【HIIT VS サーキット】効率的かつ効果的な自重トレ二種。似て非なる2つの違いは?
効率よくカラダを鍛えられるHIITとサーキットトレーニング。似ているようで運動効果は全く別物。カラダ作りの目的に応じて取り入れよう。
取材・文/石飛カノ 撮影/北尾 渉 スタイリスト/荒木義樹 ヘア&メイク/潮 良子 トレーニング指導・監修/清水 忍(IPF代表)
初出『Tarzan』No.887・2024年9月12日発売
教えてくれた人
清水忍(しみず・しのぶ)/1967年、群馬県生まれ。インストラクションズ代表トレーニングジム〈IPF〉ヘッドトレーナー、全米スポーツ医学会認定運動生理学士(ACSM/E-PC)、NESTA JAPANエリアマネージャー。西武ライオンズや広島カープをはじめとするプロ野球選手のパーソナルトレーナーの他、健保組合の糖尿病対策セミナーの指導者、スポーツ・医療系専門学校の非常勤講師としても活動。
違いを知って、より効率よく。HIIT VS サーキット。
ターゲットの筋肉をじっくり鍛える基本の自体重トレをモノにしたら、必ず欲が出てくる。たとえば全身をバランスよく鍛えたい、もしくは今より体力を底上げしたい。ひとつ叶えたらまたひとつ上を狙いたくなるのが、カラダ作りの宿命。とはいえ悩ましいのは、それらを叶えるトレーニングには多くの時間がかかること。
そこでおすすめしたいのが、複数の種目を連続して行うトレーニング法、HIITとサーキットトレーニングだ。
HIITはHigh Intensity Interval Training(高強度インターバルトレーニング)の略で、高負荷の運動種目を20秒全力で行った後10秒ブレイク、これを8種目繰り返す。
サーキットトレーニングは中強度の運動を複数種目連続して行い、それを1セットとしてブレイクを挟み2〜3セット行うメソッド。
HIITは主に心肺能力が鍛えられ、サーキットトレは全身の筋持久力が養える。どちらも時短でHIITなら4分程度、サーキットなら15分以内でトレーニング完了。忙しいけどステップアップを狙いたいという人にとっては、まさに最適だ。
どちらを選ぶかは目的次第。週2〜3回の頻度でまずは実践してみよう。
心肺能力を高めるHIIT|休憩しつつ体力に応じステップアップ。
ノーマル、アドバンスト、ともに3つのレベル別プログラムを用意。構成要素はAからHまでの8種目。
ノーマルのレベル1の場合、Aを20秒全力で行って10秒休憩したらCを20秒全力で行うというように進める。8セット全力を出すのが重要だ。終了後、体力的に余裕を感じたらレベル2へ。
A ジャンプスクワット(部位:大腿四頭筋、大臀筋)
- 両足を腰幅に開いて立つ。
- 両腕を後ろにスイングさせながら膝が直角になるまで股関節と膝を曲げて腰を落とす。
- 両手を前に振り上げると同時に膝を伸ばしながら真上にジャンプ。
- 着地して元の姿勢に。
B タックジャンプ(部位:大腿四頭筋、大臀筋、腸腰筋)
- 両足を腰幅に開いて立つ。
- 膝を軽く曲げた姿勢から真上にジャンプする。
- 同時に両膝を引き上げて腕で抱え込む。これを連続で繰り返し。高く跳ぶことよりも膝を引き上げることを重視して行うこと。
C オルタネイトプッシュアップ(部位:大胸筋、上腕三頭筋)
- 両手を肩幅の2倍程度に開いて床につく。
- 手の指は開いて斜め外側に向ける。
- 両足は腰幅に開いて爪先を立てる。
- 右肘を深く曲げて胸を床に近づけたら、次は左肘を曲げて胸を床に近づける。胸を張ったまま行う。
D ジャンププッシュアップ(部位:大胸筋、上腕三頭筋)
- ベーシックなプッシュアップのフィニッシュ、肘を直角に曲げて胸を床ギリギリに近づけた姿勢からスタート。
- 両手で床をしっかりと押してカラダを浮かせたら、素早く拍手して着地。カラダは終始一直線。
E サイクリング(部位:腹直筋、腸腰筋)
- 仰向け姿勢で両脚を床ギリギリの高さで浮かせる。
- 両手を軽く頭に添え、上体を捻りながら起こす。
- 同時に捻った方向の膝を引きつけて反対側の肘にくっつける。これを左右交互に繰り返し。
F トウタッチクランチ(部位:腹直筋)
- 床に仰向けになり、両脚を揃えて真上に伸ばす。
- 膝は若干曲げた状態をキープ。頭は床から浮かせた姿勢からスタート。
- そのまま両手を伸ばして上体を床から引き上げつつ手の指先で足の爪先にタッチ。
G クロスカントリー(部位:心肺機能)
- 両足を腰幅に開いて立つ。
- 軽くジャンプしながら左足を1歩前、右足を1歩後ろに引くと同時に肘を直角に曲げて右手を前、左手を後ろに。腕と脚の動きをシンクロさせ、ポジションを左右交互に切り替える。
H バーピー(部位:心肺機能)
- 立った姿勢から膝を曲げて屈み込み両手を床につける。
- 踵は床から浮かせる。
- 両足の爪先で床を蹴って脚を伸ばし、腕立て伏せの姿勢をとる。
- 再び両足を手前に引きつけ、両手を真上に伸ばしてジャンプ。
筋持久力を養うサーキット|6種目に連続でチャレンジ。
教科書的に言うと6種目以上を連続して行うのがサーキットトレーニング。運動強度は最大負荷の50〜70%程度、しかも各種目のターゲットが違うから休みなしで続けて行えるのだ。こちらもノーマルとアドバンストプログラムを用意した。ノーマルが物足りなくなったらステップアップを。
ノーマルプログラム|6種目+60秒インターバル×3セット
ノーマルプログラムはごく一般的な筋トレを組み合わせたもの。下半身、胸、背中、腕、尻、腹の順番で刺激を入れていく。基本的に10回または15回行う設定だが、できる人は20回行ってもよし。
パラレルスクワット(部位:大腿四頭筋、大臀筋)
アドバンストプログラム|8種目+60秒インターバル×3セット
アドバンストプログラムの特徴は片腕や片脚で行う種目が多く含まれていること。ノーマルでは左右の筋肉で手分けしていた負荷が左右どちらかの筋肉に一気にかかるので、筋持久力の向上がさらに狙える。