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【棚橋弘至・連載】第35回:アナボるか、カタボるか…。ホルモンを制する者は筋トレを制す

©️新日本プロレス

新日本プロレス「100年に一人の逸材」棚橋弘至が綴る、大胸筋のように厚く、起立筋の溝のように深い筋肉コラム。第35回のテーマは「ホルモンと筋肥大の関係」について。

トレーニーはいかに“アナボれるか”が肝

アナボリック」。とても素敵な響きですよね。筋肉が増えていくカラダの状態のことを意味します。皆さんも「アナボリックステロイド」という言葉は、どこかで聞いたことがあるのではないでしょうか?

「アナボリックステロイド」には、男性ホルモンやテストステロンを注射や錠剤で、体外から摂取して、筋肉を肥大させる効果があります。オリンピックなどの公式大会では禁止薬物になっていますね。ということは、ナチュラルで常に「アナボリック」な状態でいることができれば、筋肉は増えていく一方なのです。こんなに嬉しいことはないですよね。

しかし、そう簡単に筋肉問屋は卸しません。「アナボリック」とは対になる状態の「カタボリック」が存在するからです。

ボディビルダーやフィジーカーの皆さんが「アナボる」や「カタボる」と、省略して使ったりしますが、筋トレの効果を最大限に引き出すためには、この知識がとても大事になってきます。なので、皆さんが全員アナボれるよう考えていきましょう。題して「トレーニー総アナボリック計画」発動!

筋肥大したいならホルモン攻防戦に勝利せよ

ではまず、最大の敵を知りましょう。それは、せっかく増えた筋肉を分解してしまう作用があるホルモン「コルチゾール」です。「コルチゾール」ってなんかゲームのラスボス感のある響き。ええ、それくらい、厄介な奴なのです。

この「コルチゾール」が分泌されるのは、ストレスを感じたときです。えーーー!って思うでしょ。この世知辛い世の中で、ストレスを感じないで、生きていくのは難しい…というか、無理ゲーですよね。

でも、世の中には、このストレスホルモンの作用に打ち勝って、見事な肉体美を作り上げている方々が多くいらっしゃる。なぜそれができたのか?

それは「コルチゾール」に対抗できるホルモンが存在するからです。勇者の最強武器と最強防具みたいなものですね。

そのホルモンは「セロトニン」と「テストステロン」と言います。「セロトニン」はメンタル強化睡眠の質向上。「テストステロン」は集中力やる気向上などの効果があります。

この体内に同時に存在する「コルチゾール」と「セロトニン」「テストステロン」連合軍は、常にバチバチの戦いをしているのです。

筋肉を増やすためにすべきことは…?

で、筋肉が増えるためには、「セロトニン」「テストステロン」連合軍が勝利、もしくは常に優勢である必要があります。そのためには、どうすればよいのか? 答えは、筋トレをすること一択なのです。

「えっ? なぜ棚橋は当たり前のことを言っているのか?」と思われたことでしょう。筋肉を増やすためには、筋トレをするのは当たり前じゃないか!と。

ええ、そうなのです。この体内の水面下で繰り広げられているホルモン攻防戦を知らなくても、筋トレを頑張ってさえいれば、成果は出ます

成果が出はしますが、もし意識的に「コルチゾール」の分泌を減らして「セロトニン」「テストステロン」を増やすことができれば、トレーニングの効果をより引き出すことが可能なのです。

ホルモンを制する者は、筋トレを制す」。出ましたね。名言。『ターザン』読者の皆様には、最速で理想のカラダを手に入れていただきたい。そんな思いから、今回は、ホルモンについて書いてみました。少しでも、お役に立てれば幸いです。

言わずもがな、筋トレ効果と生活は密接な関係にあります。ニコニコと笑顔で過ごしている方は筋肉が増えます。逆に言うと、筋トレで「セロトニン」の分泌量が増えているから、ニコニコと過ごせるのかも知れません。相互フォローってやつですね。

そして、今、皆さんのお役に立てたであろう、という充実感で「セロトニン」と「テストステロン」が分泌されてきた僕のカラダは「アナボリック」な状態になっております。

さ、この勢いで、筋トレ行ってきまーす!

棚橋弘至

たなはし・ひろし/1976年生まれ。新日本プロレス所属。立命館大学法学部卒業後、1999年デビュー。低迷期にあった同団体をV字回復に導き、昨今のプロレスブームをリング内外の活動で支える。

本連載『モテ筋肉でいいじゃないか』は毎月・第2金曜日に公開予定。次回は、2024年3月8日(金)に公開予定です。

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