鮭は最強のアンチエイジング食材|最強若返りメシ【抗酸化編】
老化の原因として最もよく知られているのが、酸化という化学反応。でも、もともとカラダに備わっている抗酸化システムは、加齢によって衰えていく一方。だからこそ、日常的に口にする食材、選択肢があるときに選びたい食材を味方につけるべし。今回は、抗酸化力の高い成分と、多く含む食材を紹介。
取材・文/石飛カノ 撮影/石原敦志 スタイリスト/矢口紀子 料理製作・栄養監修/河村玲子(管理栄養士、トレーナー) 取材協力/津川友介(カリフォルニア大学ロサンゼルス校〈UCLA〉医学部内科・公衆衛生大学院准教授) 参考文献/『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(津川友介著、東洋経済新報社刊)、『HEALTH RULES(ヘルス・ルールズ)病気のリスクを劇的に下げる健康習慣』(津川友介著、集英社刊)、『数字でわかる老けない食事 AGEデータブック』(山岸昌一監修、万来舎刊)
初出『Tarzan』No.880・2024年5月23日発売
アスタキサンチン
最強の抗酸化作用を誇る、鮭やエビの赤い色素成分
赤色の色素成分・アスタキサンチンはその高い抗酸化作用で知られている。抗酸化力はなんと、ビタミンEの1000倍、ビタミンCの6000倍!
管理栄養士の河村玲子さんによれば、
「アスタキサンチンはエビやカニ、鮭などに含まれています。ただエビとカニは殻や甲羅にも含まれているので、食べられない部分が少しもったいない。最も効率よくアスタキサンチンが摂れるのは鮭だと思います」
アスタキサンチンは熱にも強いので、サーモンの寿司はもちろん、茹でたり煮たり、お好きな調理法でどうぞ。
カルノシン
抗疲労成分イミダペプチドの構成要素
カルノシンとは2つのアミノ酸が結合した「イミダゾールジペプチド」の一種。どこかで聞き覚えがある? そう、かつて抗疲労成分として話題となった、略して「イミダペプチド」グループに属する栄養素だ。
鶏の胸肉に豊富に含まれることは知られているが、豚肉やマグロの赤身もカルノシンの宝庫。
「カルノシンは主に筋肉内で抗酸化作用を発揮するといわれています。カルノシンの抗酸化力が働くことで、結果的に抗疲労に繫がると考えられています」
肉や魚を選ぶときは、よく動かす部分、脂肪の少ない部位を選ぶことがポイント。
ミネラル
抗酸化酵素の材料、亜鉛と銅を地道に補給
体内にはもともと活性酸素の害をチャラにするシステムが存在している。SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)という酵素がそのひとつで、呼吸するたびに作り出される活性酸素を除去してくれる働きがある。この酵素の材料となるのが銅や亜鉛といったミネラル。
悲しいかな加齢とともにSOD酵素の産生量はどんどん低下していくので、アサリやカキなどから亜鉛、レバーやココアなどから銅をせっせと摂りたい。
「ミネラルはサプリメントでは過剰摂取の問題がありますが、食品から摂る分にはその心配はないので積極的に補給を」
ビタミンACE
抗酸化ビタミントリオは毎日食卓に揃えるべし
ホウレンソウやニンジン、ピーマンなどの緑黄色野菜はプロビタミンAのβ-カロテン、キウイはビタミンC、アボカドや卵黄はビタミンEの補給源。これらビタミンACEは、抗酸化ビタミントリオ。補給源の顔ぶれを見れば、日常的に冷蔵庫に収納されているものばかり。つまり、毎日摂りやすいのが利点。
「脂溶性のβ-カロテンは吸収されるときに脂質が必要なので油と一緒に摂る、ビタミンCは水溶性で栄養素が流出しやすいので切りたてのものを生で、加熱するときもサッと火を通す、などがポイントです」
ポリフェノール
植物が持つ防御システムをお裾分けしてもらう
ラズベリーやブルーベリーなどベリー系に豊富なアントシアニン、緑茶に含まれるカテキンやテアフラビン、大豆のえぐみ成分のイソフラボン、タマネギの黄色色素のケルセチン。どれも舌を嚙みそうな個性的な名前だが、すべてみな植物に備わっているポリフェノール類。
「ポリフェノールに特有の化学構造が酸化を抑制すると考えられています。植物は自ら移動できないので紫外線など酸化の害から身を守るために抗酸化物質を備えています。いろいろな植物を幅広く摂ることでその恩恵にあずかることができます」
ありがたく、いただこう。