【棚橋弘至・連載】第36回:数字だけじゃないゴールラインを。体脂肪率は顔だちに現る

新日本プロレス「100年に一人の逸材」棚橋弘至が綴る、大胸筋のように厚く、起立筋の溝のように深い筋肉コラム。第36回のテーマは「体脂肪と見た目の関係」について。

【棚橋弘至・連載】第36回:数字だけじゃないゴールラインを。体脂肪率は顔だちに現る

とにかくよく食べた子供時代

「カロリー」。食品に含まれる熱量の単位。このカロリーを数値化した方、偉いですね。この「カロリー」という概念が広まる前は、漠然と「生きるために食べる」という感じだったんでしょうね。

お米を食べると元気が出る、みたいな。僕が子供のころは、食品に成分表なんかは載っていなかった(ような気がする)ので、好きなものを好きなだけ食べていましたね。

小中学校の頃、僕は早食いで、しかも大食いでした。毎回一番に、給食をおかわりをしていたし、女子が飲まないパック牛乳をもらい、学校にいる間だけで、牛乳を1Lは飲んでいました。学校帰りも牛乳を飲みながら帰っていたくらいです。

おかげで、身長はグングン伸びました。余談ですが、教室の机の中には、パンのストックもありました。

食品の栄養素やカロリーについて初めて学んだのは、高校の野球部でした。

野球のオフシーズンにあたる冬、教室に集まった僕らは、監督から「タンパク質をしっかり摂るように」と指示され、タンパク質が多く含まれる食品を調べました。この経験が後にとても役に立ったのでした。

カラダを変えるなら、食事>トレーニング

皆さん、よく聞いて下さいね。肉体改造やダイエットなどの効果を最大限に引き出すのは、トレーニングよりも食事です(過激派)。野球部でのウエイトトレーニングも、みんな、大体同じ重量を同じ回数やるわけです。ジムでトレされている皆さんも、ジムに行ったら、一通り、一生懸命やりますよね。

でも、必ず差が出てきます。

それは、イージーゲイナー(筋肉が増えやすい人)、ハードゲイナー(筋肉が増えにくい人)という遺伝的素質にも左右されることはありますが…一番重要なのは食事なのです。

中学生の頃から、市の体育館のジムにこっそり通い、高校野球部のトレーニングで腹筋がバキバキになり、体育の授業の水泳では、女子にキャーキャー言われ、男子に「ちょっと触らせてくれよ!」と言われ、断り(笑)。

大学に入学して1年で68kgから80kgの増量し、卒業時には、90kgになり。新日本プロレスに入門して、デビューまでの半年で、12kg増量し、コロナ禍で試合ができなかったとき、あっという間に、110kgに達した【肉体七変化】の僕が身をもって実証しているので間違いはないです(キッパリ)。

では、どうやってこのカロリーと、どう付き合っていけばよいのか? 大きくなりたければ【オーバーカロリー】。痩せたければ【アンダーカロリー】。これが鉄則ですね。

しかし、これを実践するためには、最初に、自分の基礎代謝量を知る必要があります。【基礎代謝】とは、特に何もしなくても、生きるために使うエネルギー量のことです。年齢、性別、体重などを打ち込むと、すぐにその数値を出してくれるサイトがたくさんあります(各自お願い)。

で、自分の基礎代謝量が出ます。これさえ分かれば、あとは食事量の調整と消費カロリーの足し算引き算で、自分のゴールラインがきっと見えてきます。

体脂肪率は顔つきに現る!?

今回、なぜこの話をしたかというと「ゴールを設定しないダイエットは難しい」という経験があるからです。そして、今なお、苦戦中だからです(大泣き)。

数字だけを見て行うダイエットは、無理をしすぎて健康を害するかもしれません。健康的に、よりよく生きるためのダイエットのはずなのに、カラダに負担をかけるようなダイエットでは本末転倒ですよね。

体重(数字)も1つの目安となりますが、『ターザン』読者の皆様は、鏡と友達になりましょう! それは、カラダの部位によって、脂肪が落ちていくスピードが違うからです。

基本的に体脂肪(この場合、皮下脂肪)は、脂肪が薄い部分から落ちていくと言われています。例えば、ふくらはぎや前腕などですね。それから次に、肩や腕、顔、胸。そして、お腹周り。最後に、お尻となります。

なので、ダイエットを始めて、鏡を見て、変わらないお腹周りを見て、「ハァ~」と、ため息をつくのではなく、カラダ全体の印象や顔周り、あご、そういった部分に注意して経過を見ていただければと思います。

僕もよくお腹周りの件で、ネタにされたり、自分でネタにしたりしてしまいますが…よーーーく見てみると、コンディションが整っているときは、まず顔つきが違います。

他の多くの選手の写真も、タイトルマッチや上り調子のときなど、より男前に、より精悍に見えるのは、実は、体脂肪率と深い関係があるからでした。

で、このコラムが公開になったら、絶対、この理論を踏まえて、僕自身にもチェックが入るはず…。ん~時間が足りない! というわけで、どこかよいフェイシャルエステがあったら教えてください(←コラッ!)。

棚橋弘至

たなはし・ひろし/1976年生まれ。新日本プロレス所属。立命館大学法学部卒業後、1999年デビュー。低迷期にあった同団体をV字回復に導き、昨今のプロレスブームをリング内外の活動で支える。

本連載『モテ筋肉でいいじゃないか』は毎月・第2金曜日に公開予定。次回は、2024年4月12日(金)に公開予定です。