
教えてくれた人
河村玲子(かわむら・れいこ)/1985年、東京都生まれ。メンタル&フィジカルサポートスーパーバイザー。全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会認定パーソナルフィットネストレーナー、管理栄養士。同志社女子大学卒業、大手フィットネスクラブを経て、独立。カナダで管理栄養士トレーナーとして活動し、ニューヨークでピラティスを学ぶ。フィジカルとメンタルに加えて栄養面でも専門的な指導が行える稀有な存在として人気。
目次
- ランキングの前に「カロリー」について学ぼう。
- カロリーを燃やすなら「高タンパク食」を。
- 1.果物|フルーツに脂質は不要。糖質少なめをチョイス。
- 2.焼き鳥|タレより塩で頼むと15%カロリーカット。
- 3.焼き魚|必須のアブラでも、摂りすぎると痩せない。
- 4.寿司|マグロを食べるなら、トロより赤身が鉄則。
- 5.焼き肉|ロースやカルビよりレバー。よく焼いてアブラを落とそう。
- 6.粉物|カロリーだけではなく、タンパク質量にも目を向けて。
- 7.タイ料理|辛い料理はアブラや糖質が多めになる。
- 8.韓国料理|同じ豚バラ肉が材料でも調理法で太りやすさは変わる。
- 9.中華料理|野菜多めのルックスに騙されてはいけない。
- 10.カツ・フライ|何を揚げるかも大事だが、どう揚げるかも大切だ。
- 11.そば|そばを食べるときくらいせめてあっさり食べたい。
- 12.おにぎり|マヨネーズでごまかさないシンプルなものをセレクト。
- 13.サンドイッチ|1食分のタンパク質が摂れるものを選ぶ。
- 14.丼もの|カツ丼、天丼はあかん。ご飯は少なめオーダーで。
- 15.パスタ|トマト系、オイル系よりも、クリーム系を率先して退ける。
- 16.鍋料理|モツはタンパク質不足。どれでも〆は諦めて。
- 17.ピザ|具だくさんはカロリーだくさん。シンプルなものに限る。
- 18.天ぷら|野菜だって揚げたら、ダイエットには不向き。
- 19.カフェ|その1杯でサンドイッチやおにぎり並みのカロリー。
- 20.洋菓子|持ってずっしりしたら、警戒した方がベター。
- 21.惣菜パン|揚げ物を挟んだパンを食べてはいけない。
- 22.お酒|甘さを感じるお酒は、危険と思い知るべし。
- 23.乾き物|“揚げ物”に手を出さず、タンパク質多めを選択。
- 24.中華まん|特製はカロリーが高いわりにタンパク質はあまり増えない。
ランキングの前に「カロリー」について学ぼう。
カロリーとは「エネルギーの単位」のこと。食べ物から摂るエネルギーも、運動で消費するエネルギーも、カロリーで表される。
1キロカロリーは「1Lの水の温度を1度上げるのに必要なエネルギー」だ。食べてカロリーになるのが糖質、脂質、タンパク質の3大栄養素で、それぞれ1g当たりのカロリーが異なる。糖質とタンパク質はどちらも1g4キロカロリー、脂質は1g9キロカロリーだ。ゆえに脂質の摂りすぎはカロリー過多=体脂肪の蓄積に直結しやすい。
3大栄養素に含まれる1g当たりのカロリー
- 糖質…4kcal
- タンパク質…4kcal
- 脂質…9kcal
自分の「適正カロリー」について知ろう。
食事から摂るべきカロリーは、運動などの消費カロリーに左右される。同じ体格でも、アスリートのように活動量が多くなるほど、たくさん食べる必要がある。ゆえに適正カロリーはどんな生活をしているかを踏まえるべきだが、それだと計算するのが面倒。
一日に摂るべきカロリーを求めるもっともシンプルな方法は、一人ひとりの標準体重(死亡率が最も低く、病気になりにくいとされるBMI22の体重)から逆算するもの。身長だけですぐ計算できて超便利(下公式参照)。
●Step1|まずは標準体重を割り出そう。
標準体重=身長(m)×身長(m)×22
例:170cmの場合、【1.7×1.7×22=63.58kg】
●Step2|標準カロリーに25〜30を掛けよう。
1日当たりの摂取カロリー目安=標準体重×25〜30
例:170cmの場合、【63.58×25〜30=1589.5〜1907.4kcal】
カロリーを燃やすなら「高タンパク食」を。
食後は、安静にしていても代謝量が上がる。これが「食事誘発性熱産生(DIT)」。摂った栄養素を分解・吸収するのにカロリーが消費されるのだ。日本人の平均的な食事では、摂ったカロリーの約10%がDITとして消費されている。
3大栄養素は1g当たりのカロリーが異なるうえにDITにも差があり、糖質は約6%、脂質は約4%、タンパク質は約30%となっている。高タンパク質の食事だとDITも上がりやすいため、体脂肪も燃焼しやすい。
3大栄養素ごとのDITの割合
- 糖質…6%
- タンパク質…30%
- 脂質…4%
さて、いよいよ各項目の「太りやすい食べ物」ランキングの発表に移りたい。
1.果物|フルーツに脂質は不要。糖質少なめをチョイス。
アボカドは別名「森のバター」。低糖質だが、脂質多めでハイカロリー。脂質は肉や魚からいくらでも摂れるからあえて果物から摂らなくていい。バナナ、マンゴーは脂質ほぼ0だが、糖質過多で減量時は控えるべき。低糖質でビタミンCもリッチに摂れるのはイチゴ。冷凍でも手に入りやすいミックスベリーもいい。
2.焼き鳥|タレより塩で頼むと15%カロリーカット。
皮、ぼんじり、手羽先は脂質が多くてカロリーも高め。手羽先以外はタンパク質も期待できない。ダイエット=ささみというイメージだが、それを上回るのが砂肝。3本でささみ2本とほぼ同カロリーで同量のタンパク質が摂取できる。カロリーはすべて塩の場合。タレと比べて1本当たり約15%カロリーカットできる。
3.焼き魚|必須のアブラでも、摂りすぎると痩せない。
魚は貴重なタンパク源だから、タンパク質1gを摂るのに必要なカロリーが高いものをピックアップ。キンキは北海道などで獲れる高級魚で脂質が多すぎ。サバやサンマはDHAやEPAといったカラダに必須で血管に良い脂肪酸が豊富だが、脂質多めなのでダイエット中は避ける。マアジならDHAやEPAも多く低カロリー。
4.寿司|マグロを食べるなら、トロより赤身が鉄則。
ヘルシーフードとして世界的ブームの寿司も、ネタによっては減量に不向きなものも。人気上位はマグロだが、大トロがもっともカロリーが高く、赤身はいちばん低カロリー&高タンパク質と対照的。ちなみにシャリ(酢飯)は1貫20gほどだから、寿司7〜8貫でご飯1膳分(150g、234kcal)になると覚えておこう。
5.焼き肉|ロースやカルビよりレバー。よく焼いてアブラを落とそう。
みんな大好きなロースやカルビは脂身たっぷりで高カロリー&低タンパク質。あっさり味の牛タンがもっとも低カロリーかと思いきや、意外にもハラミ、豚トロ、牛レバーの方がカロリー低めだ。カロリーは生での比較なので、ロースやカルビもよく焼いて余分な脂を落とすとそれだけカロリーダウンできる。
6.粉物|カロリーだけではなく、タンパク質量にも目を向けて。
生地の糖質量と具材でカロリーもタンパク質量も変わる。焼きそばをサンドする広島焼きはダブル糖質で高カロリーだが、カロリーのわりにタンパク質が摂れない焼きそばを第1位に選出。たこ焼きはタンパク質少なめだが、カロリーも控えめ。牛すじとネギをメインに作るネギすじ焼きが低カロリー&高タンパク質。
7.タイ料理|辛い料理はアブラや糖質が多めになる。
エスニック料理の代表格として取り上げるのはタイ料理。タイ料理は総じてアブラ多め。辛さを和らげるために砂糖などの調味料を多用するので健康的とは限らない。パッタイやガパオが典型だ。カオマンガイも本来タイ米を一度炒めるから結構なカロリー。クイッティアオはフォーと同じく米粉麺であっさりしている。
8.韓国料理|同じ豚バラ肉が材料でも調理法で太りやすさは変わる。
ポッサムは豚バラ塊肉を茹でて野菜やキムチで挟む。塊のまま茹でるので、同じバラ肉を切って焼くサムギョプサルよりカロリーUP。春雨の炒め物であるチャプチェはカロリー過多ではないが、ヤンニョムチキンやチーズタッカルビよりタンパク質少なめでワースト3位。ベストはエビの醬油漬けのカンジャンセウ。
9.中華料理|野菜多めのルックスに騙されてはいけない。
中国料理はある意味アブラが主役だからカロリー高めと覚悟。なかでもワーストは回鍋肉。キャベツも摂れて一見良さそうだが、揚げ物の油淋鶏とカロリーは大差ないのにタンパク質量がかなり少ない。選ぶなら、鶏胸肉を茹でて細切りにしたバンバンジー。タンパク質も豊富だ。酢醬油で食べるとより低カロリー。
10.カツ・フライ|何を揚げるかも大事だが、どう揚げるかも大切だ。
減量中でもたまには揚げ物が食べたい。海鮮は一般的に低カロリーだが、カキフライは1個ずつ揚げるからトータルの表面積が広がり、揚げ油を吸いやすくカロリーが上がる。1枚で揚げるヒレカツやロースカツは表面積が狭くなる分だけ低カロリー&高タンパク質。コロッケやカニコロは糖質多めでタンパク質少なめ。
11.そば|そばを食べるときくらいせめてあっさり食べたい。
そばならどの献立でもダイエット向きかと思いきや、鴨せいろ、カレーそば、かき揚げはいずれも脂質が多くハイカロリー。その三悪人と比べるとたぬきはローカロリーだが、天かすメインでタンパク質は少なめ。いちばん低カロリーなのはトロロを乗せたやまかけ。タンパク質量を加味すると肉そばに軍配を上げたい。
12.おにぎり|マヨネーズでごまかさないシンプルなものをセレクト。
カロリーとタンパク質量を決めるのは具材。唐揚げや海老天のおにぎりはタンパク質が摂れるが、揚げ物ゆえに脂質が多く高カロリー。ツナマヨはマヨネーズ分だけカロリーUP。梅はカロリー面は優等生だが、タンパク質がプアすぎる。煮卵はカロリー面でツナマヨとタメだが、タンパク質がきちんと摂れるのでお薦め。
13.サンドイッチ|1食分のタンパク質が摂れるものを選ぶ。
具材次第でおにぎりよりタンパク質が摂れるのがサンドイッチ。例外がフルーツサンドで、タンパク質は少なくカロリーも案外高い。コールスロー、ポテトサラダ、卵サラダ、ツナサラダはすべてマヨネーズで和えるのでカロリーは上がる。チキンカツはカロリーは高いが、ほぼ1食分のタンパク質が摂れる点を評価。
14.丼もの|カツ丼、天丼はあかん。ご飯は少なめオーダーで。
丼ご飯は1食250gで390kcalだから、ご飯は少なめでオーダーするのがお約束。それでもカツ丼、天丼は断トツにハイカロリーなので手を出さない。低カロリーかつ高タンパク質なのは鉄火丼か海鮮丼。同じ海鮮系でも衣を付けて揚げるかき揚げ丼はなるたけ控えたい。肉系の丼が食べたいなら、牛丼か親子丼をセレクト。
15.パスタ|トマト系、オイル系よりも、クリーム系を率先して退ける。
人気のパスタにはクリーム系とトマト系があり、脂質が多いクリーム系はトマト系よりも高カロリー。頂点は生クリームと全卵を使うカルボナーラだ。アラビアータとナポリタンはトマト系だが、前者は調理油を吸いやすいナスが入り、後者は炒めるのでカロリーが上がる。オイル系で具材が海鮮のボンゴレが正解だ。
16.鍋料理|モツはタンパク質不足。どれでも〆は諦めて。
豚バラを使うキムチチゲ、チーズどっさりのチーズフォンデュは高脂質かつ高カロリー。ただカロリー控えめだが、タンパク質も少ないモツ鍋を第1位に。すき焼きやしゃぶしゃぶもサシの多い肉を使うので避けたい。たらちりのように海鮮が主役だと低脂質で高タンパク質。いずれもご飯や麺を入れる〆はパス。
17.ピザ|具だくさんはカロリーだくさん。シンプルなものに限る。
同じピザ生地なら何を乗せるかでカロリーと栄養価が決まる。牛バラ、マヨ、砂糖を使うプルコギは脂質も糖質も多くてワーストワン。マヨを使う照り焼きマヨ、マヨコーンが続く。クワトロフロマッジは4種のチーズ、ハワイアンはパイナップルが弱点。ペパロニはドライソーセージを乗せたシンプルなピザだ。
18.天ぷら|野菜だって揚げたら、ダイエットには不向き。
野菜だって天ぷらにしたら、揚げ油の分だけカロリーは上乗せ。サツマイモは糖質量も多いので避ける。インゲンや舞茸は表面積が広く、ナスは素材自体が油を吸うから上位にランクされる。ここはエビ天、ホタテ天のようにタンパク質がしっかり摂れる海鮮系を選ぶべき。いずれも薄衣で吸油率が低いものを食べよう。
19.カフェ|その1杯でサンドイッチやおにぎり並みのカロリー。
痩せないタイプは食べ物以外に飲み物からカロリーを摂っていることも多い。ことにコーヒー+シロップやクリームを氷とともにミキサーするクラッシュアイスドリンクは、サンドイッチやおにぎり並みのカロリーを誇る。同じくシロップやミルクが入るココアやカフェモカも高カロリー。ダイエット中はコーヒー一択。
20.洋菓子|持ってずっしりしたら、警戒した方がベター。
基本的に油脂を使わない和菓子と比べ、卵や乳製品などの動物性の油脂をふんだんに用いる洋菓子は高カロリー。なかでもミルクレープ、モンブラン、ガトーショコラのように中身がギュッと詰まり、持つとずっしり重たいタイプはハイカロリーになりやすい。ケーキを選ぶなら軽めなものをチョイスしよう。
21.惣菜パン|揚げ物を挟んだパンを食べてはいけない。
メンチカツのように揚げ物を挟んだ惣菜パンは高カロリー。タンパク質もそれなりに摂れるが、それは免罪符にならない。コーンマヨ、コロッケ、カレーはカロリー面では五十歩百歩だが、タンパク質があまり摂れないコーンマヨがもっとも罪深い。ハムチーズはカロリーが格段に低く、タンパク質もそこそこ摂れる。
22.お酒|甘さを感じるお酒は、危険と思い知るべし。
カロリー比較だとアルコール(1g7kcal)以外に糖質も多く含む日本酒がワースト。ビールは糖質ゼロタイプを選ぶとカロリーダウン。蒸留酒は糖質ゼロだが、度数が高いのでストレートやロックではなく割って飲む。ただ梅酒や甘いサワーのように糖質を添加するとカロリーがプラスされるのでNG。
23.乾き物|“揚げ物”に手を出さず、タンパク質多めを選択。
ポテチや《歌舞伎揚》は揚げ物。糖質&脂質が多くて高カロリー。タンパク質はごく少量だ。ナッツはタンパク質やビタミンも摂れるが、脂質が多くてカロリーが上がる。イカの加工品であるあたりめはタンパク質が多くて低カロリー。原材料は同じなのに揚げたイカ天はカロリーだけ上がり、タンパク質は少ない。
24.中華まん|特製はカロリーが高いわりにタンパク質はあまり増えない。
特製と銘打つと上質≒脂質多めの挽き肉を使うためか、通常の肉まんとタンパク質量は大きく変わらないのにカロリーが跳ね上がる。あんまんはタンパク質含有量は肉まんより少ないが、カロリーが抑えられるのが利点。ピザまんはタンパク質が摂れる点を評価。食べるなら同じく糖質主体のおにぎりの代わりにして。