【棚橋弘至・連載】第28回:たくさん飯食ってる奴は強い!? 連戦で逸材ボディを仕上げる
新日本プロレス「100年に一人の逸材」棚橋弘至が綴る、大胸筋のように厚く、起立筋の溝のように深い筋肉コラム。第28回のテーマは「G1に向けたカラダづくり」について。
今年のG1は新コスチュームに乞うご期待!
今年も派手に開催される、新日本プロレス真夏の祭典「G1 CLIMAX 33」。過去最多の人数の参加選手の中で、僕は22年連続22回目の出場になります。もちろん最古参になります。
毎年、そのあまりのキツさに大会が終わったあとは「もう無理!」と必ず思うのですが、毎年夏前になると「今年も出たいな」と思ってしまうのはなぜでしょうか。
さて、今回の大会で注目してもらいたいのは「棚橋の新コスチューム」。これが過去一派手な仕様になっています。ロングタイツの柄やカラーが派手とかではなくて、今年のコスチュームは上半身もあるのです。
おーっと、ネタバレになってしまうので、その全貌は、開幕2戦目の公式戦まで取っておきましょうか。グヘヘ(悪い顔)。
連戦を戦い抜くトレーニング戦略
ということで、今回はもうすぐ開幕するG1を見据えて「コンディショニングとトレーニング」について話していきます。
まず、G1の特徴として、開催期間が2023年7月15日〜8月13日と約1か月続く長いシリーズだということが言えます。連戦となるので、心肺機能(スタミナ)の面は、ある程度仕上げておけば問題ないのですが、トレーニング(筋トレ)が難しくなりますね。
理由はいくつかあります。
まず、試合に筋肉痛を残したくないということ。試合にスタミナを温存したいということ(筋中のグリコーゲンを残しておきたい)。連戦のケガなどであちこちカラダが痛んでいる可能性がある。試合をイメージして、緊張が過ぎて、バーベルが持てない(笑)。etc…。
これは、仕事をしながらトレーニングをされている皆さんにも経験があるのでは、ないでしょうか? カラダの疲労度に合わせた練習をしなければいけませんね。
そう、そもそもトレーニングの目的は、僕らは試合へのコンディションをバチっと合わせること。皆さんは、カッコいいカラダを作ることや、健康的な生活を送ることなので、そこをないがしろにしてしまうと本末転倒になってしまいます。
あと、個人差が出やすいのは、回復力ですね。連戦のダメージを如何に、その日のうちに回復できるかが、とても重要。これは、若い選手が断然有利となってきますね。年々回復力が落ちていく…。40歳以上の方は痛感しているのではないでしょうか? 戻ってこい!オレの回復力(笑)!
いや!待てよ。そもそも「生まれてから疲れたことがない」と公言している僕は、もっとも連戦に向いている体質であり、G1に適したカラダということになるのではないか!?
キタコレ!朗報キタコレ!連戦で、他の選手がどんどん疲弊していく中、1人パッケージを開けたての新品の様な棚橋。これは、期待できるんじゃないでしょうか!?
棚橋的に、夏は絞るのに最適な季節です
あと、G1は連戦なので、図らずもドンドン体重が落ちていきます。意識して食べているのに、落ちていきます。過去の経験から開幕と最終戦では5キロ体重が違ったことがあったほどです。
しかしながら、食べていなかったわけではありません。しっかり食べていても、体重が減っていくほどの内容なのです。
こうして考えると皆さん、お分かりですか? 実は連戦だけが体重が減っていく理由ではないのです。
そう! 棚橋的には、体重を絞るのは「夏がベスト」なのです。冬は寒いし、汗も出るまでに時間がかかる。その点、夏は汗だくで「カラダが燃えてるーーーー!!」とやる気がでるわけです。それに加えて、この過酷なG1。そりゃ、カラダも絞れちゃうわけです。どうですか? 皆さんも絞りたくなってきたんじゃないですか?
と、こうして、コンディション以前に、G1期間中にも食べられるかどうかが、とても大事になってくるんですね。試合前は、特に緊張感があるので、食欲も湧いて来なかったりします。それでも、しっかりと食べられるかどうか?
まぁ、僕に関しては、食欲の安定飛行には定評があるので(笑)、心配はご無用でしょう。
食べて、絞って、逸材ボディで優勝!?
学生の頃、夢中で読んでいた格闘漫画『グラップラー刃牙』の物語の中で、刃牙が飛騨の山奥で修行するシーンがあります。そこで、安藤さんが「たくさん飯食ってるやつが強い」みたいなことを言います。
そう! これで行きましょう。食べて闘う!食べて絞る!食べながら勝ち上がっていく! 皆さんは「G1を観ながら痩せていく」(笑)。
となると、ついに棚橋の逸材ボディが仕上がる日が来たんじゃないの、コレ?
ハッ!? すんごい良いイメージが浮かんできました。連戦で仕上がっていく逸材ボディ。合わせて動きもキレキレに。結果、上位でブロック通過。さらに、ビジュアルと動きも加速度的に上昇! で、結果、優勝…と。
こんな、よくできた話ありますかね? フフフッ。「ありますかね?」じゃないんです。それを、現実にしてみせるのが、棚橋なのです。ちょっくら「派手に」盛り上げてきます!!!
棚橋弘至
たなはし・ひろし/1976年生まれ。新日本プロレス所属。立命館大学法学部卒業後、1999年デビュー。低迷期にあった同団体をV字回復に導き、昨今のプロレスブームをリング内外の活動で支える。