むくみの原因を根本から改善!「ほぐピラ」で老廃物とサヨナラしよう。
細胞が求める新鮮な酸素がうまく供給できなくなり、老廃物が溜まることで生じるむくみ。それを根本から改善するのが、パーソナルトレーナーの星野由香さん提唱の「ほぐピラ」だ。動きが悪いところを「ほぐ」し、弱った部分を鍛える「ピラ」ティスを、いざ実践。
取材・文/井上健二 撮影/幸喜ひかり、園山友基 スタイリスト/佐藤奈津美 ヘア&メイク/村田真弓 イラストレーション/モリタクマ、小林ラン 監修/星野由香(パーソナルトレーナー)
初出『Tarzan』No.885・2024年8月1日発売
教えてくれた人
星野由香(ほしの・ゆか)/ピラティスインストラクター。豊富な臨床経験からピラティスと「ほぐし」を融合させた「ほぐピラ」を独自に考案。男女を問わず多くの支持を集め、予約の取れない人気トレーナーの地位を確立。
筋肉のバランスを整えて、酸素と老廃物を代謝する。
むくみの背景には、細胞が求める新鮮な酸素がうまく供給できなくなり、老廃物が溜まってしまうことがある。大切なのは深い呼吸とそのリズムだ。
それを根本から改善するのが、パーソナルトレーナーの星野由香さん提唱の「ほぐピラ」。硬く動きが悪いところをほぐし、ピラティスで弱った部分を鍛える。こうして筋肉のバランスを整えて酸素の供給や老廃物の代謝を促進し、カラダの自然回復力を引き出す。
「人体は横隔膜や骨盤底筋群といった隔膜で仕切られている。規則的な深い呼吸に合わせて隔膜の内圧が陰圧と陽圧に変化すると、呼吸と関連している深部のインナーマッスル(深層筋)までほぐしたり、鍛えたりできるのです」(星野さん)
隔膜には小脳テント、横隔膜、骨盤底筋群などがある。外から働きかけるだけではなく、呼吸で隔膜を動かし深部の筋肉まで整える。
胸のむくみを解消する「ほぐピラ」。
胸のむくみを取る鍵は、鎖骨。鎖骨は肩甲骨や胸郭と接し、腕、肩、胸、背中を一体化させる。鎖骨の可動性が上がると肩甲骨や胸郭が動きやすくなり、深い呼吸を伴うと横隔膜が活性化。余計な体脂肪も燃やせる。鎖骨周辺のリンパ節が刺激されて、リンパの流れも促される。
胸の「ほぐ」(左右各3〜5呼吸)
1.両足を腰幅に開いてまっすぐ立つ。2.右手の中指で左鎖骨の上を押し、いちばん硬いところに置く。3.左手を左肩に置く。4.左肩を前後に動かし、鎖骨を前後に動かす。鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。5.左肩を上下に動かし、鎖骨を上下に動かす。鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。6左右を変えて同様に行う。
胸の「ピラ」(左右各3〜5呼吸)
1.両足を腰幅に開いてまっすぐ立つ。2.鎖骨の上を親指で押し、いちばん硬いところに置く。3.親指以外の4指を、首の後ろの骨の出っ張り(大椎。第7頸椎または第1胸椎の棘突起)の左右に置く。4.両肘を開いて左右の肩甲骨を寄せ、両肘を閉じて肩甲骨を開く。鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。
5.両肘を開いたまま、上体を左に倒して右側の肩甲骨を上げ(肩甲骨の下端が回転しながら上がる上方回旋)、左側の肩甲骨を下げる(肩甲骨の下端が回転しながら下がる下方回旋)。これを左右交互に行う。鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。
6.できるだけ大きな円を描くように両肘を前回しする。鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。後ろ回しも同様に行う。
腹のむくみを解消する「ほぐピラ」。
便秘気味だったり、皮下脂肪や内臓脂肪が溜まったりすると、お腹は余分な水分(血液やリンパ)でパンパン。お腹をほぐして動かし、水分排泄を促してむくみ解消だ。お腹に液体の動きを感じながら行うのがポイント。消化管を固定する腸間膜や肝臓まで刺激するとより効果的。
腹の「ほぐ」(3〜5呼吸)
腹の「ピラ」(左右各3〜5呼吸)。
1.両足を腰幅に開いてまっすぐ立つ。2.左手のひらを右側の肋骨の下(肝臓)に当てる。3.右の背中側に右手のひらを当てる。4.両手で体幹を圧迫して放し、圧迫して放すポンピングをリズミカルに続ける。5.鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で吐く。
背中のむくみを解消する「ほぐピラ」。
背中は直接アプローチしにくい。まず1の準備の「ピラ」を行い、2の「ほぐ」で背中と繫がる肩や上腕後ろ側の筋肉をリリース。「ピラ」では、左側の脇腹にあり、血液を貯めたり、リンパ球を作ったりする脾臓を刺激。血液とリンパの流れを整え、背中のスッキリ感をアップ。
背中の「ほぐ」
1.左右各30回
1.両足を腰幅に開いてまっすぐ立つ。2.左肘を左肩の真上に上げて曲げ、その上腕を後ろから右手で持つ。3.右手で引っ張りながら上体を右側へ倒す。4.左肘をまっすぐ伸ばし、90度に曲げる。これをリズミカルに反復。5.左右を変えて同様に行う。
2.左右各3〜5呼吸
1.両足を腰幅に開いてまっすぐ立つ。2.左腕を床と平行に右側へ伸ばす。3.左肘の外側に右腕の前腕内側を当て、右肘を曲げる。4.上体を右側へ回しながら、右肘で左腕を引き、左肩をストレッチ。5.鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。6.左右を変えて同様に行う。
背中の「ピラ」(左右各3〜5呼吸)
1.仰向けで両脚を腰幅でまっすぐ伸ばす。2.下半身を右へ捻り、左膝を曲げて右の床に置く。3.右手を左側の肋骨に置く。4.左腕は床で斜め下に伸ばし、手のひらを上に向ける。5.左側の肋骨を開くように、右手で床に向けてさすり、元に戻る。6.鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。7左右を変えて同様に行う。
尻のむくみを解消する「ほぐピラ」。
お尻がむくむ人は骨盤が硬すぎる。骨盤内の余分な液体(血液とリンパ)を揺らし、排出を促す気分で骨盤のしなやかな動きをリバイバル。深く呼吸しながらだと、骨盤の底に広がる骨盤底筋群が活性化されて横隔膜と絶妙にシンクロ。酸素とリンパと血液の循環が促進できる。
尻の「ほぐ」
1.左右各3~5呼吸
1.椅子に坐り、左側の腰骨(腸骨)にローラー(35ページ参照)を横にしてしっかり当てる。2.両手を腰に添える。3.上体をまっすぐ立てる。4.右脚を座面から少し浮かせる。5骨盤を軽く前に押し出し、元に戻す。6.鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で吐く。7左右を変えて同様に行う。
2.3~5呼吸
1.椅子に坐り、背骨に沿ってローラーを縦にしてしっかり当てる。2.両手を頭の後ろに添える。3.上体をまっすぐ立てる。4.背もたれにカラダを預けて体重をかけ、元に戻す。5.鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐きながらリズミカルに行う。
3.左右各3~5呼吸
1.椅子に大股を開いて浅く坐り、右側の股間(坐骨の少し内側)にローラーを斜めにしてしっかり当てる。2.膝と爪先を外側に開いて方向を揃える。3.両手で座面を横から持つ。4.上体をまっすぐ立てる。5.骨盤を左右に軽く動かし、ローラーを転がして股間をほぐす。6.鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。7.左右を変えて同様に行う。
4.左右各3~5呼吸
1.床でうつ伏せになり、左側のお尻(仙骨)にローラーを横にして置く。2.両腕を肩幅でポールに乗せ、お尻にしっかり押し当てる。3.胸を反らして頭を持ち上げる。4.右斜め後方を見るように上体を捻る。元に戻る。5.鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。6.左右を変えて同様に行う。
尻の「ピラ」
1.左右各3~5呼吸
1.床でうつ伏せになり、左側の腰骨(腸骨)にローラーを横にして置く。2.両脚を腰幅でまっすぐ伸ばす。3.両腕を左右に広げて肘を曲げ、手のひらを床に向ける。4.胸を反らして頭を持ち上げる。5右脚を左側へ大きく捻る。6.そのまま右足首を曲げたり、伸ばしたりする。7.鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。8.左右を変えて同様に行う。
2.左右各3~5呼吸
1.床に坐り、両膝を曲げて立てる。2.右足首を左膝に乗せる。3.両手を左の太腿の後ろに回し、上体を後傾させながら左脚を床から浮かせる。4.両手で左膝を胸に引き寄せ、右側のお尻をストレッチ。元に戻る。5.鼻から3秒(3カウント)で息を吸い、口から5秒(5カウント)で息を吐く。6.左右を変えて同様に行う。