【棚橋弘至・連載】第29回:夏こそ「腕」の見せどころ。逸材流・腕トレルーティン
新日本プロレス「100年に一人の逸材」棚橋弘至が綴る、大胸筋のように厚く、起立筋の溝のように深い筋肉コラム。第29回のテーマは「最近の腕の鍛え方」について。
夏は合法的な筋肉(腕)露出の季節
「夏は腕の見せどころ」という言葉があります。
薄着の季節となり、Tシャツやタンクトップで街に出ることが許され、言わば「合法的な筋肉の露出」が許されるのです。
となると、特に鍛えておきたいのは、そう!「腕」ですね。シルエット的に、肩も推したいところではありますが、モテ要素優先のこのコラムでは、必然的に「腕」推しとなります。
まず「腕」を鍛えるにあたり、トレーニーの皆さんには「なぜ太い腕はモテるのか?」というメカニズムを知ってもらう必要があります。これを、理解しているかどうか? で、腕トレの内容やモチベーション、テンションに大きく差が生まれてしまうからです(詳しくは記事後半で)。
最近は「フリーウェイト種目」から始めます
「腕」と聞くと、ポパイのような力こぶをイメージしてしまいがちですが、筋肉の質量から考えると、まずは三頭筋をデカくしたいですね。
トレーニングメニューの組み方としては、フリーウエイト種目→マシン種目orケーブル種目→(追い込みとして)自体重種目といった流れが良いかと思います。
僕は以前、ケーブル種目のプレスダウンやエクステンションから、トレーニングをすることが多かったのですが、トレーニング動画を見たり、腕の太い小島(聡)さんや本間(朋晃)さんのトレーニングを道場で見たりして気がつきました。
小島さんも本間さんも、三頭筋トレーニングの最初の種目はEZバーで、高重量のライイングトライセップスエクステンション(スカルクラッシャー)から始めていたのです。
トレーニング上達の基本として「筋肉が発達している人のマネをしろ」ということがあります。なので、僕も最近はトレーニングメニューを変えて、ライイングのEZバートライセップスエクステンションか、インクラインのEZバートライセップスエクステンションからスタートさせています。
2種目目以降はスミス&ケーブルマシンで
2種目目は、ダンベルフレンチプレスか、スミスマシンのナロープレスを持ってきます。その日のコンディションにもよりますが、重たいダンベルを「よっこいしょ!」と持ち上げないといけないダンベルフレンチプレスは、気分が乗っているときが多いですね(笑)。
なので、通常テンションの場合はスミスマシンのナロープレスを行います。ポイントとしては、下ろすバーの位置を“下め”に調整することですね。そうするとこによって、大胸筋の稼働率を下げることができるので、より三頭筋に刺激を入れることができます。
この2種目で、ほぼほぼ筋肉痛は手に入れたも同然なので、続いてのケーブルプレスダウンでさらなるパンプを狙います。フリーウエイトと違って、ピンのみで重量が変えられるので、限界が来たら、重量を下げていく、ドロップセット法なんかがオススメですね。
余裕があれば(あったらいけないけど笑)、ケーブルトライセップスエクステンションもやっておきたいですね。この種目は、三頭筋に強烈なストレッチ感を得られるので、特に筋肉痛を手に入れやすいです。
さまざまな種目で“振り絞る”イメージ
こうして追い込んできた三頭筋内部には、もうほとんどエネルギーが残っていない状態ですね。ここからそのエネルギーを全部使い切り、もう動かない、もう挙がらない、というところまで追い込むのが、通称「オールアウト」というやつです。
分かりやすい英語ですよね。「オールアウト=全部出す=使い切る=振り絞る」こんなイメージで捉えてもらったら良いと思います。
まとめると、ミドルレンジでの高重量。全可動域で動かせるストレッチ種目。絞ったときに得られる収縮感。エネルギーを全部使い切る自重種目。
まぁ、これだけやれば、必ず太い腕が手に入れられるはず…なのですが、腕の筋肉は体全体から見ると小さい筋肉なので、コツコツやるしかない、根気のいる部位でもあります。
腕から「雄感」を感じ取ってほしいじゃない!
さらに、付加価値としては、三頭筋が強くなると、ベンチプレスも強くなるということがあります。ベンチプレスの重量が上がれば、必ず全体のスケール感が出てきます。腕から生まれる良い連鎖。ここんとこ、押さえといてくださいね。
だからこそ、夏は腕トレ!腕が太いというだけでひと目を惹き、他のトレーニーからのリスペクトも勝ち取れるという夢の部位。
それにモテ筋目線(モテる筋肉目線)からすると、女性に腕を組んでもらえるなら、太い腕で「雄感」を感じ取ってほしいじゃない!
そう。太い腕には「あなたのことを守ってみせます」という、男性陣からのメッセージも込められていたのです(新説)。
棚橋弘至
たなはし・ひろし/1976年生まれ。新日本プロレス所属。立命館大学法学部卒業後、1999年デビュー。低迷期にあった同団体をV字回復に導き、昨今のプロレスブームをリング内外の活動で支える。