Q1, しんどくて長く泳げない
「4大泳法でもっともパワーが求められる泳ぎですが、それを気にしすぎて力が入ると長続きしない。だからこそ、パワーよりタイミングに重きを置くべきです。
バタフライでは1ストロークでキックを2回打ちます。通常は両腕の入水時に最初のキックを打ち、水を搔き切ったフィニッシュの時にもう1回打つ感じですが、それをうまく連動させて腕だけの動き、脚だけの動きにならないようにしましょう。
初めから欲張ってトップスピードで泳がず、ゆったりしたストロークとキックでベストなタイミングを見つけ、それをカラダに覚え込ませてください」
Q2, 腕がすぐに疲れてしまう
「バタフライでは両腕が水面上に完全に出る瞬間があります。その際、水をカラダの後ろまでプッシュし終わった後、腕だけの力に頼って前方までリカバリーしようとすると、腕が疲れやすくなります。
腕の付け根の肩甲骨から腕を前に持っていくようにすれば、肩まわりや背中の大きな筋肉が使えます。
普段から猫背気味で肩甲骨が固まったままだと、水中で肩甲骨を動かそうとしても動かない。陸上で肩甲骨がスムーズに動けるように整えておくと、水中でも肩甲骨から腕が使えます。肩甲骨の柔軟性を出すため、チューブトレをする選手もいます」
Q3, しっかり水が搔けない
「水泳では、ワンストロークでどれだけ水を捉えて進むかが大切。とくにバタフライでは、ワンストロークごとに丁寧に遠くの水を捉え続けることが求められます。
そこで肝心なのも、やっぱり肩甲骨からリラックスして腕を使うこと。肩がガチガチで腕が伸び伸びと動けないとリーチは短くなり、ストロークも小さくなる。
腕を長く伸ばすイメージで肩甲骨から腕を前に持っていくとリーチが長くなり、ワンストロークごとにしっかり搔けるのです。速く進もうと焦りすぎると力んで肩甲骨が動きにくくなり、腕だけの泳ぎになりやすい。指先までリラックスしましょう」
腕は肩甲骨からダイナミックに動かす
腕の付け根は、肩ではなく肩甲骨。肩甲骨をしなやかに動かし、リラックスして指先まで使ってより遠くの水を捉えれば、後ろに強く搔けて推進力に変えられる。
Q4, 頑張っているのになかなか進まない
「水泳ではスピードが上がるところと減速するポイントが必ずあります。バタフライでは、ストロークのフィニッシュとセカンドキックのところでスピードが乗る。
そこで力をぐっと進行方向へ持っていくためには、背泳ぎと同じように進行方向を頭に入れておくことが大事。
バタフライでは浮き上がって呼吸しようという意識が強すぎると、ベクトルが進行方向ではなく上へ上へとズレてしまう。
それだと腰が反って落ちてしまい、抵抗も増えるので、十分な推進力が得られない恐れがあります。進行方向への意識は、どの泳法でも上達するために欠かせません」
Q5, 後半息苦しくなる
「バタフライで浮き上がって呼吸する時間はほんの一瞬。そんなに長くはありません。浮き上がってから息を吐いて吸おうとすると間に合わなくなり、酸素が足りなくなって息苦しさにつながります。
力のいるバタフライで呼吸が不十分だと、それこそ致命的。後半の失速は必至です。
息は水中である程度吐き、浮き上がったら吸うだけにしておくと、短時間で効率的に呼吸できます。息を吐いて肺を空っぽにしておけば、空気は自然と入ってくるもの。
水中では無意識に息を止めちゃう人が案外多いと思うので、水中の時間を有効活用して呼吸してください」
Q6, ストリームラインが保てない
「水泳では抵抗の少ないフラットなストリームラインを取りたいものですが、バタフライは4大泳法でもっとも動きがダイナミックな分だけ、ストリームラインが守りにくいという難点がある。上体が浮き上がったり、腰が反ったりしやすいのです。
バタフライを得意とする選手たちにとっても、レース後半にきつくなったとき、どれだけストリームラインが保てているかは大きな課題です。
それを解決するためには、やはり陸トレが不可欠。体幹をちゃんと鍛えて、きつくなってきてもカラダが浮いたり反ったりしないようにキープし続けることが求められます」
後半までストリームラインが保てる体幹トレ
両肘、両膝をついて四つん這いになる。肘は肩の真下につき、膝から頭までを一直線に並べてストリームラインに近いポジションを取る。その姿勢を崩さずに、片腕を床と平行に伸ばしたら、元に戻す。左右各10回×1〜2セット。