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ストレッチの決定版! 結果を出す120秒ストレッチ【下半身編】

サソリのポーズ

120秒じっくり伸ばして筋肉にも関節にも確実に効かせる「新ストレッチ」。ポイントは、無駄な力は極力使わないこと。「自体重を用い、椅子やクッションなどで姿勢を支えながら行うと、リラックスしてカラダがのんびり伸ばせます」と新ストレッチを監修してくれた川谷響さん。基本ルールを守りながらスマホのストップウォッチをセットして始めよう!今回は下半身編。

川谷 響さん

川谷 響さん

教えてくれた人

かわたに・ひびき/パーソナルトレーナー。(株)ORIGINESS代表取締役兼マンマビレッジ代表パーソナルトレーナー。筑波大学運動部S&Cコーチとして多くの運動部を指導&サポートする。順天堂大学スポーツ健康科学部卒業、筑波大学大学院修了。

新ストレッチの基本ルール
  1. トータル120秒になるように行う(その間、呼吸を止めない)。
  2. 分割する場合のインターバル(休憩時間)は30秒以内。
  3. 1〜2日おきに週3回以上行う。
  4. 最低1か月続ける。

※重要な筋肉に関しては2ポーズずつ紹介している。好きな方を選んでいいが、60秒ずつ2種目やってもいい。

大腿四頭筋

この悩みに効く!
  • 反り腰
  • 腰痛
  • 膝痛

じっと坐っていると股関節は曲がりっ放し。するとサビて硬くなりやすいのが、太腿前側の大腿四頭筋。膝を伸ばし、股関節を曲げている

男女ともにストレッチしたい筋肉だが、より積極的に伸ばしたいのは女性

「女性は男性より骨盤が前傾しやすいうえに、ヒールを履くと爪先荷重になり、四頭筋は一層張りやすいのです」

四頭筋が硬いと骨盤が引っ張られてさらに前傾し、反り腰気味となって腰痛の引き金に。

また膝のお皿(膝蓋骨)は四頭筋の滑車の役目を果たし、その動きを助けている。四頭筋がガチガチだと膝のお皿も動きにくくなり、膝のストレスから慢性的な膝痛も生じやすい。坐ってできる気楽なポーズでほぐそう。

正座で後傾するポーズ(30秒×4回)

正座で後傾するポーズ

ポイント:みぞおちを天井に向ける気持ちで胸を張る。

  1. 太腿の下にクッションを挟み、正座する。
  2. 両手を後ろにつき、上体を後傾させる。
  3. お尻を少しクッションから浮かせて膝から頭まで一直線に保ち、太腿前側をストレッチする。

横坐りポーズ(左右各60秒×2回)

正座で後傾するポーズ

ポイント:頭と膝をできるだけ遠ざける。

  1. 右の脇の下にクッションを挟んで両腕で抱える。
  2. 右側を下にして横座りになり、ラクな姿勢に。
  3. 左右の膝を曲げ、頭から左膝まで一直線に。
  4. 右足の踵で左膝を押し、左側の太腿前側をストレッチ。
  5. 左右を変えて同様に行う。

腸腰筋

この悩みに効く!
  • 腰痛
  • パフォーマンスUP

何を隠そう腸腰筋は、腰椎、骨盤、大腿骨(太腿の骨)をつないでいる唯一無二の筋肉。上半身と下半身をリンクさせる非常に重要な役割を担う

だが、外側からじかにアプローチできない深部にあるインナーマッスル(深層筋)ゆえに、トレーニングでもストレッチでも後回しになりやすい。おかげで弱く硬くなる傾向があるから、最優先でストレッチに励みたい

腸腰筋が硬くなると股関節の動きが悪くなり、協力して働いている腰椎のストレスが増えて腰痛に陥りやすい

腸腰筋をほぐすとそんな腰痛が避けられるし、股関節の可動域も広がり、1歩ごとの歩幅は大きくなる。それだけランニングやウォーキングのペースも速くなるのだ。

サソリのポーズ(左右各60秒×2回)

サソリのポーズ

ポイント:踵を誰かから引っ張られているようなイメージで。

  1. うつ伏せになり、両脚を腰幅でまっすぐ伸ばす。
  2. 両手を重ね、顎を乗せる。
  3. 左脚を右側の床へ伸ばし、左肩と左膝が対角線上でできるだけ離れるように股関節を大きく捻ってストレッチ。
  4. 左右を変えて同様に行う。

弓のポーズ(左右各30秒×4回)

弓のポーズ

ポイント:頭のてっぺんから爪先まで弓のようにしならせる。

  1. スツールに右側のお尻だけを乗せて坐る。
  2. 左脚をできるだけ後ろに伸ばし、左足は爪先を立てる。
  3. 右膝を直角に曲げ、両手を右腿で重ねる。
  4. 左足の爪先で床を押し、頭のてっぺんを天井に向け、上体を床と垂直に保ち、骨盤を起こして左側の股関節をストレッチする。
  5. 左右を変えて同様に行う。

深層外旋六筋

この悩みに効く!
  • 坐骨神経痛

お尻の大臀筋の奥にあるインナーマッスルが、深層外旋六筋。梨状筋、内・外閉鎖筋、上・下双子筋、大腿方形筋がある。骨盤と脚の大腿骨を結び、協力して股関節を安定させたり、外向きに捻る外旋をさせたりする。

「運動不足で股関節をダイナミックに動かす機会が減り、上半身の重みがかかり続けると、弱く硬くなりやすいのが弱点」

このうちいちばん大きい梨状筋が硬くなると、近くを通る坐骨神経に干渉して痛みや痺れを招く「坐骨神経痛」が起こりやすい。股関節を内向きの内旋方向に動かし、梨状筋をはじめとする深層外旋六筋をほぐそう。

踵を膝にかけるポーズ(左右各60秒×2回)

踵を膝にかけるポーズ

ポイント:上の脚の重みで反対側のお尻を伸ばす。

  1. 仰向けで、両膝を腰幅に開いて90度曲げて立てる。
  2. 両腕を体側で「ハ」の字に開き、手のひらを上に。
  3. 左足の踵を右膝の外側にかける。
  4. 左足で右膝を内側に倒し、右側のお尻をストレッチ。
  5. 左右を変えて同様に行う。

内転筋群

この悩みに効く!
  • O脚
  • X脚

坐るとすぐに脚を組みたくなったり、油断すると両脚がガニ股に開いたりするなら、内転筋群が固まって満足に機能していない可能性が高い

太腿と膝の内側には多くの筋肉がある。それが内転筋群。太腿を閉じる内転に関わり、骨盤と股関節を安定させている。弱いとガニ股(O脚)になるし、硬すぎると内股(X脚)になりやすい。

太腿の間に隙間が欲しい女性は、ワイドスクワットやヒップアダクションといった筋トレで内転筋群を鍛えますが、その前に内転筋群をストレッチで動きやすくするのが先決です

仰向けカエルのポーズ(120秒×1回)

仰向けカエルのポーズ

ポイント:脚の重みを利用して太腿内側を伸ばす。

  1. 床で仰向けになり、両膝を90度曲げて揃えて立てる
  2. 両腕を体側で「ハ」の字に開き、手のひらを上に向ける。
  3. 両足の裏をくっつけたままで、カエルのように脱力して両膝を床に近づけて、太腿内側をストレッチする。

ハムストリングス

この悩みに効く!
  • 骨盤後傾
  • 肉離れ

坐り続けると、割を食うのは太腿前側の筋肉だけではない。太腿後ろ側のハムストリングスにも害が及びやすい。

ハムは膝を曲げ、股関節を伸ばしてくれる。坐っていると、膝も股関節も屈曲で固定。そのうえ上半身の重みが加わり、圧迫されて血流が悪くなるので、ハムは余計衰えてサビつきやすいのだ。放置すると骨盤が後傾してお尻も垂れてくる。

デスクワーク中などは30分に一度は立ち上がって周囲をサクッと歩き回り、血流を促進。ストレッチにも励もう。

また運動から遠ざかっている人が、久しぶりにハッスルしすぎるとハムの肉離れを起こしやすい。ハムストレッチはそんな悲劇も未然に防いでくれる。

壁に足をかけるポーズ(左右各60秒×2回)

壁に足をかけるポーズ

ポイント:背中を丸めないで胸を高くキープする。

  1. 壁と向き合って坐り、右脚を45度ほどの角度でまっすぐ壁に伸ばし、踵を壁につける。
  2. 両手を後ろについて上体を後傾させる。
  3. 左膝は曲げて立てる。
  4. 両手で床を軽く押して上体をまっすぐに保ち、右脚の太腿後ろ側をストレッチ。
  5. 左右を変えて同様に行う。

頰杖のポーズ(左右各60秒×2回)

ポイント:股関節から上体を前方へ曲げる。

ポイント:股関節から上体を前方へ曲げる。

  1. 床であぐらをかき、右脚をまっすぐ斜め前に伸ばして爪先を天井へ向ける。
  2. 台やスツールを目の前に置き、上体を倒して左肘で頰杖をついて上体を支え、右脚の太腿後ろ側をストレッチ。
  3. 左右を変えて同様に行う。
  4. 台がなければクッションを胸で抱えて上体を支える。

中臀筋

この悩みに効く!
  • 骨盤
  • 姿勢

中臀筋は、お尻の横にあり、骨盤(腸骨)と大腿骨(大転子)を結んでいる。地味だが大事な筋肉であり、骨盤の横ブレを抑えて、立位の姿勢をコントロールしている

たとえば、歩くときなどに片脚立ちになった際、反対側の骨盤が落ち込まないように水平に支えているのは、軸脚側の中臀筋なのである。

「中臀筋がサビつき、動きが悪くなると、軸脚と反対の骨盤が落ちる。これを“トレンデレンブルグ徴候”と呼びます」

中臀筋の柔軟性が高いと骨盤を巧みにコントロールできて、歩行も立位もブレにくくなる。

スケートコーナーリングのポーズ(左右各30秒×4回)

スケートコーナーリングのポーズ

ポイント:頭から脚まで弓のようにしならせる。

  1. 壁際でカラダを左に向けて立ち、爪先をカラダの正面に向ける。
  2. 肩の高さで右腕を伸ばし、右手のひらを壁につく。
  3. 右脚を左脚の後ろにクロスさせて、床でできるだけ左側へ伸ばす。
  4. 右手で壁を押して体重をかけ、腰を壁に近づけて右側のお尻の外側をストレッチ。
  5. 左右を変えて同様に行う。

大臀筋

この悩みに効く!
  • 垂れ尻
  • 腰痛

地球の重力に対して姿勢を支えて、自在に動けるようにサポートするのが「抗重力筋」。そのエース格がお尻の大臀筋だ。

屋内外がフラットになり、座位で過ごす時間が増えると、重力に対抗する必要性も減り、抗重力筋のエースである大臀筋も衰えて硬くなりやすい。

大臀筋が弱体化して固まると、お尻が垂れてみっともない。大臀筋をストレッチで緩めるだけでも、お尻はシュッと引き締まる

股関節につく腸腰筋と大臀筋がともにサビて硬くなると、腰椎が上下から圧迫されて腰痛が生じやすい。大臀筋と腸腰筋の可動域をストレッチで広げると、腰椎のダメージが減り、股関節も滑らかに動いて腰痛が緩和される。

腰を捻るポーズ(左右各60秒×2回)

腰を捻るポーズ

ポイント:対角の肩と膝を床にできるだけ近づける。

  1. 床で仰向けになり、両膝を曲げて立てる。
  2. 両膝を左側の床に倒し、右膝の外側を左手で押さえる。
  3. 右腕を体側で伸ばし、手のひらを上に向ける。
  4. 右肩が浮かないように注意して、左手で右膝をさらに床に近づけて、右側のお尻をストレッチ。
  5. 左右を変えて同様に行う。

四の字坐りのポーズ(左右各60秒×2回)

四の字坐りのポーズ

ポイント:股関節から上体を前に曲げる。

  1. 椅子に浅く坐り、両膝を90度曲げる。
  2. 右足首を左太腿に乗せて、右膝と右足首を両肩と平行にキープ。
  3. 脱力してうなだれるように上体を前傾させて両腕を前に垂らし、右側のお尻をストレッチ。
  4. 左右を変えて同様に行う。

下腿三頭筋

この悩みに効く!
  • むくみ
  • 疲労

デスクワークなどで坐りっ放しでも、営業などで立ちっ放しでも、疲労が溜まりやすいのはふくらはぎの下腿三頭筋。下腿三頭筋は足首を動かす筋肉だが、坐りっ放しも立ちっ放しも、足首を大きく動かさないからだ。

ふくらはぎは“第2の心臓”でもある。心臓より下を巡っている血液を、重力に逆らって心臓へ還流させているミルキングアクションの主役なのだ。

「ここが硬くなると下半身がむくみやすくなり、全身の血流が低下して疲れやすくなるなどの悪影響が出てきます」

ストレッチで下腿三頭筋の動きを促し、ミルキングアクションを活性化。血流が改善できたら、むくみも疲れも軽快し、毎日が心地よく過ごせる。

跪くポーズ(左右各30秒×4回)

跪くポーズ

ポイント:胸と太腿を近づけるように上体を前傾させる。

  1. 正座をしてから左膝を立てる。
  2. 両手を肩幅で前方へ床で滑らせる。
  3. 上体を股関節から前に倒して左足に体重を乗せ、左脚のふくらはぎをストレッチする。
  4. 左右を変えて同様に行う。

上体前傾のポーズ(左右各60秒×2回)

上体前傾のポーズ

ポイント:頭から踵まで一直線にキープする。

  1. 両脚を揃えて立ち、爪先を正面に向ける。
  2. 左脚を1歩分後ろに引き、右膝を軽く曲げ、上体を股関節から前傾させて両手を右膝で重ねる。
  3. 左足の踵を床につけ、左脚のふくらはぎをストレッチ。
  4. 左右を変えて同様に行う。

      取材・文/井上健二 撮影/内田紘倫 スタイリスト/青木 穣 ヘア&メイク/渡部翔太 エクササイズ監修/川谷 響(マンマビレッジ代表パーソナルトレーナー)

      初出『Tarzan』No.882・2024年6月20日発売

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