もう早食いはやめよう。食事時間を伸ばす腹凹アイデア5つ|腹が凹む7つの習慣④
出てるお腹を凹ませたい。とはいえ辛いフッキンはやりたくないし、食事の内容を大きく変えるのはどうせ続かない…。こんな自分でもお腹は凹ませられる? その問いに対する答えはイエス。「凹ます」のは「割る」ほど難しくない。ちょっとした習慣を取り入れるだけで十分なのだ。今回着目するのは「食事時間」。シンプルな話、早食いをやめてゆっくり食べるとお腹は凹みやすい。その大前提はどのくらい時間をかけて食事をしているかを認識すること。それを踏まえて食事時間を延ばそう。
取材・文/井上健二 イラストレーション/mrsn 取材協力/牛尾理恵(料理研究家)
初出『Tarzan』No.878・2024年4月18日発売
食事時間をできるだけ延ばすためのアイデア5選
食事量は減らしたくないが、内臓脂肪は減らしてお腹を凹ませたい。そんなワガママを叶える習慣がある。早食いを戒め、ゆっくり食べるのだ。
「食事には大なり小なり糖質が含まれます。糖質を一度に摂りすぎると食後に血糖値が急に上がり、インスリンというホルモンが多く分泌される。インスリンは血糖を体脂肪に合成し、体脂肪の分解を抑えるため、内臓脂肪も脂肪肝も溜まりやすいのです」(消化器内科医の栗原毅先生)
早食いをするほど、食後に血糖が上がりすぎるため、内臓脂肪が蓄積してお腹が出やすい。20分以上かけて食べるように心がけていると、食後高血糖がセーブされて内臓脂肪も溜まりにくい。また時間をかけると、その間に消化管ホルモンが作用して食欲を抑えるので、過食も防げる。時間をどのくらいかけて食事しているかは案外自覚できていないもの。試しに一度スマホのタイマー機能でカウントしよう。多忙な平日はおそらく1食5〜10分の人が大半だろう。
食事時間が短すぎると知ったら、ここで紹介するアイデア集を参考に、いつもより2〜3倍の時間をかけて食べるようにルール化してみたい。
ひと口ごとに箸を置く
急いでいると、できるだけ多くの食べ物を一度に口の中へ放り込み、まとめて雑に咀嚼して一気に飲み込もうとしがち。それでは食後高血糖は免れない。
それを防ぐのに有効なのは、ひと口分を口に入れたら、一度箸を置くこと。十分に咀嚼して飲み込んだら、改めて箸を手に取り、次の分を口に運ぶ。
ことにカレーライスや中華丼のようにスプーンでサクサク食べ進められるような食べ物は、まるで飲み物のように早食いをしがち。とはいえ箸ではさすがに食べにくいから、ひと口ごとにスプーンを置き、落ち着いて食べるようにしたいものだ。
30回以上嚙む
早食いをブロックするもっともポピュラーな方法はきちんと嚙むこと。ひと口30回以上を目安にすると食事時間は延びる。
よく嚙むと唾液の分泌が促される。唾液のアミラーゼという酵素は、主食のご飯やパンのでんぷんを糖質に変えて甘みを感じさせてくれるから、主食が適量で満足できるようになる。
咀嚼回数を増やすには、何を食べるかも重要。ファストフードは柔らかくて嚙み応えに乏しく、数回嚙んでいるうちに口の中で溶けてなくなるため、到底30回も嚙めない。加工度が低く、食物繊維も多くて嚙み応えがある食べ物をチョイスしたい。
一人ではなく誰かと一緒に食事する
運動は仲間がいると継続率は高まる。不安や悩みが共有できるし、励まし合いながら続けられるからだろう。食事も一人ではなく、誰かと一緒に食べると会話が生まれるから、早食いは回避できる。
だが、一人世帯が増えたことなどにより、一人で食べる「孤食」を強いられている人は増えている。農林水産省の調査によると、全体の27%は週1回以上孤食をしており、11%は毎日ほとんど孤食と答えているのだ。
朝食はともかく、ランチか夕飯のどちらかは仕事仲間や友人を誘い、愉快な会話を交わしながらゆったりと食事したい。
利き手とは逆の手で食べる
日本人のおよそ9割は右利きであり、残り1割が左利き。利き手の方が当然使いやすいが、あえて利き手じゃない「逆手」で食べると早食いは避けられる。
逆手だと箸もスプーンも使いにくいから、食べ物をゆっくり慎重に口へ運ぶようになる。加えて不慣れなので、いくら頑張っても一度にキャッチして口まで運べる量が減るからだ。
この逆手ダイエットは副次的に眠れる脳も覚醒できそう。右手は左脳、左手は右脳と連携しており、右利きは左脳優位、左利きは右脳優位。逆手で普段と違う脳を刺激できたら、脳力全体の底上げにつながるかも。
「ながら食べ」 をやめる
「ながら食べ」だと食べることが疎かになり、早食いは加速。充足感が低下して過食しやすい。
ながら食べに拍車をかけるのは昔テレビだったが、現代では何よりもスマホ。〈NTTドコモ モバイル社会研究所〉がスマホ・ケータイのユーザーに調査したところ、およそ半数(44・8%)が食事中にスマホを利用すると回答しているそうだ。
食事中はスマホを遠ざけ、目の前の食べ物に心を集中させよう。食べることだけに熱中する「マインドフルネス・イーティング」には食事を適量に導いたり、過食の元凶であるストレスを軽減したりする効果もある。
お酒との付き合い方は?
断酒が難しいなら、せめて節酒を
一般的にビールのような醸造酒は糖質を多く含むために太りやすく、焼酎などの蒸留酒は糖質を含まないため太りにくいという。でも、アルコールは1g7kcal。蒸留酒も飲みすぎたら、体脂肪に変わって太りやすい。断酒が難しいならせめて節酒を。飲まない日を決めるか、飲む日を決め、オフ日にはノンアルを利用しよう。
宅飲み派は、缶チューハイのようなRTD(買ってすぐ飲める)タイプではなく、ひと手間かけてお酒を楽しむ手もある。凝ったカクテルを自作したりすれば、もったいなくてじっくり味わうから、飲みすぎにブレーキがかかる。