【棚橋弘至・連載】第32回:山本小鉄さんの金言に原点回帰。まだまだ筋肉をデカくしたい!
新日本プロレス「100年に一人の逸材」棚橋弘至が綴る、大胸筋のように厚く、起立筋の溝のように深い筋肉コラム。第32回のテーマは「筋肥大マンネリとの向き合い方」について。
どうしたら筋肥大を起こせるのか
筋トレの目的も、色々ありますよね。筋力強化。筋肥大。筋持久力アップ。ダイエット。モテたいetc…。
男女によっても、目的によっても差が出ますが、この中でも、もっとも違いが出るのは、【筋肥大】ではないでしょうか!?(※海外の女性ビルダーは、かなり大きいですが)。
この筋肥大。トレーニングを始めて1〜3ヶ月くらいが、1番変化が出ると言われています。
僕も大学に入り、ガンガントレーニングした結果、1年で68キロから80キロまで体重が増えたのでした。その頃は、とにかく楽しかったですね。感覚としては「朝起きたら大きくなってる!」そんな感じでした。
筋肥大を起こすには、まず条件を揃えなければなりません。【トレーニング→筋繊維を破壊する→しっかりと栄養をとる→休養】。ざっくり言うとこの4つです。しかしながら、この4つを満たすのはなかなか難しいですね。
職種やそれぞれの生活環境によっては、空腹時間が長くなったり、トレーニング回数を稼げなかったり、と。
それでも、やはり、トレーニングをしたからには、少しでも成果を感じたいですよね。まぁ、そもそも今日やって明日結果が出るものではないので、続けることが大事なのですが、どうしたら筋肥大を起こせるか? について、今回は掘り下げていきたいと思います。
内容に変化をつけて、筋肉にさらなる刺激を
筋肥大を起こすには、筋繊維を破壊することが必要です。筋繊維はトレーニングによって破壊され、回復するときに「次は破壊されないぜ!」と、少し強く、太くなります。これを、筋トレ用語で【超回復】と言います。よい言葉ですよね。
この超回復が毎日起これば、無限にデカくなれるわけですが、なかなかそうはならない。なぜかと言いますと、筋肉は加えられた力に対して、次は負けないように、と強くなって回復するからです。
人間のカラダってすごいですね。ゆえに筋肉へのダメージ(=負荷)変わらない、前回と同じ内容のトレーニングをしていても、筋肥大は起こりにくくなってしまうのです。
では、どうすればよいか? トレーニング内容に変化をつけることが必要です。
重さを増やす。回数を増やす。トレーニングパートナーをつける。食事を増やす。目的をより明確にする(モテたいetc…)。ちょいちょい「モテたい」というワードが入ってきますが、コラムのタイトル「モテ筋肉でいいじゃないか」という初志貫徹なので、お気になさらず(笑)。
過去の自分を超えて“筋トレ迷子”を打破
話を戻して、筋肥大。
トレーニングを30年も続けていると、逆に「どうしたら大きくなれるのか?」という、筋トレ迷子になる傾向があります。ええ。僕のことです。
筋トレの目的には、もちろん【維持】も含まれますが、心のどこかでバケモノみたいなでっかい筋肉をつけたい、という思いはずっとあるのです。昔のプロボディビルダーの、ドリアン・イエーツ。ナッサー・エルサンバティ。マーカス・ルール。
このお三方は特にサイズがデカくて、新日本プロレスの道場で生活していた若手時代には、真壁(刀義)さんが貼っていていた、水着のグラビアポスターの横に貼って、毎日眺めていたものでした。
大きくなりたい!と、思ったきっかけには、新日本プロレスの鬼軍曹・山本小鉄さんに「いいか、棚橋、誰よりもカラダを作れ。1番いいカラダをしているヤツには、誰も文句は言わないからな」という金言をいただいたからでした。
そうでした。書きながら思い出しました。僕は、山本さんにそう言われて、さらに気合いを入れてトレーニングするようになったのでした。 これから、僕がどう変化していくのか、天国から見ていて欲しいなと思います。
そもそも、プロレスラーのカラダってそんなに変わりませんよね。
変わるタイミングとしては、若い選手が海外修行に行って、凱旋帰国のタイミングで大きくなって帰ってくることが、一番多いです。そう考えると、劇的な変化が僕に起こることは考えにくいし、現実問題不可能なんじゃないか…。
いや、そこをやってみせてこそ、逸材であると。皆に「棚橋変わったね」とチヤホヤされたいし、そして…「モテたい!」(笑)。
話をまとめましょう。前回のトレーニングより、1キロでも重く。1回でも多く。過去の自分を超えていけるのが、トレーニング。皆さんも、筋トレしたくなってきたんじゃないでしょうか?
棚橋弘至
たなはし・ひろし/1976年生まれ。新日本プロレス所属。立命館大学法学部卒業後、1999年デビュー。低迷期にあった同団体をV字回復に導き、昨今のプロレスブームをリング内外の活動で支える。