植物の秘めた力を人々に届けるリサーチセンター。【後編】

日本では漢方としてよく知られる中国伝統の医学、中医学。その源となる植物の可能性を探るボタニカルリサーチセンターが中国にある。植物由来の力を引き出す活動の一端をここで紹介しよう。

取材・文/山田泰巨 撮影/竹之内祐幸

植物の情報を解き明かす、世界有数の研究所

2017年、〈アムウェイ ボタニカルリサーチセンター〉が全ゲノムの解析を終えたのが中国茶としても愛される杭白菊だ。菊は複雑な染色体遺伝構造、種の多様性を持つことから、その解析はキク科の起源、進化、種の多様性の解明に重要な意味を持つ。

この成果からもわかるように、同所はキク科植物の研究を進めている。これらの遺伝子情報で、植物の可能性を理論的に証明しようという。

全ゲノム解析を終えた菊を含む、さまざまな菊の見本。このなかでは中央の抗白菊が最も有用成分が多いという。

温室には中国特有の高山植物などの植物が並ぶ。
写真はデンドロビウム。花に有用成分があり、製品活用も行う。

〈ニュートリライト〉は植物の力、ファイトケミカルスを活用する。その可能性が最大限に高まるのはいつなのか。種ごとに栄養価の高い状態は異なり、収穫期によって栄養価も異なる。

時に皮や種にこそ栄養価が多く含まれるのはよく知られるが、それらを解き明かすため、日々研究を進める。まさに人類の未来を支える研究だ。

連作障害など、生育環境の研究も進める。さまざな状況下において花がどのように育つかなど、多面的な研究を行っている。

連作障害など、生育環境の研究も進める。さまざまな状況下において花がどのように育つかなど、多面的な研究を行っている。

手元の花はまだつぼみの状態だが、写真の菊においては花が咲き始める以前の状態が最も有用性があるという研究が出ているそう。

長い時間を見据え、植物と向き合い続ける

研究所から畑に向かうと、まず思いのほか枯れた土地に驚く。実は単一品種の連続栽培や長期栽培による土壌への影響を研究する畑だという。植物に限らず、土壌の品質研究も行う。

微生物などの調査でエコシステムの研究を進め、低炭素化へのアクションにも取り組む。農耕機器も最新型を取り入れ、常に10年単位で先を見据えた研究を進めたいという。

花びらが摘まれた菊は袋ごとにすべて品種が異なる。多品種の菊を育て、その有用性や可能性を研究。畑には実にさまざまな菊が咲く。

広大な敷地だが、ここで育つ草花は全て研究用。いずれも花を傷つけることがないように手摘みを行う。

その先に数十種の菊、バラ、芍薬などが咲くが、これも観賞用ではなく有用成分の抽出が目的。ほかにも多品種のソバを育て、うち3種は新種だとか。これらが食卓に並ぶ日がくるかもしれないという。

日々畑は変化を続け、彼らの研究もまたそれを追い続ける。継続的なプロセス。それこそが確かな有用性につながるのだ。

Information

問い合わせ先/日本アムウェイ合同会社
HP:https://www.amway.co.jp/