四頭筋、お尻の順に連動させる理想のスタートダッシュをカラダに叩き込みました」

コレやっています!

栗原崇 元アメフト・ボブスレー日本代表

左右に30kgのダンベルを持ちブルガリアンスクワットを左右各10回×3セット。前足に重心をかけて、爪先よりも膝が出た状態からスタート。

栗原嵩(くりはら・たかし)/1987年、東京都生まれ。アメフト日本代表でプレーし、NFLにも挑戦。同時にボブスレー日本代表としても活躍。現在、自身の経験を生かし、トレーニング指導を行う〈TKアカデミー〉を開講。その活動YouTubeで発信。

小倉あれず(ビキニアスリート)「私の人生を変えたパーツ」。

小倉あれず ビキニアスリート

しなやかな筋肉美とくびれのあるボディを競うビキニフィットネスにおいて、球体ヒップで注目を集めている新星だ。

「お尻は私の人生を変えたパーツです。思春期の頃はこの大きさに悩んでいました。でも、高さと丸みのあるヒップが理想とされる種目と出合い、価値観が変わった。コンプレックスが強みになったんです」

カラダづくりを始めて2年後に世界大会に出場。手応えを感じている。

「シーズンが始まる半年前から減量を行い、15〜18%ある体脂肪も9%まで絞ります。その過程で大臀筋と中臀筋の筋量を増やし、ヒップを仕上げていきます。肌のツヤも審査の対象となるため良質なタンパク質を摂取し、保湿も怠りません」

コレやっています!

小倉あれず ビキニアスリート

片脚を伸ばしお尻を中央に寄せたまま上へと持ち上げて、下ろす。大臀筋を強化するトレーニングを独自で考案。左右各30回を週2で実施。

小倉あれず(おぐら・あれず)/1997年生まれ。2021年よりビキニアスリートとして活動を開始。アーノルド・クラシック・ヨーロッパ2023のビキニフィットネス158cm以下級で4位、2024IFBB世界フィットネス選手権では7位を記録。トレーナーの顔も持つ。

柄本弾(バレーダンサー)「しなやかに、力強く見せる要」。

柄本弾 バレーダンサー

無駄なく引き締まり、キュッと上がった柄本弾さんの美尻はバレエダンサーのまさに理想形。筋肉がつきやすい体質のため筋肥大を目的としたトレーニングは一切行わないそう。

「跳んで、回って、女性をリフトして、ピタッと止まるバレエの全動作をしなやかに、時には力強く見せるうえで要となるのが臀部です。理想の機能を養うには、実際のバレエの動きを繰り返すことだと考え、毎日4〜6時間のリハーサルに集中しています。あとはレッスン前の動的ストレッチがルーティン。指先の小さな筋肉から大きな筋肉まで約1時間30分かけてカラダにゆっくりと刺激を入れるようにしています。その一つ一つのストレッチが体調を知るセンサーのような役割も果たし、怪我予防にも繫がっています」

コレやっています!

柄本弾 バレーダンサー

臀部とハムストリングスの動的ストレッチ。軸脚は背伸びするように踵を高く上げて立ち、もう片方の脚を反動はつけずにゆっくりと前に振り上げる。左右各10回。

柄本弾(つかもと・だん)/1989年、京都府生まれ。5歳からバレエを始め、2008年に東京バレエ団に入団。13年、同バレエ団のプリンシパルに昇格。4月26日に東京、6月11日に岡山でのバレエ公演『眠れる森の美女』でデジレ王子を踊る。

佐竹優典(パワーリフティング選手)「お尻のデカさ=強さ」。

佐竹優典 パワーリフティング選手

身長160cmと小柄ながら、体重の4倍近い250kgをスクワットで持ち上げる佐竹優典さんのパワーを象徴するのがどっしりとしたお尻。

「股関節の伸展に大きく関わる臀部は、スクワットとデッドリフトにおいて最重要な筋肉です。お尻のデカさ=強さと言っても過言ではないほど、パワーリフティングの世界チャンピオン級はみなデカ尻。それに負けないよう、競技に直結するウェイトトレーニングは週4日。ただ、それだけではコンディションが崩れてしまうため、半年前からピラティスも始めました。他に有酸素運動も取り入れ、毎日の1万歩を心がけています。お尻をデカくすることと並行して、心肺機能を鍛えることで、短時間でリカバリーできるカラダの基礎づくりも徹底してやっています」

コレやっています!

佐竹優典 パワーリフティング選手

臀部からハム、脊柱起立筋を鍛えるルーマニアンデッドリフトを10回×3セット。膝を少し曲げ、左右に30kgの重りを持ち上体を起こす。

佐竹優典(さたけ・ゆうすけ)/1996年、東京都生まれ。高校1年生から競技を始め、現在は66kg級で活躍。2022年、ワールドゲームズ・バーミンガム大会パワーリフティング競技で優勝。今年はワールドゲームズ連覇に向けトレーニングに励む。

PIETER(ダンサー)「ほっぺのような丸みを目指す」。

PIETER ダンサー

2023年、サンバカーニバルで日本人女性初のブラジルチームのセンターに抜擢。取材時は3度目の挑戦に向けヒップづくり中。

「半年で10kg減量したところです。これから2か月かけてお尻を5〜6cmボリュームアップする予定。ほっぺのような丸みを目指しているので中臀筋をメインに整えます。実は生まれつき股関節の形成不全で、マシンやダンベルでのスクワットができないんです。ヒップスラスト(130〜140kg)で強化します」

スピーディな動きが多いサンバには躍動感のあるお尻が求められるそう。

「3000人の踊り子がいるチームで先頭に立つには自信が必須。それは日々の筋トレと練習の積み重ねで培うものです。今から本番が待ち遠しい。9年ぶりの優勝を狙ってます」

コレやっています!

PIETER ダンサー

自体重トレにブルガリアンスクワットを取り入れている。1セット目でコンディションを確認し、以降はその日にできる範囲内で鍛える。

PIETER(ぴーたー)/2015年より新日本プロレス〈BULLET CLUB〉高橋裕二郎専属のダンサーとして活躍。18年から強豪チームであるエンペリオ・デ・カザ・ヴェルデのメンバーとしてサンパウロのカーニバルに参加する。豪華絢爛な衣裳は自前である。

倉持由香(タレント)「触りたくなるお尻でありたい」。

倉持由香 タレント

「漫画家の桂正和先生が描くお尻が究極の姿だと思っています。なかでも『I”s』のヒロイン(葦月)伊織ちゃんが目標。ふっくらと盛り上がった臀部に、太腿の境界はくっきり。それは大臀筋や中臀筋がちゃんと鍛えられている証拠でもありますし」

尻職人を名乗り、チャームポイントの100cmヒップを雑誌やSNSで披露してきた。

「性別を問わずに触りたくなるお尻でありたいので、やわらかさも重視しています。それを作り上げるために、アンクルウェイトを常に装着しています。さらに浴槽には〈マイトレックス〉のアクアリフトを敷き、EMSの刺激を与えてます。ジム通いが苦手な私にはながらトレがベスト。3歳の息子を抱えてスクワットする日もありますよ」

コレやっています!

倉持由香 タレント

1kgのアンクルウェイトを両足首に巻いて行う床磨きが日課。また、歯磨きをしながら太腿を上下に動かすエクササイズもする。近場には着けたまま出かけている。

倉持由香(くらもち・ゆか)/1991年生まれ。グラビアアイドルに憧れて13歳でデビュー。2014年から#グラドル自画撮り部を設け、Xにセルフィーを投稿するように。近年はe-スポーツチーム〈G-STAR Gaming〉のプロデューサーにも就任。

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