筋肉痛で老化が進む! 老けないカラダを維持するための“上げトレ”

若さを保つための筋トレで起きる筋肉痛が、実は老化の原因となってしまう!? なら、どうする? ―答えは簡単だ。筋肉痛にならない筋トレをやろう! 今回は、炎症を抑えつつも効果をしっかり得られる“上げトレ”のメソッドをご紹介。

取材・文/鈴木一朗 撮影/内田紘倫 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/大谷亮治 エクササイズ考案&監修/坂詰真二(スポーツ&サイエンス) 編集/堀越和幸

初出『Tarzan』No.880・2024年5月23日発売

上げトレ

上げて4秒、下げて1秒

筋トレを行った後に起こる筋肉痛。実はコレ、老化を進める。なぜなら筋肉痛=筋肉の炎症にほかならないからだ。だが、筋トレをしなければ衰えるばかりなのも確か。一番は炎症を抑えて筋トレをすることなのだ。

そこで提案したいのが「上げトレ」。重量を持ち上げる時に筋肉は縮みながら、下ろす時は逆に伸びながら力を発揮する(下写真参照)。

上げトレ

アームカールという筋トレ。重量を上げるとき筋肉は縮んで力を発揮する。これをコンセントリック収縮と呼ぶ。下げるときは伸びて、こちらはエキセントリック収縮だ。

どちらが筋肉により大きな負担がかかるかといえば、伸びながら力を発揮する時なのだ。つまり、下ろす時に負荷があまりかからないように筋トレを行えば、筋肉痛は起きにくい。

筋肉痛がないと効果もないんじゃない? と思う人もいよう。そんなことはない。筋肉は必ず大きく強くなる。下に記したルールに従い、「上げトレ」を行おう。すべてのトレーニングは上げる時だけ、大きな負荷がかかるように作ってある。いつまでも動ける若いカラダを育てよう。

トレーニングルール
  1. 4秒かけて息を吐き、上げる。
  2. 1秒で息を吸い、下げる。
  3. 1つのエクササイズは5周行う。
  4. 下半身メニューは毎日どれか1つ。
  5. 余裕があれば体幹、上半身も。

下半身の上げトレ

ベントニースクワット

  • ポイント:片脚立ちでカラダを起こす。
  • 鍛える場所:太腿前面

上げトレ ベントニースクワット

椅子の背に手をかけカラダを安定させたら、もう一方の手を腰に当て、足を揃えて立つ。

上げトレ ベントニースクワット

膝を曲げ、膝から上を後方に倒す。両脚で倒れるので左右の筋肉が使われ、伸びながらの力発揮の負担を半減する。

上げトレ ベントニースクワット

椅子に近い側の脚を床から浮かせ、前方へ伸ばす。

上げトレ ベントニースクワット

床についた側の膝を伸ばす。このとき伸ばした側の太腿前面の筋肉だけが縮みながら力を発揮する。逆も行う。

グッドモーニング

  • ポイント:膝を伸ばして立ち上がる。
  • 鍛える場所:腿裏・尻

上げトレ

椅子の背に手をかけカラダを安定させたら、もう一方の手を腰に当て、足を揃えて立つ。

上げトレ

両膝を軽く曲げて尻を突き出し前傾する。両脚で倒れるので、左右の筋肉が使われ、伸びながらの力発揮が半減する。

上げトレ

椅子に近い側の脚を床から浮かせて、後方に伸ばす。

上げトレ

軸脚の膝を伸ばす。このとき膝を伸ばした側の尻と太腿裏の筋肉だけが縮みながら力を発揮する。逆も行う。

ヒールレイズ

  • ポイント:踵を床から高く上げる。
  • 鍛える場所:ふくらはぎ

上げトレ

前方に椅子を置き、カラダを前傾させて両手で背もたれを摑む。片側の脚を床から浮かせ、後方に伸ばす。

上げトレ

床につけた足の踵を高い位置まで上げる。このとき上げた側のふくらはぎが縮みながら力を発揮する。

上げトレ

後方に伸ばした脚の爪先を床へ下ろし、両足を揃える。

上げトレ

踵を床へ下ろす。このとき両側のふくらはぎの筋肉が働くので負荷が半減する。逆も行う。

体幹の上げトレ

バックエクステンション

  • ポイント:腰を反らして上体を浮かせる。
  • 鍛える場所:腰

上げトレ

床にうつ伏せになり、肘を開いて両手を顎の下へ。

上げトレ

腰を後方へ反らせるように、上体を床から浮かせる。このとき腰の筋肉は縮みながら力を発揮する。

上げトレ

顎の下の手を胸の横へ。手のひらを床につける。

上げトレ

腕の力を利用して、上体を床に近づけ元の体勢へと戻る。筋肉の伸びながらの力発揮が抑えられる。

トランクカール

  • ポイント:上体を丸めながら起こす。
  • 鍛える場所:腹

上げトレ

椅子の座面に下腿を乗せて、股関節、膝を直角に曲げて床に仰向けになる。手は膝の上に置く。

上げトレ

手を前方へと滑らせ、上体を丸めながら床から浮かせる。このとき腹の筋肉は縮みながら力を発揮する。

上げトレ

滑らせた手を横へと移して太腿を抱える。

上げトレ

腕の力を利用して、上体を床に近づけ元の体勢へと戻る。筋肉の伸びながらの力発揮が抑えられる。

上半身の上げトレ

チェストフライ&プレス

  • ポイント:肩の上にペットボトルを上げる。
  • 鍛える場所:胸

上げトレ

ペットボトルを両手に持ち、膝を立て、仰向けになる。腕を横に開き、ペットボトルが肩の真横に来るように構える。

上げトレ

腕を伸ばしたまま、大きく弧を描くようにペットボトルを肩の上まで上げる。胸の筋肉は縮みながら力を発揮する。

上げトレ

両腕を内側へ回し、ペットボトルを肩のラインと平行になるよう構え直す。

上げトレ

肘を曲げてペットボトルを胸の横へ下ろす。肘を曲げた分、重量は胸に近づき、筋肉の伸びながらの力発揮が半減する。

ベントオーバーロウ ワイド&ナロウ

  • ポイント:肩甲骨を寄せて肘を上げる。
  • 鍛える場所:背中

上げトレ

膝を軽く曲げて尻を引き、上体を前傾させる。胸を張って腕を伸ばし、ペットボトルが肩の真下に来るように構える。

上げトレ

腕を開き肩甲骨を寄せ、ペットボトルをお腹の横に引き上げる。このとき背中の筋肉は縮みながら力を発揮する。

上げトレ

脇を締めて、肘を体側に寄せる。自然とペットボトルは肘の真下に位置する。

上げトレ

腕を伸ばす。脇を締めた分、重量は背中に近づき、筋肉の伸びながらの力発揮が半減する。