準備運動から徹底解説。デッドリフトで下半身を強化しよう。
下半身を効率的に強化できるデッドリフト。ベンチプレスやバーベルスクワットに比べて、ケガのリスクが高い種目でもある。各ステップに丁寧に取り組み、実践では細心の注意を。
編集・取材・文/門上奈央 撮影/小川朋央 取材協力/荒川孝行(〈ゴールドジム〉アドバンストレーナー)
初出『Tarzan』No.887・2024年9月12日発売
リスクがあるからこそ慎重に。効果的に下半身へアプローチ。
ベンチプレス、バーベルスクワットに続き、ウェイトトレーニングの「BIG3」と称されるデッドリフト。他の2種目に比べるとケガのリスクが高いが、下半身を鍛えたい人にはぜひ実践してもらいたいメニューだ。
ウェイトトレは適切なステップを踏んでこそ、正しく効果的に実践できるもの。まずは準備運動である「ステップ1〜3」の種目を通しで、完璧にできるまで取り組もう。
まずは準備運動から。怪我予防のための3ステップ。
ステップ1|3つのストレッチ
使う筋肉はスクワットに似ているが、腰痛などのリスクがデッドリフトの方が実は高い。股関節、胸椎、腰椎を入念にほぐし可動域を上げて、ケガのリスクを最小限に。
股関節まわり(左右交互に10回)
- 床に膝をつき両膝を開く。両手を前について姿勢を支える。股と両膝を結ぶ三角形をつぶすようにお尻を沈める。
- 顔〜肩を完全に横に向け、向いた方向と反対側の脚を伸ばす。元の姿勢に戻り、逆側も同様に。
股関節・腰椎・胸椎(5〜6回)
- 横座りをする。
- 左膝を軸に動く。まずは左膝に向かって前屈。
- 元の姿勢に戻り、左膝より内側へ、左腕を床に滑らせつつカラダを倒す。元に戻り、左膝より外側へ、右腕を床に滑らせつつカラダを倒す。①〜③の一連の流れを1回とカウント。逆側も同様に。
腰椎(左右各20回×2セット)
- うつ伏せになり両肘を真横に張る。手〜肘を床につけて上半身の位置を固定。
- 1の状態を保ったまま片脚を上げ、上げた脚と反対側に腰から下をツイスト。脚を元に戻し、逆側も同様にツイスト。上げた方の脚を床に近づける。左右交互に行い、1回とカウント。
ステップ2|ワンレッグデッドリフト
実践でスムーズに力発揮できるよう、片脚で行う種目を通してカラダの左右差を調整。同時にヒンジの動きをマスターし、引き上げる時に使う腿裏のハムや臀筋を刺激。
左右各10回×3セット
- まっすぐ立ち、足を浮かせてもブレない程度に片足に体重を乗せる。
- 目線を前に向けたまま、カラダを徐々に前に倒し、①と逆側の脚を後ろに伸ばす。これ以上倒すと体勢が崩れるところまで倒したら、元の姿勢に戻り、反復。逆側も同様に。
キツければ腿裏のストレッチでOK。
片足を1歩分、前に出す。お尻をぐーっと後ろに引いていき、腿裏の伸びを感じる位置で約15秒キープ。逆側も同様に。
ステップ3|クラムシェル
ステップ2から引き続き、バーベルを引き上げる時に使えるようになりたい臀筋や骨盤底筋群を強化。これらを動かす感覚を身につけることがケガの対策に繫がる。
左右各20回×2セット
- 横向きに寝て両膝を曲げて揃える。上側の手をカラダの前につき姿勢を支える。
- 上側の膝をぱかっと開く。上半身が膝につられて開かないようにと無理に力まず、リラックス。元の姿勢に戻り、反復。逆側も同様に。
準備運動3ステップをクリアしたらいざ挑戦。最終目標は体重×2(kg)。
- お腹を膨らませるようにして固めてから、床に置いたバーベルを肩幅で摑む。足は腰幅程度に開く。
- お腹に力を入れたままバーベルを太腿の前まで引いていく。太腿の前まで引いたら、同じ動線を通り床に下ろす。
- 引く動作の際、頭をなるべく高い位置に保つことを意識しよう。
極めるためのチェックリスト
- バーベルを摑む前にお腹に力を入れる。
- 頭をなるべく高い位置でキープ。
- フォームが崩れがちなら道具を活用。
漠然とバーベルを摑まず、お腹を固めてから行うと姿勢が安定しやすい。腹部に手を当て、それを腹圧で押すような意識でお腹を膨らませること。またバーを握るのが大変ならパワーグリップやストラップを使おう。
ポイント
40㎏程度の重量から実践。特にデッドリフトは適切なフォームで行うことが重要。毎週2.5㎏~5㎏刻みで重量を増やす。目安回数は6回前後。ゴールは“自分の体重×2(㎏)”の重量(体重70kgを想定)。床から引くのが大変なら、パワーラックのセーフティを膝の高さに設定し、そこから引くハーフデッドリフトに挑戦。バーを引くイメージを摑む。